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遺伝子解析

OTC(医師の仲介なし)の遺伝子検査サービスが日本でも本格化しており、中でも肥満関連遺伝子変異を中心に分析し、健康指導や栄養指導を行う事業が続々と立ち上がってきている。しかも、単なる健康食品やサプリメント販売企業でなく、すき家やなか卯などを展開している外食企業「株式会社 ゼンショーホールディングス」や、日本最大級のポータルサイト運営会社「ヤフー株式会社」等、異業種から参入してきており注目を集めている。
ゼンショーの出資により設立された、「株式会社ゲノフ」(http://www.genof.jp/index.html)というベンチャー企業は、肥満遺伝子検査と管理栄養士による栄養指導事業を展開する。顧客のゲノムを解析、3つの肥満遺伝子の変異型のプロファイルで顧客の肥満タイプを分け、最適な栄養処方や食生活を提案するサービスだ。肥満タイプを知る簡単な検査キットは、販促策を超え一種のブームとなっているそうだ。
また、総合ヘルスケア情報サービス「Yahoo!ヘルスケア」は、遺伝子検査キット「GeneLife2012」の販売を開始した。生活習慣病をはじめとする、より多くの病気の罹患リスクを調べることができるという。個人の遺伝子情報に基づき、病気を予防する新しい健康管理の形と、ITを通じて体の状態を手軽にチェックする環境を提供することを目指している。
自分の遺伝的特性を知ることで、食事、運動などのライフスタイルを見直す事は、自分の星座や血液型で毎日運勢をチェックする感覚と同じで、豊かな人生を送る為のひとつの道標になることは間違いない。ゲノム解析技術が普及した今、遺伝子変異のデータの信憑性はかなり確保されていると見ていいだろう。その変異が自分の健康にどんな影響を与えるのか?その解釈の妥当性が、これらのサービスの競争力にもなっていく。
遺伝子情報のパターン化によって、それに合ったお弁当やレストランのメニューが選べるようになり、健康や食に関するサービス産業が大きく変貌する兆しが見え始めている。今後、コンビニ、外食、ファストフードなどの産業は、遺伝子技術によりその競争力に大きく差がついてくるだろう。

| 13.04.26

ネガポ辞典

ストレスだらけの現代社会において、解消法のひとつとして人気なのが、スマホのアプリ「ネガポ辞典」だ。ストレスを感じた時に、自分の思いを入力して、気持ちを変換するだけで、「なるほどねえ~」と結構楽になったりするから不思議だ。
「オンチ」→「誰にもマネできないアレンジ」
「ぐうたら」→「自分の気持ちに正直」
「計画性がない」→「土壇場に強い」・・・などだ。
「ネガポ辞典」は、ネガティブな言葉を入力するとポジティブな言葉に変換してくれる。2010年の全国高等学校デザイン選手権大会3位となった2人の女子高生のアイデアで、審査委員長の小山薫堂氏から元気になれる「心のアプリ」と絶賛され、アプリ化された。変換するだけでなく、気に入った言葉については「お気に入り」リストに登録することもできるので、気分がささくれ立ったときに「お気に入り」を眺める人も多いとのこと。現代人にはネガティブ状況を肯定する処世術が必要だ。“ネガティブ”キャラで人気を集めている栗原類も、その肯定化の一つの例だろう。17歳にしてすでに落ち着いた雰囲気を持ち、MEN’S NON-NO(メンズノンノ)などで活躍する、日本人ばなれした長髪のイケメンモデルだが、性格は「根暗、孤独、みじめ」、「ひねくれている」、「用心深い、考え深い」と来ている。しかし自分のことはネガティブだとは思っていない。容姿とは裏腹に、日本人的に自分の短所ばかりを強調しがちなところが、意外と共感されて魅力になっている。彼のそうした控えめな態度から“ネガポ”キャラが生まれた。
自分に自信がないとか、積極的に物事に立ち向かえないなど、ネガティブな感情は、メンタル的に弱いと評価されがちだ。そこでネガティブな感情を振り払って、ポジティブな考えも持とうとして、ストレスが生じてしまうのだ。無理やりポジティブでストレスに陥らない為に、考え方のアプローチを変えてくれる「ネガポ辞典」の活用は、現代人に必要な自己肯定感を生み出すのに大いに役立っている。トクホ商品にしても良いかも?

| 13.04.19

オワコン雑誌

女性の生き方や価値観が多様化し、若い世代の雑誌離れが目立つ中、独身のアラフォー女性を対象にした雑誌『DRESS』が、4月1日に創刊された。版元は幻冬舎がベンチャーとして設立した新会社、株式会社giftで、編集長には光文社『STORY』や『美ST』の編集長を経て、「美魔女ブーム」を仕掛けた山本由樹氏だ。株式会社giftの経営メンバーは、最高顧問に作詞家の秋元康氏を迎え、名誉会長に松浦勝人氏(エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社代表取締役社長 CEO)、会長に親会社「幻冬舎」社長の見城徹氏、副会長に藤田晋氏(株式会社サイバーエージェント代表取締役社長)という、どこかで見たことのある・・・錚々たる顔ぶれだ。創刊号は広告費を2億5千万円稼ぎ、満を持しての雑誌となった。しかし、広告が多くて独自記事が少ないというのが既に見透かされ、「もう一度恋する女メイク」「私の適齢期はこれから、と素直に思えます」といったキャッチや、ペルソナ設定が素敵オーラーを無理やり発散させているのが“イタい”など、ネット上での評判は総じて悪い。結婚よりも恋というテーマに、「女性の為の幸せな社会変革」という遠大な目標のわりには、読者不在の時代錯誤的な内容に、創刊号は賛否両論だ。広告集めはうまいが、実売が伴うかが勝負だ。
この創刊の一方、時を同じくして講談社が女性ファッション誌『Grazia』と『GLAMOROUS』の2誌を、8月号をもって休刊すると発表した。『Grazia』は30代のワーキングマザー向けのハイカルチャー志向が受け入れられず、『GLAMOROUS』は20代後半の女性を対象に辛口カジュアルを発信し、読者に相応しい男性を「グラ男」と名づけて話題を集めていたが、市場規模の拡大には至らなかった。
この2誌に限らず、女性ファッション誌全体の部数の落ち込みは深刻だ。今や雑誌市場の中心にいるのは、雑誌購入習慣のある35歳以上の世代であり、それ以下の世代にとって、雑誌はすでに“オワコン”(終わったコンテンツ)状態。紙媒体をPDF化するのではなく、次世代の電子雑誌づくりを始める時期が来ているのではないだろうか?幻冬舎が紙媒体の広告では一人勝ち状態だが、その部数程読者は納得してはいなさそうだ。次回は是非とも真の電子雑誌づくりに挑戦してもらいたいものだ。

| 13.04.12

脳波ヘッドホン

脳波を使ったガジェット等を手掛ける「neurowear」(http://www.neurowear.com/news/)は、脳波で動くネコ耳「necomimi」に引き続き、今度は脳波を元に曲を選んでくれる脳波ヘッドフォン「mico」を、3月に米テキサス州で開催された世界最大の音楽・映像技術の展示会「SXSW Trade Show」で披露し注目を浴びた。
脳波ヘッドフォン「mico」は、ヘッドフォンに取り付けた脳波センサーでユーザーの脳波を読み取り、脳波の状態を解析して、気分に合わせてmicoデータベースから曲を選ぶというもの。選んだ曲は専用のiPhoneアプリと連携して再生される。さらに、ヘッドフォンの耳当て部分は「集中している」「眠い」などユーザーの状態に合わせてインジケータが光るようになって、「neurowear」は、「mico」を「音楽とのセレンディピティ(偶然の出会い)」をもたらすと説明している。
「neurowear」は、脳波を使ったコミュニケーションツールをオリジナルブランドとして発信することを目指している。その為に、人間がもともと持っていない器官で、人間の意思のみで動かして気持ちを伝えるようにしたいと、脳波で動くネコ耳「necomimi」を開発。カチューシャタイプの被り物で、それを装着した人の脳波に反応して「ネコ耳」が動いて、言葉に出すよりも早くその人の状態を表現する。脳波に応じて耳が小刻みに動く「ノーマル」のほか、「集中」「リラックス」という動作モードによって「ネコ耳」が異なる動きをすることで、話題を集めた。また、脳波に合わせて動く、イヌのしっぽをイメージした「shippo」のデモも行っている。脳波ヘッドフォン「mico」は、そうしたハイテク技術とユーモアをかけ合わせたツールの発展形と言える。
携帯電話がスマホになったように、次世代の端末として、グーグルはメガネ型を、アップルは腕時計型を、そしてドコモは指輪型と、今後身につける端末が主流になる可能性が高いと予想される。そうすると、「neurowear」の脳波ヘッドフォン「mico」は、人と機械が意思疎通する新たなツールとしてさらに注目を集めて行きそうだ。モノづくりを支えるのは、最後はセンサー技術だ。

| 13.04.05

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