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母性カリスマ

マザー・テレサとレディー・ガガの“経営手腕”を評価した、「Mother Teresa, CEO」と「Lady Gaga - Born This Way」が相次いで出版され、話題を集めている。
「世界で一番影響力があるセレブ」と言われるレディー・ガガは、原発事故のさなかに来日し、全世界にむけて「日本を愛している」とアピール。今日本で人気沸騰中だ。彼女は、日本の大地震と津波発生を受けて間もなく、オリジナルのチャリティー用ブレスレットを作り、ホームページ上でファンに購入を呼び掛け、販売開始から48時間で25万ドルもの義援金を集めた。自身の収入も1億ドル以上とされている。
一方、マザー・テレサは、多額の寄付金を集めて世界中に慈善施設を作ったことで有名だ。貧しい人々のために一生をささげ、“聖女”とされながらも、人の心理を熟知しマーケティングにたけた“起業家”でもあった。1回のチャンスを最大限に使って施設の運営や貧しい人たちを助ける資金を最大限に作り出すということでは、レディー・ガガとともに達人だ。 
一般的に2人のイメージはかなり異なるが、実はビジネスマンとして学ぶべき共通点が多い。まず、2人のアウトサイダーとしてのイメージ。マザー・テレサは「貧しい人の味方」、レディー・ガガは「変わり者」と、シンプルかつ明確に定着させることで、自らを“ブランド”化することに成功している。勤勉で、コミュニケーション能力が高いという点も共通している。更に、とりわけ彼女たちは、それぞれが持つ連帯感や使命感を支持者やファンが共有するように常にアピール“宣伝”することによって、そのカリスマ性を高め続けてきた。
そして究極は、そのカリスマ性の内面に“母性”を秘めているところだろう。“母性”は容易に“政治”を超えるというが、それが2人が決定的に世界中で支持されるゆえんだ。「母性は偉大?」

| 11.06.27

メンズEコマース

年々、Eコマースの勢いが強くなっている。今年はメンズウェア業界でも大きな動きが起きている。
数年前から様々なブログやファッションサイト上で話題になっているのが、日本やアメリカ、ヨーロッパ中のブランドを取扱い男性の為のライフスタイルを提案する『oki-ni(http://www.oki-ni.com/)』という、ロンドンを拠点とするオンラインセレクトショップだ。『oki-ni』は、明確なヴィジョンを持ってデザイナーズブランドをアソートしている。日本の音楽プロデューサーとの関わりも深く、瀧見憲司のヨーロッパギグのオーガナイズや、過去のミックス音源に Juzu aka Moochy を起用したことも。そこが魅力となって、ファッションと音楽の両面から、感性のある多くの男性達に注目されてきた。
男性には、女性とは異なるショッピングニーズがあり、ブランド力だけではなく、その本質を伝える「編集力」を求める傾向が強いようだ。そうした傾向を受けて、招待制ファミリーセールサイトを運営するアメリカのGilt Groupe Inc.(ギルト・グループhttp://www.gilt.com)も今注目だ。先日、男性向けの新しいECサイト「PARK & BOND」の設立を発表した。Giltが主軸として行ってきたセール販売の方式は取らず、主に定価で商品を販売することが特徴だ。エディトリアルで商品を紹介することで男性の気持ちを掴み、購買へ誘う手法に力を入れている。記事を読んで、クリックするとすぐに購買に繋がる。女性が好むような試着室も男性には不要で、チェックアウトする際の待ち時間がないように気遣っている。
これらは基本的に、英語でショッピングサイトを楽しみながら、日米欧の同時代性を体感するものだ。こういうことは、男性の方が得意なのかもしれない。

| 11.06.20

AKBシステム

「会いに行けるアイドル」というコンセプトでスタートしたAKB48。6月9日、東京・日本武道館にて「AKB48 22ndシングル選抜総選挙『今年もガチです』」の開票イベントは、1アイドルグループのイベントでありながら、大手メディアが競うように報道し、海外までフィーバーし、今や見逃せない社会現象となっている。
現在の日本のエンターテインメント業界への大きな影響力を誇る一方で、批判も少なくない。とりわけ、今回の選抜総選挙の投票券が封入された最新シングル「Everyday, カチューシャ」の売り上げは、複数購入を促す手法ゆえで、そうした結果であるCDの売り上げランキングの妥当性を疑う声もあり、ミリオンの売り上げと言えないという声も多く聞かれた。しかし、メンバーのひとり大島優子が、 「わたしたちにとって、票数(=CD売り上げ)というのは皆さんの愛です」と言ったように、もはやCDの売り上げは楽曲の評価ではないことを表している。
AKBの「会える」「握手ができる」「一緒に写真が撮れる」、そして「育てる」楽しさ・・・まさに王道とも言えるアイドル手法には、タレントとファンの双方を隔てる心理的なギャップを取り除くための戦略が取り入れられている。東京での「AKB48」に続き、名古屋が拠点の「SKE48」、大阪の「NMB48」、さらに福岡の「HKT48」と、作詞家の秋元康氏が総合プロデュースを務める活動は広がり続けており、地域活性化や経済効果が大いに期待されている。こうした半製品を客と一緒に完成させていくAKBシステムには、今後ますます多くの企業が注目していくだろう。これはまさに「選挙運動だ」。

| 11.06.13

住みます芸人

2012年に創業100周年を迎える吉本興業グループが、「100周年プロジェクト」の目玉として、「あなたの街に“住みます”」プロジェクトを立ち上げた。
全国47都道府県それぞれに、47人の芸人と約5000人の応募から選ばれた現地採用のエリア担当社員47名が、実際に住んで、地域の声に耳を傾けながら、二人三脚で地域を盛り上げていこうというものだ。 既に“住みます芸人”は5月から引越をして、地域に密着した活動を開始している。街起こしから伝統芸能の保護、新事業の開発まで想定した“Laugh&Peace”をテーマとするムーブメントを起こそうとしている。
「遠い親戚より近くの他人」とあるように、今、地縁社会が見直されている。今回の大震災をきっかけに、多くの人たちの中に、かつて共に助け合って生きていた昔の日本を見直し、とり戻そうとする動きが出てきて、家族、夫婦、仲間、友だち、コミュニティ、地元、ご近所との絆への回帰が、深く静かに進行してきている。そうした中で、実際に「住む」ことで見えてくることがあり、「住む」ことが地域に働きかける力となって、さらに「住む」ことは地縁につながっていくことを、まさに「住みます芸人」は実践しようとしているのではないだろうか。
マルチハビテーション(複数居住)という生活スタイルが言われて久しいが、それは複数の住むべき場所で、「住む」力を持つということでもある。「住みます芸人」のように、「住む」力を発揮する楽しさを通して、マルチハビテーションに挑戦してみるのもいいのでは?

| 11.06.06

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