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お茶プレッソ

「夏も近づく八十八夜~」で知られるように茶摘みは5月頃が一般的だが、早くは3月末から新茶が市場に出回る。そして今、シャープから4月25日に発売される「へルシオお茶プレッソ」が新しいお茶の楽しみ方として注目されている。
日本の茶道具をお手本に、石臼の原理で茶葉を約20ミクロンのきめ細かい粉末状にし、お茶のおいしさが際立つ最適温度のお湯を加え、回転はねで丁寧にかき混ぜて茶筅でたてた状態にできる。コーヒーメーカーに近いスタイルだが、粉をひく、お湯を沸かす、茶筅(ミキサー)でたてるといった、それぞれの機能を分けて使用でき、茶道テイストが生かされている。通常茶葉にはカテキンやビタミンA, C, E、クロロフィルや食物繊維などが含まれているが、急須で淹れたお茶にはその成分のたった3割、急須に残った茶殻に7割が残っているのに、茶殻は捨ててしまっている。「へルシオお茶プレッソ」は、そんな茶葉を挽くことで、栄養を100%飲むことができるようにしたというわけだ。
脂肪燃焼効果のある「カテキン」、抗酸化力を持つ「ポリフェノール」、アルツハイマー病に効果のある「テアニン」など、緑茶の効能・効果はますます注目されている。新しいスタイルだけれど、和テイストの「へルシオお茶プレッソ」は、健康緑茶ブームをさらに盛り上げることになるだろう。
海外では今、健康志向を背景に日本茶への関心が高まっている。特に、米国ではお茶の楽しみ方も多様化し、より上質なお茶が求められている。その為、日本の緑茶の輸出量は急増しており、1990年に283トンだったものが、2013年には2942トンと10倍近くにまで増えている。かつて明治時代の日本では、緑茶は生糸に次ぐ輸出の重要品目だったが、その後中国の安い緑茶に市場を奪われてしまった。100年の時を経て訪れた世界的緑茶ブームに、新たに課せられた厳しい世界の農薬基準をクリアできる日本の緑茶の品質と安全性が強みになっているようだ。
しかし、果たして茶葉を粉にして飲みほしても良いほど安全な茶葉が日本にあると胸を張れるのだろうか?クリアしなければならないのは農薬基準だけではない。TPP交渉のピークにオバマが来日しているが、高品質で安全な農作物に自信があれば、恐れることなく関税撤廃に応じ、輸出産業として農業を徹底育成すべきだろう。守るより攻める姿勢が日本には必要だ。

| 14.04.25

ヤンジ-

セブン&アイ出版から創刊予定の『MADURO』の準備号が3月末に発売され話題を集めている。ひと世代前と違って、健康面でもメンタル面でもやる気満々で、どこまでも艶っぽくてヨコシマな・・・今のジジイはまだまだ元気と、そんなニュー・シニア向けの雑誌だ。
『MADURO(マデュロ)』とは、スペイン語で「成熟した」の意。創刊編集長は、かつて「ちょい不良(ワル)オヤジ」をブームにした『レオン』の元編集長、岸田一郎氏だ。『レオン』の頃は、40代のイケてるオヤジが主流だったが、今度はそのオヤジが60歳近くになって、「どこまでも、ジジイおしゃれでやんちゃがイイ」のキャッチフレーズを冠する、やんちゃジジイ→"ヤンジー"が登場したというわけだ。
創刊準備号の巻頭特集は、「金は残すな!自分で使え!やんちゃジジイの作り方、四十八手」がテーマ。着こなし術やライフスタイルアイテムを紹介するほか、いつまでもやんちゃで元気な50~60代のジジイのことを"ヤンジー"、その妻を"魔ダム"、妻以外のガールフレンドを"姫ーナ"と呼称。姫ーナと行きたい食や遊びスポットを紹介する「行かずに死ねるかジジイの楽園」や「転ばぬ先の長寿の知恵」など、岸田編集長らしいユニークな編集切り口が散りばめられている。
ファッション、時計、クルマ、旅行、食の他に、シニア富裕層ならではの健康、美容、アンチエイジング、金融、不動産など様々なジャンルを網羅して、バブル時代を経験した消費にアクティブな50代から60代男性の購買意欲を刺激することで、その下の世代の消費も活性化させていくという。しかしセブン&アイ出版が発売元の為かアベノミクス的な仕掛けも感じられる・・・?
セブン&アイが展開するセブンイレブンは既にアジアで最も有名な日本の世界ブランドの一つだ。経済的に追い込まれると、いつも日本経済が最後に頼る消費マーケットはやっぱり団塊世代!という見え見えのマーケティング手法は、そろそろやめてはどうだろうか?ガラパゴスになるだけだ。いっそのこと『MADURO』を英語版で出してはどうだろう?アジア全域の20億人マーケットから、ターゲットとする10%の2億人を対象とした東京発の出版を目指して、日本の"ヤンジー" が英語でアジアトレンドを引っぱって行くのも面白い。「脱団塊、脱日本語」!!

| 14.04.18

仏(ホトケ)男子

「仏男子」、「ソーセージパン男子」・・・今年も日本の新しい男子像の代名詞が止まらない。日本の男子がどんどん女性化・中性化し、社会全体がひ弱な印象を海外からイメージされているらしい。
イマドキ男子の新種として「仏男子」を持ち込んだのは、女性ファッション誌『non-no』だ。外見や性格はふつうでありながら「ブッダ級」のガツガツ感の無さが特徴とか?・・・「草食男子」と大差なさそうだが、1)「趣味が一番」、2)「自分のペースで行動したい」、3)「恋愛は面倒くさい」、4)「気を遣いたくない」、5)「彼女なんていらない」、6)「一人が好き」、7)「女の子といると疲れる」と、より具体的な7項目を掲げ、「草食男子」進化の末に行きついたタイプと定義。自分の身の丈を理解して世の中を達観している様や、欲望にとらわれず、ひたすら自分だけの時間を大切にする傾向が「仏」的であるということらしい。「草食系」をもじって「僧職系男子」という表現をするところまで来ている。
日本社会が男性に期待しているものが変化しているのだろうか?それとも、日本も自衛隊への徴兵制度でも採用する必要があるのだろうか?オリンピックのメダルの数も、人口は半分だが徴兵制度のある韓国に置いていかれて久しい。
「草食男子」が2009年に流行語大賞トップ10入りを果たしてからというもの、さまざまな「男子」が現れては消えていった。昨年は、いつも「なんか楽しそう」な雰囲気で、遊びも仕事も肩肘張らず自然体、器が大きく包容力のある穏やかな大人の男性を指す「仙人男子」が取り上げられ、「草食系男子から派生した完成系」と期待?された。
考えてみると、1950年代には1%台だった、50歳の時点で1度も結婚したことがない人の割合を示す「生涯未婚率」がどんどん上昇して、2010年には男性19%、女性10%にまで達した。国の推計では、2030年には男性は30%、女性も23%に達し、実に男性の3人に1人は生涯一度も結婚しない時代が来ると予想されている。
車もバイオ燃料化やハイブリッド化し、弱々しく、しかし燃費良く走るプリウスが全盛。人間も車も草食系。日本は世界の未来を先取りしているのか?それとも動物として真っ先に淘汰されていく国になるのか?

| 14.04.11

Spotify革命

スウェーデン生まれの世界最大の無料音楽配信会社、「Spotify」(https://www.spotify.com/int/why-not-available/)が、日本に上陸する。
「Spotify」日本法人は、6月にもサービスを開始する模様だ。2006年に設立された「Spotify」は、欧米を中心に55カ国で音楽の聴き放題サービスを展開し、無料会員は現在2400万人。月9.99ドルの有料サービス会員も600万人超で、広告付きの無料サービスが拡大の原動力になっている。
「Spotify」発祥の国スウェーデンは、音楽産業輸出額が約1億3500万ドル(2011年)で、米国、英国に次ぐ世界第3位。人口一人当たりに換算すると世界一となり、正真正銘の音楽輸出大国だ。もともと先進的トレンドを好む国民性に加え、特に音楽教育においては、幼少期から公立の専門学校で英才教育を推進するプログラムが充実しているという背景がある。
音楽の聴き放題サービスは世界的なトレンドだが、コンテンツ会社の反対で、その拡大は思ったほど簡単ではない。米国では「Pandora Media」などが台頭。アップルも昨年、「iTunes Radio」で参入。追撃する格好で、サムスンも「Milk Music」を3月から開始している。日本でも、主要な音楽会社が出資する「レコチョクBest」や、エイベックスグループとソフトバンクの合弁会社「UULA」などが昨年定額配信サービスを開始しているが、実態は携帯電話の附帯サービスで、自立したサービスとは言えず、それで音楽を聴く人が増えているわけではない。先行して参入していたソニーの「MusicUnlimited」は昨年の3月に値下げ、DeNAの「Groovy」はサービス開始から約1年の3月25日で終了した。
そうした中、「Spotify」はそのフィロソフィーにおいて、音楽に対する価値観を違う方向に持っていこうとしている。音楽を聴いて「楽しい」や「懐かしい」、「気が晴れた」「癒される」といった感情表現に共感できる曲を見つけ出し再生できるらしい。CDなどの比率が全体の8割超を占める日本のガラパゴス音楽市場において、音楽をライフスタイルとして捉えて、その接し方を提案している「Spotify」に比べて、エイベックスやDeNAの手法はその文化性において、遅れていると言わざるを得ない。

| 14.04.04

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