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オワコン雑誌

女性の生き方や価値観が多様化し、若い世代の雑誌離れが目立つ中、独身のアラフォー女性を対象にした雑誌『DRESS』が、4月1日に創刊された。版元は幻冬舎がベンチャーとして設立した新会社、株式会社giftで、編集長には光文社『STORY』や『美ST』の編集長を経て、「美魔女ブーム」を仕掛けた山本由樹氏だ。株式会社giftの経営メンバーは、最高顧問に作詞家の秋元康氏を迎え、名誉会長に松浦勝人氏(エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社代表取締役社長 CEO)、会長に親会社「幻冬舎」社長の見城徹氏、副会長に藤田晋氏(株式会社サイバーエージェント代表取締役社長)という、どこかで見たことのある・・・錚々たる顔ぶれだ。創刊号は広告費を2億5千万円稼ぎ、満を持しての雑誌となった。しかし、広告が多くて独自記事が少ないというのが既に見透かされ、「もう一度恋する女メイク」「私の適齢期はこれから、と素直に思えます」といったキャッチや、ペルソナ設定が素敵オーラーを無理やり発散させているのが“イタい”など、ネット上での評判は総じて悪い。結婚よりも恋というテーマに、「女性の為の幸せな社会変革」という遠大な目標のわりには、読者不在の時代錯誤的な内容に、創刊号は賛否両論だ。広告集めはうまいが、実売が伴うかが勝負だ。
この創刊の一方、時を同じくして講談社が女性ファッション誌『Grazia』と『GLAMOROUS』の2誌を、8月号をもって休刊すると発表した。『Grazia』は30代のワーキングマザー向けのハイカルチャー志向が受け入れられず、『GLAMOROUS』は20代後半の女性を対象に辛口カジュアルを発信し、読者に相応しい男性を「グラ男」と名づけて話題を集めていたが、市場規模の拡大には至らなかった。
この2誌に限らず、女性ファッション誌全体の部数の落ち込みは深刻だ。今や雑誌市場の中心にいるのは、雑誌購入習慣のある35歳以上の世代であり、それ以下の世代にとって、雑誌はすでに“オワコン”(終わったコンテンツ)状態。紙媒体をPDF化するのではなく、次世代の電子雑誌づくりを始める時期が来ているのではないだろうか?幻冬舎が紙媒体の広告では一人勝ち状態だが、その部数程読者は納得してはいなさそうだ。次回は是非とも真の電子雑誌づくりに挑戦してもらいたいものだ。

| 13.04.12

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