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パートナーゾーン

3月25日から西武所沢―豊洲、西武秩父―元町・中華街を結んで運転される「通勤電車」の先頭車両に「パートナーゾーン」(http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2015/__icsFiles/afieldfile/2015/08/24/20150824_40000kei.pdf)が導入される事が決まり、注目されている。
「パートナーゾーン」とは、北欧などの列車には既に普通に見られるユーティリティスペースのことだ。ベビーカーの子連れ客に便利な、寄りかかるように腰掛けられるシートと、車いすの固定設備を中央部に設けたユニークな配置で、長期滞在する訪日外国人客らが大きなスーツケースなどを車内に持ち込むことも想定している。単なるフリースペースを超えた「乗る楽しみ」が感じられる空間を生み出すことも期待される。
公共の場でのベビーカーの扱いは近年絶えず議論の的となってきたが、「パートナーゾーン」は使用の自粛方向ではなく積極的なソリューションになりそうだ。
オンラインのベビーシッターサービスを展開する「キッズライン」社が、今年1月に実施した調査によると、「ベビーカーを利用していて、嫌な思いをしたことはありますか?」という問いに、56.8%が「はい」と答え、「嫌な思いをした場所は?」で最も多かったのは、「電車内」59.3%、続いて「駅構内」50%、「エレベーター内」46.4%だったそうだ。ベビーカーを使う多くの母親たちが公共交通機関内で使いづらい思いをしていた事が分かる。
一方国交省の調査では、公共交通機関内でのベビーカー使用への反対は21.1%にのぼるそうだ。公共交通機関内におけるベビーカー利用者の割合は車いす使用者の20倍以上に上り、無視できない数となっている。国交省は2017年度にバリアフリー法を改定し、ベビーカーの優先スペースを従来の2倍に広げることを検討しているという。
ところで世界的にも稀な存在とされる「女性専用車」は当然男性差別だが、日本には「HENTAI」が多いから仕方がないという恥ずかしい見方もされているようだ。痴漢や盗撮する人=「HENTAI」が世界共通語になり、日本のiPhoneだけに操作音があるのは国の恥だとの声もある。「女性専用車」も「iPhoneの操作音」も早くなんとかしないと、日本のイメージはおもてなし大国ならぬ「HENTAI」大国になってしまう。
今回の「パートナーゾーン」は「女性専用車」に替わる「専用車」として、“互いに嫌な思い”をしないコンフォタブルスペースとして登場させるべきではないだろうか?

| 17.02.24

渡来人

トランプ大統領の、特定国からの入国を一時中止する大統領令は、遂に法廷闘争にまで発展した。
かつての移民とは違い、移民関連法が存在する現代、テロリスト及び麻薬密輸関連の違法移民を確認排除したいという大統領令の目的は、当然と言えば当然の様にも思われる。しかし合衆国成立には、「ピューリタンを始め、世界中のあらゆる迫害から逃れて来た移民によって国が出来上がった」という背景と誇りが有り、大統領令に反発する根源となってもいる。
二千年以上遡ると、古代日本の成り立ちも多くの渡来人により建国され、英国系移民を中心として始まったアメリカ合衆国の歴史に類似している。
日本国の支配者の本流は、紀元前221年に中国大陸に秦が最初の統一王国として成立するにおいて、秦の圧政下から逃れた異民族が新天地を求めて大陸を出、渡来人として日本を含む周辺諸国に来たことに遡る。また秦はユダヤ系部族であったとも言われ、日本にユダヤとルーツを同じくする言葉や風習が多く残るのはその痕跡と見られている。
秦の始皇帝が完成させた万里の長城により、アラブやトルコなど西方イスラム文化圏からも東方へ移動しやすくなり、民族が続々と日本列島に渡来したことは正倉院の宝物が証明する。これは、厩の王(今年の教科書から聖徳太子とは言わなくなるそうだ http://www.nikkei.com/article/DGXLZO12920600U7A210C1CR8000/)や、天武天皇、聖武天皇のルーツが渡来人であり、いわゆる移民により新しい国と文化圏が創生されていったことを想像させる。
奈良時代の平城京は、世界的に見ても当時稀有な国際移民都市であったと思われる。従って土師、薬師、図師など渡来人ならではの苗字が今なお多く存在する。平家物語冒頭、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」という一節で有名な「祇園精舎」は日本の寺ではない。また日本三大祭りの一つ「祇園祭」はユダヤのシオン祭がルーツであるという説も有力だ。「祇園祭」ハイライトの山鉾巡行とイスラエルのシオン祭が今でも共に7月17日に行われているのは単なる偶然ではないだろう。
失われたアークが山鉾だとする説も有力で、実は日本は大移民国家なのだ。
多民族国家として成立した古墳時代から奈良時代に至る日本は、二千年近い時を経て、増え続ける移民に苦しむ現在アメリカの姿に重なるように思われる。
先日ゴルフで意気投合したばかりの安倍首相とトランプ大統領だが、どちらも実は渡来人であることを忘れてはいけない。

| 17.02.17

女人禁制

ユネスコの世界文化遺産登録を目指す2017年日本の候補として、文化庁文化審議会は福岡県の古代遺跡「宗像・沖ノ島と関連遺産郡」(http://www.okinoshima-heritage.jp/)を選定した。
玄界灘に浮かぶ沖ノ島は、朝鮮半島製の金製指輪や中東のペルシャからもたらされたカットグラスの破片など約8万点の出土品が国宝に指定され、「海の正倉院」とも呼ばれており、天皇家のルーツを知る重要な文化遺産でもある。住人はおらず、宗像大社の神職だけが島に入ることを許されている。年1回に限り一般人も上陸が認められているが、女性が立ち入ることは有史以来禁じられており、「女人禁制」の風習が残る島として有名である。
宗像大社は「女人禁制は古来守り続けてきたもので変えられない」としているが、世界遺産登録の障害になる可能性もあると見られている。
因みに、1988年に世界遺産に指定されたギリシャ北部にあるアトス山はギリシャ正教最大の聖地であり、600年以上にわたる女人禁制の地でもある。
ところで、2020年東京五輪のゴルフ会場になった霞ケ関カンツリー倶楽部が正会員を男性に限定していることについて、国際オリンピック委員会(IOC)から性別を含めあらゆる差別を禁じた五輪憲章に抵触するとして改善要求が出され、話題になっている。
実は霞ヶ関CCだけでなく、世界の名門と言われる会員制ゴルフクラブの中には、女性に差別的であるばかりか、“正会員は特定国籍保有者のみ”という「国籍条項」まで設けているところすらある。しかし、それらが許されて来たのは、プライベートな会員制クラブだからであり、そういう生い立ちのクラブを、差別を無くすことをモットーとする近代オリンピックの競技会場に選んだこと自体が問題だろう。そんな心配のないパブリックコースが日本にはいくつもあったはずだ。
一方、男女差別を無くすという理由で規約変更を考える名門ゴルフクラブもある。スコットランドのミュアフィールドCCは、「女人禁制」を固守してメジャー大会であるジオープン開催巡回地から外された為、近く会員の再投票を行ない、女性への門戸開放の可否を測る見通しだ。また、マスターズ・トーナメントを開催する米国の超閉鎖的な名門オーガスタナショナルゴルフクラブは、2012年に80年余りにわたって続いた「女人禁制」に幕を下ろしている。
そもそも古代オリンピック自体が「女人禁制」だった事を忘れてはいけない。すべては時代とともに平等になればいいというのではなく、その持てる文化性が決め手になるべきだろう。

| 17.02.10

レゴランド

この春には、「レゴランド」(https://www.legoland.jp/)が名古屋にオープンする。あわせて「レゴホテル」も建設予定で、新たにできる巨大テーマパークは東京ディズニーランド、大阪ユニバーサルスタジオに次ぐものになると期待されている。
屋外型の「レゴランド」は日本初、デンマークで生まれて、イギリス、アメリカ、ドイツなどに次いで、7カ国8番目としてオープンする。日本のテーマパーク市場は40億ポンド(約7000億円)以上のサイズがあると推定(英ガーデアン紙)され、アジア地区で売上を伸ばしたいレゴ社としては無視できない市場だ。レゴランドを武器にテーマパーク王国「日本」に乗り込んでくるということだ。
又、米国の非営利団体テーマエンターテインメント協会「Themed Entertainment Association(TEA)」によると、2015年の世界のテーマパーク入場者数ランキングは、米国マジック・キングダムが1位、同じくディズニーランドが2位、続いて東京ディズニーランドが3位、ユニバーサルスタジオジャパンが4位にランクインし、東京ディズニーシーも5位と、日米が断トツで市場をリードしている。
昨年上海ディズニーランドがオープンして東京と顧客を奪い合うのではないかと心配されたが、上海の入場者数は事前予想を大幅に下回り、東京ディズニーランドの敵ではなさそうだ。
年内には、「ムーミン」のテーマパークも埼玉県飯能市の宮沢湖周辺にオープンする予定だが、作者トーベ・ヤンソンの故郷フィンランドにある「ムーミンワールド」以外でムーミンを主題にした施設は世界初となるそうだ。
ここまで来ると、日本はさながら世界のテーマパークの一大展示場の様相を帯びて来た。日本に来ると各地を巡りながら世界中のテーマパークが楽しめるという訳だ。
全国20ヶ所の世界遺産とともに「日本列島全体がテーマパーク」と積極的に捉えることで、観光立国日本のアドバンテージになる可能性がある。
日本は長らくガラパゴスからの脱却に苦心して来たが、逆転の発想で、「ガラパゴスだからこそ日本に来る価値が有る」と政府は開き直った方が良い。IR法案を活かして観光立国する為には、徹底的な日本のガラパゴス化を推進する方が近道だろう。
そうすることで地方旅館再生と、地方97空港の活性化で、今まで日本に来ていないハイエンド層を取り込むことだ。
2020年までには、コンパクトチャーターによる「Jet Uber(仮称)」の立ち上げと、一泊2000ドル以上の隠れ家を地方空港のそばの美しい過疎地に開発することがキーとなるだろう。
グローバル化し過ぎたシンガポールなどは、もはや日本のIRの目標ではないだろう。

| 17.02.03

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