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フラットデザイン

アップルが毎年開催する開発者向けのイベント「WWDC 2013」で、iOS 7が発表され、新たに「フラットデザイン」が採用されていることで話題になっている。続いて「Yahoo! JAPAN」PC版のトップページもフラットデザインに変更され、「フラットデザイン」という用語が世の中に急に浸透し始めた。
2013年のUI(ユーザーインターフェース)デザインのトレンドともいわれる「フラットデザイン」は、質感や立体感のない平面的なデザインだ。アイコンの陰影などの立体的な表現が消えるので、タッチすべき場所が分かりづらくなるという懸念はあるが、過剰な装飾やエフェクトが削ぎ落とされたシンプルなデザインは、これまで主流だった写実的な「リッチデザイン」に飽きの来ていたユーザーからは好評のようだ。マイクロソフトのWindows 8、WindowsPhoneやGoogleではすでに採用されている。
入力デバイスがキーボードだったPCでは、スクリーンは「仮想的な空間を覗く窓」だった。しかし、スマートフォンやタブレットのように指で動作する端末にとっては、「プロダクトの延長としての実平面」的要素が強くなり、それには「フラットデザイン」が適しているということなのだろうか。アップルは、プロダクトデザインで常に素材に忠実なミニ
マルなデザインを指向し、インターフェイスデザインではフェイクの立体感や材質感を多用し、それがある意味魅力でもあった。ただ、今回のiOS 7の「フラットデザイン」は、デザイン担当上級副社長のジョニー・アイブが「新しいタイプの奥行き表現」と言うものの、見た目は Windows 8みたい.・・・という感じが拭えない。また、今秋リリースされても、しばらくは新旧2つのデザインが混在し混乱するのではないかとも予想されている。
折しも23日、米アップル社の2013年4~6月期決算は、約10年ぶりの減益となった1~3月期に続き2四半期連続で大幅な減益となった。CEOのティム・クックが「今年の秋から来年にかけて驚くような新製品を投入する予定だ」とコメントしたものの、かつてスティーブ・ジョブズに「“Ugly!”」と言い放たれたWindowsに、ジワジワと包囲網を縮められている。

| 13.07.26

若年者福祉

若者の投票率が低いと若者が損をするという話は、選挙が行われるたびに耳にする議論だ。
参院選を目前に控え、東北大学の研究室は若年層の投票率の推移と政府予算の統計を分析し、この説を実証する研究論文を発表した。研究によると、若年層の投票率が1%下がることに若者は1人あたり年に13万5000円分の不利益を被ることになるのだという。過去の統計データをもとに具体的な若者の損失額を試算する研究は珍しいと話題になっている。
彼らの分析によると、若年層(20~49歳)の投票率が低下するに従って新規の国債発行額が増加し、社会保障支出も若年層より50歳以上の層に多く配分されていることが明らかになった、という。額に直すと、若年層の投票率が1%下がった場合、国債が若年者1人あたり年額7万5300円分新たに発行され、「若年世代1人あたりの児童手当などの家族給付の額」と「高齢世代1人あたりの年金などの高齢者向け給付」の額の差が年に5万9800円拡大。この2つを合計すると、若年層1人あたり年に13万5100円分の経済的不利益を受けるという計算になり、若者よりも高齢者が手厚く保護される様子を浮き彫りにした。
既に若年層には社会的弱者といってよい人たちが増加し続けている。これまで高齢者福祉ばかりが考えられ若年層への社会的支援が顧みられなかったのは、バブル崩壊までの高成長を前提とした社会モデルを引きずっていたからとも言える。そのため自立できない若者は親が何とか支えていたが、もう続けることが難しくなってきている。やがて振り込め詐欺に何百万円も払えるシニア層を、貯金もできない若い労働者が支えなくてはいけない状況になってくる。むしろ若者こそが社会的弱者であり、若年世代への福祉の充実こそが社会全体としてプラスになると考えるべき時が来ていると言えるだろう。
分裂し無残な結果が待ち受けている野党だが、若者の選挙参加を訴えるのであれば「若年層福祉」の必要性を挙げなければならないはずだ。それに気づかない野党は敗北するしかない?

| 13.07.19

卵子凍結

去年6月のNHKスペシャル「産みたいのに産めない~卵子老化の衝撃~」は、大きな反響を呼んだ。35才以上の出産が“マル高”と呼ばれ、大変になることは知られていたが、“卵子老化”によって不妊になるとはまったく知られていなかったからだ。放送から1年経った先月、首都圏スペシャルで、「“卵子老化”の衝撃 社会は変わるのか」と題して再度このテーマが取り上げられ、今“不妊社会”の現実が改めて問題になっている。
国立社会保障・人口問題研究所の調べによると、不妊の検査や治療を受けたことのある夫婦は6組に1組。日本産科婦人科学会によると、体外受精の実施数は年間24万2000件で世界最多なのだそうだ。いつの間にか日本は“不妊治療大国”になっていたのだ。一方、日本の体外受精の技術力は世界的に遜色ないのに、成功率は低い。世界各国の体外受精の成功率を比較した調査では、採卵1回あたりの出産の割合が、アメリカ38%、世界平均26%に対し、日本は18%と米国の半分以下で、先進国の中で最も低レベルなのだという。その要因として指摘されているのが “卵子老化”だ。
体外受精成功率向上の為にも、若い卵子を確保する「卵子凍結」が注目され始めている。10年以上も前に「卵子凍結」が合法化された英国では、凍結技術も進歩して、女性の5人に1人が「卵子凍結」を希望しているそうだ。出産の年齢的リミットが近づく前に卵子を凍結し、理想のパートナーと出会う日に備えたいと考える女性が増えてきている。凍結した卵子は保存が長期化しても劣化しないが、凍結の適齢期は20代前半と言われている。少子化対策担当や女性活力・子育て支援担当相を置くのであれば、政府はこの様な現実に目を向け、「卵子凍結」が女性たちに生物的生存への時間稼ぎをするチャンスを与えると考え、正面から取り組むべきだろう。産みたい女性たちにとって幸福な選択ができるよう、倫理観もさることながら、科学技術を率先して取り込んでいく社会へと変えていく必要があるのではないだろうか?

| 13.07.12

酔いどれアマゾン

通販サイト“amazon”は、一度使ったら便利すぎて病みつきになってしまうユーザーが多いようだ。書籍だけでなく食品や衣料品まで買えるようになって、全てをアマゾンで済ませる事も可能だ。プランや商品によっては当日中に配送料"無料"で届くので、欲しいものがある時は “amazon” をついついクリックしてしまい、その結果ユーザーの部屋は “amazon” の空ダンボールでいっぱいになり、実は商品が本当に欲しいのか?クリックするだけで物が届く衝撃を抑えられないだけなのか?わからなくなってしまう・・・そんな「アマゾン依存症」が、激増しているらしい。
先日放送された番組「アメトーク!」(テレビ朝日系)では、一人暮らしが長い芸人ばかりが集まってトークを展開していた。その中で、「酔いどれアマゾン」という言葉が挙げられ注目を集めた。そう名付けたのは、お笑い芸人コンビ「麒麟」の川島明で、酔っ払った状態で“amazon”を使うと衝動買いが加速し、「これを買った人はこんなものも買っています」と薦められるまま次々に欲しくなっていく状態をそう呼んだのだ。実際川島は最初圧力鍋を注文したのだが、その後「おすすめ」されるままに購入を進めていってしまい、最後には加圧トレーニング用のチューブを薦められたと明かしている。
これは心理学的には『間欠強化』という現象だそうで、相手の行動に対して数回に1回だけご褒美を与える(間欠強化)状況を作ることで、毎回ご褒美を与える(連続強化)よりも行動が促され、その行動が失われにくくなるという。
一方、“amazon”の過剰梱包がユーザーの間では問題になっている。たった1枚のSDカードにやたら大きな段ボール、大げさな緩衝材など、届いた後のゴミの量に日本のみならず世界のユーザーが驚愕している。海外サイト上でも、絵本を1冊買って30フィートの紙に厳重に包まれていたなど、 “amazon”の過剰梱包写真が多く掲載されている。
「麻薬」効果がAmazonや楽天を始めとする通販の売り上げを支えており、配送無料とは言えゴミを一緒に送ってくる“amazon”型ネット通販は現状まだまだ伸びていく様子だが、これらの問題を解決しない限り流通の中心にはなり得ないのではないだろうか?
皮肉にも“amazon”型通販で出るゴミの山が、“amazon”が仕組んだ買い物依存症の進行を遅らせる要因になっている。

| 13.07.05

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