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DNAスキャン

今や自分のDNAの秘密を解読することが、99ドルでできることをご存知だろうか?個人の遺伝子構成に従って医学的判断が下せるようになる時代を目指す「23andMe」社(https://www.23andme.com/)が、新たに5000万ドルを調達し、個人のDNAスキャンを昨年末から99ドルで可能にしたのだ。
「23andMe」社は、「google」の共同創設者セルゲイ・プリンの妻であるアン・ウォジツキが共同創設者として経営する会社としても有名だ。それまで299ドルだった価格を大幅に下げることで、現在18万人いる顧客を、2013年末までには100万人まで拡大することを目標としている。これにより、同社の遺伝子情報データベースを拡大させ、遺伝子と健康との結びつきを新しく発見できると期待できる。「23andMe」の個人向けサービスは、キットを購入し自分の唾液を送るだけで、2つの遺伝子分析結果がわかるというものだ。1つは、“Ancestry”(祖先診断)、もう1つが“Health”(遺伝的健康リスク診断)。顧客は、そうして得た分析データを「23andMe」のデータベースに入れることに同意するかどうかを選択することができる。遺伝子情報はまさに個人情報だが、90%の顧客が情報を共有することを選ぶのだという。また、 “Ancestry”の分析結果で興味深いのは、登録メンバーの中で自分とDNAがつながっている人物がいるのも教えてくれる、ソーシャルネットワーク的な“Relative Finder”という機能だ。普通では知り合えないほどの遠い親戚と、リクエストの承認が得られれば、SNS上でメッセージの交換が可能になるのだ。
世界ではすでに「23andMe」以外に、「deCODEme」(http://www.decodeme.com/),「PATHWAY GENOMICS」(https://www.pathway.com ),「Navigenics」(http://www.navigenics.com/)など、個人向けDNA解析サービスが複数開始されている。さらに、ネット上では「dna-forums.com」(http://ww6.dna-forums.com)のように、サービスの質や内容を比較したり、解析結果を基にルーツを探す人たちのコミュニティもできている。今後、遺伝子情報を活用した様々な新サービスが多く提供されることによって、遺伝子に対する関心はますます高まっていくだろう。国境を越えた自分のDNAの系列を知り、真のルーツを知ってみてはどうだろう?ひょっとして、あなたは継体天皇時代に共に移住してきたササーン朝ペルシャ人の血を受け継いでいるかもしれない!?

| 13.01.25

夜行女子会

東京駅から出発する夜行寝台特急が20~30代の女性の注目を集めている。車中の個室では「女子会」が開かれているそうだ。
東京と島根県出雲市を結ぶ「サンライズ出雲」は、個室中心の設備で、良縁祈願の出雲大社を目指す女性たちに人気だ。 「夜行列車はミステリアスでワクワクする」と個室で乾杯、おしゃべりに夢中になれる約12時間の長旅。新幹線網や空路の充実を背景に夜行列車の廃止が相次いでいたが、この路線は首都圏と中国地方を行き来するビジネス客をターゲットに、「走るビジネスホテル」として、寝台は全て暗証番号付きの個室に改良され、金曜の下り列車は女性客を中心に平均乗車率99%を記録している。安心して乗れるので、のんびりと旅ができると評判なのだ。しかも、ホテル代を含めて考えると割安感もあるようだ。
女性だけで飲食する「女子会」は、言葉だけでなくライフスタイルとしても、すっかり定着した感がある。Yahoo!リサーチの「女子会に関する調査」によると、20~30代の女性の9割が女子会経験者と言われ、参加頻度は1ヶ月に1回以上という割合が全体の過半数を占めている。そんな「女子会」のおしゃべりは、日常のポジティブでハッピーな話題を共有する“キラキラトーク”と、男性にはできない女性の本音を明かす“セキララトーク”が中心だ。女性は家族や友人から得た情報を信頼する場合が多く、さらに得た情報を娯楽として他者に伝達するので、女性が集うところでは多量の情報の交換が行われ、信頼性が高いと見なされている。つまり、「女子会」は情報交換そのものが娯楽になっているのだ。
最近は、そうした「女子会」で繰り広げられる“情報交換力”に目をつける企業も多いようだが、衆院選で自民党は、「2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上にする」と公約に揚げていた。女子力を女子会で発散するのも良いが、女子側に立てこもってばかりいないで、世界に打って出るべきではないだろうか?

| 13.01.18

アマゾンスタジオ

Amazon.comの創業者/最高経営責任者のジェフ・ベゾスの評価が年々高まってきている。
昨年、日本でもアマゾンから最新の電子書籍リーダー「Kindle Paperwhite」とタブレット端末「Kindle Fire HD」がたて続けに発売された。同時期に発売されたアップルの「iPad mini」とどちらを買うかが話題に上ったが、日本における知名度でアップルが上なのに対し、アマゾンの端末は安さに加えて膨大なコンテンツを抱えており、電子書籍をめぐって、アップルVSアマゾン戦争も取り沙汰されるようになっている。しかし、アマゾンが注目されているのは、どうやらこうした端末の戦いや、ジョブズ亡き後のベゾスという訳ではなさそうだ。
2011年、アマゾンは世界中から脚本や映画を投稿できるネット上のスタジオ「Amazon Studio (http://studios.amazon.com/)」を開設した。「Amazon Studio」では、オンライン上で毎月企画のコンテストを開催、世界中の参加者と一緒に自身がエントリーした企画をブレスト・ディベロップできるというもの。完成作品のコンテストではなく企画のコンテストで、提出は脚本でも絵コンテでもフラッシュアニメでもいい。それを、「Amazon Studio」のクリエイターとのコミュニティの中で発展させていくことができるというものだ。「Amazon Studio」は、コンテンツ育成の場でありながら、まず世界の人々の目にとまり、それから映画会社が吸い上げるという仕組みになっている。
米国の映像ストリーミング事業は本格化し、競争が激化してきた。しかし、ハリウッドの保守主義が壁となり難航が続く中、今後「映像コンテンツの再配信権をどこが数多く握るか?」が焦点になっている。この分野で先攻していた「Netflix」は、米国最大手のオンデマンドサービスに成長し、オリジナルドラマシリーズのオンデマンド配信も開始している。それに対抗するようにアマゾンも、「Amazon Studio」によるオンデマンド用のオリジナルコンテンツ制作に乗り出すらしい。映像ストリーミング事業は、ハリウッドに頼らない映像産業を作りあげつつあるのだ。
グローバル化社会における産業は、皆新天地“火星”を目指している。未知なるものへの挑戦が産業をリードしていくからだ。日本もグローバル社会の一員である事を忘れてはならない。新しい事業のパラダイムを興すことが課題だ。 “火星”探査衛星の「部品」を作って産業復興というのでは未来はない。

| 13.01.11

式年遷宮

2013年は、20年に一度行われる伊勢神宮の第62回目の「式年遷宮」の年だ。同時に、1744年に御遷宮御造営されて以来1809年、1881年、1953年と行われた出雲大社の「平成の大遷宮」が重なる珍しい年のようだ。しかし、そもそも「遷宮」とはいったい何なのだろうか?
日本には、遷宮に象徴される“切り替え文化”が根底にあると言われている。伊勢神宮の「遷宮」には、鳥居からすべての建物が新たに建て替わる。第一回遷宮の紀元690年より絶えず新しく生まれ変わることを繰り返しており、加えて「遷宮」で出た材木は他の神社の一部として再利用されるなど、再生循環させるシステムもできている。常に新しく変化し続けることによって、同時に永年性を追求するという高い精神性は、宗教の枠を超え、建築など様々な分野において海外からも注目されている。20年ごとの62回だと年数が合わないのは、途中戦乱等で何回も執り行われない事があったからだ。
一方、出雲大社の「平成の大遷宮」は、‘08年から約5年にわたって本殿の修造の為に仮殿に移っていた大国主大神が、本殿に還るというもの。かつて大国主大神の起源ともなった古代出雲国は強大な勢力を誇り、その力は大和政権の勢力下に下るまで出雲地方だけでなく、遠く北陸九州に至るまでを支配した巨大国家だったという。『日本書記』によると、大国主大神は天照大御神へ国を譲り、その際に出雲大社が創建されたとある。そして、国を譲られた天照大御神を祀っているのが伊勢神宮であり、日本の神社の最高位とされて今日に至っている。
本来は、国譲りなどというきれい事ではなく、滅ぼされた百済系出雲王国と、占領した新羅系新王国の関係を表すのだろう。因みに、最初の式年遷宮が行われた紀元690年は、天武帝が没して日本書記や古事記が書き進められようという時代だ。幾度となく支配王朝が変わった倭国が、日本国として永年性を獲得しようという気持ちが式年遷宮には込められていると思う。
1300年ぶりに両神社の遷宮が重なる年が2013年と言うことで、まさに“生まれ変わる年”になる事を願って止まない。

| 13.01.04

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