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冒険家遺伝子

3月15日から上映され話題の長編アニメ映画、イルミネーション・エンターテイメントの最新作『FLY!/フライ!』の原題「MIGRATION」は、広い意味での「移住・移民・移り住むこと」を指し、動物にも使われる。本作は越冬のために移住するカモの一家を描いた作品で、渡り鳥が生まれながら持つ「冒険家遺伝子」に突き動かされて、苦労しながら自由を求めて新天地を目指すというストーリーだ。
外敵と出会わないように小さな池でおとなしく暮らすことが幸せだと考えていたカモ一家が、たまたま出会った移動途中の渡り鳥に触発され、一念発起してはるか南のジャマイカを目指す旅に出る。今いる世界から飛び立つことを恐れ、あれこれと理由を並べて居心地のいい場所を離れようとしない父親のマックと、未知の世界への憧れと冒険心が抑えられない息子のダックスの2羽が、新たな出会いと初めての体験で気づけば冒険の虜になっていく。
邦題には「勇気を出して新しい世界へ飛べ!」というメッセージが込められているのだろうが、「フライ!」では余りにも薄っぺら、邦題をつける意味があったのだろうか?ところでヒトには5種類のドーパミン受容体が確認されていて、このうちの突然変異型遺伝子(DRD4-7R)を別名「冒険家遺伝子」というそうだ。これを人類の5人に1人が持っていていつも冒険したいと思っているとか。
カリフォルニア大学の社会行動学者Chaunsheng Chen氏は、「人類の起源とされるアフリカ・タンザニア付近からより長い距離を移動して来た祖先を持つ人ほどDRD4-7Rを保有している可能性が高い」と発表している。より良いものを求めて行動する欲求や衝動の強さが移動した距離に現れているというのは面白い。
この遺伝子を持つ人は「新しいもの好き」で、リスクを惜しまず様々な新しいものにチャレンジするそうだ。英語で「Wanderlust gene」とも言われ、この世に存在するものの多くは、この遺伝子を持った先人たちがグレートジャーニー(民族大移動)をし続けたことによって創り出され存在するのではないかと考えられている。
そう考えると、極東の日本はアフリカから最も長い移動をしてきた人々の子孫の国だ。人類が行き着いた果ての地「日本」が、世界一豊富な食材で作られた料理を美味しく食べられる国だというのも納得がいく?
悪名高き日本の政治家が裏金を作ってせっせと星付き料亭に仲間と通うのも、この「冒険家遺伝子」故なのだろうか。

| 24.04.05

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