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KAGURA

しくみデザイン(http://www.shikumi.co.jp/)が企画・制作した、ジェスチャーとモーションによる音楽アプリケーション「KAGURA」のWindows8.1版の無料配布が開始され話題になっている。「KAGURA」は、コンピューティング技術コンテスト「Intel Perceptual Computing Challenge 2013」(https://software.intel.com/sites/campaigns/perceptualshowcase/)において、全世界16か国、約2,800件の応募の中からグランプリに選ばれたアプリケーションだ。人の動きを解析して音楽を創り出す特許取得技術により、何も持たず、何にも触れず、自由に身体を動かすだけで音楽や映像を創造する。カメラで撮影された自分の体の動きに応じてビジュアルエフェクトが発生したり、音楽を奏でたり、意外な創造性が画面一杯に広がるのが特徴。何もなかったモニター上に、手の動きや声とともに音が次々と上書きされていくのだ。音楽とアートの現在を担う13名が考える200年後の楽器「Future Instruments」の中で、建築家の隈研吾氏は、「未来の楽器は物体ではなくなっている」と述べた。ジョン・ケージの「4分33秒」的な音楽観を披露しながら、「道具によって生み出した音」ではなく、「周囲に存在する音」こそ重要になるというのだ。「KAGURA」は、もともとは楽器の弾けない人でも演奏を楽しめるようにという思いで開発されたものだ。これまで、楽器を自在に演奏し音楽を奏でるためには、リズム感や演奏技法を習得する難しさが障壁となっていたが、このアプリによって、“演奏し、音楽を楽しむ“可能性が大きく拡がりそうだ。楽器を究めることで生まれる音楽と、感性が全てになる音楽表現と、どちらが人を感動させるのか?コンピューティング技術の助けで人の感性は解放されていくのか?
最後に残る"人"の存在とは、「脳」と「精神」だけになるのだろうか?

| 15.01.30

北陸トライアングル

3月14日に長野~金沢間で北陸新幹線が開業する。北陸新幹線沿線では、金沢と能登に富山を加えた「北陸トライアングル」という新たな観光ルートが作られ、外国人を含む多くの観光客で盛り上がっていくのではないかという期待感が高まっている。
東京~金沢間はこれまでよりも約1時間20分早い2時間28分で結ばれることになり、市は首都圏からの来訪者を12年の222万人から15年は500万人へと倍増させる目標で、経済効果を124億円と試算しているらしい。金沢駅周辺は、ホテルの開業やブランドアップが相次ぎ、商業施設が新たにオープン、昨年、全国の商業地で地価の上昇率1位になるなど、開業効果がすでに見え始めている。しかし、北陸3県といえば石川、富山、福井なのに対し、今回北陸新幹線は金沢までしか開業せず、「北陸トライアングル」から福井が外れている。福井県に到達するのは10年後の予定で、北陸3県で格差が生じるのではないかという懸念から、なんとか2020年までにと開通の前倒しが検討されているそうだ。
一方、北陸の空の玄関口・小松空港は、数年前からソウル、上海、台湾とは直行便が毎日、バンコクとはチャーター便が就航している。その為加賀温泉エリアでは、外国人旅行者のシェアが20%以上となり、特に台湾からの旅行者が増えているという。2014年10月の国土交通政策研究所による「旅館ブランドに関する調査研究」(http://www.mlit.go.jp/pri/shiryou/press/pdf/shiryou141020_2.pdf)によると、アジアからの旅行者が旅館を選んだ理由は、「温泉に入りたかった」が61.2%、さらに日本を5回以上訪れているリピーターは「温泉に入りたかったため」が78.2%と、約8割を占めていた。かつて関西の奥座敷と呼ばれていたエリアも、様相が少しずつ変化してきているようだ。北陸新幹線が開通すると、小松空港から入って逆流し、高山、軽井沢、東京に至るルートも開発されるだろう。
食、名所、温泉と魅力ある観光資源を持ちながら、首都圏からのアクセスの不便さで集客に苦戦していた北陸だが、新幹線の開通によって日本の観光地図を大きく変え、海外へのアピール度も増していきそうだ。
「新幹線による観光開発の成功は、新駅をつくらなかった地域だけにある!」がまた証明されそうだ。

| 15.01.23

眼を見るメガネ

世界最大の家電見本市「2015 International CES(Consumer Electric Show)」が、1月6日から9日までアメリカ・ラスベガスで開催された。ネットワーキングの発想に弱いと言われる日本の家電メーカーのプレゼンスは年々下がっており、特に韓国、中国にはやられっぱなしという印象だ。しかし、ここへ来て家電業界以外から面白い出展が相次ぎ、CESの流れが変わって来ているようだ。今回、日本のメガネメーカー「JINS.」(株式会社ジェイアイエヌ http://www.jin-co.com/)が発表したユニークなスマートメガネ「JINS MEME(ミーム)」が、ベストウェアラブル賞を受賞した。
「JINS MEME」 は、レイバンの「Wayfarer」に少し似たデザインのメガネで、レンズの度のある無しにかかわらず利用可。フレームの3カ所(基部、鼻パッド、鼻の上の部分)にある電極が、瞬きや8方向の目の動きを検知し、収集したデータはBluetooth で着用者のスマートフォンに送信され、自動的に分析される。そして、例えば運転中、目の疲れや居眠り運転の危険性があればスマートフォンのアラームを鳴らして、車を停止すべきであることを知らせる。また、1日を通して着用者の集中度を感知、追跡して、職場での効率を最大限に高めることを狙っている。
今回選考理由として挙げられたのは、「JINS MEME」がメガネの外観はそのままに、独自に開発したノーズパッドを通して、瞬きや眼の動きから、疲れなどこれまでにないユニークな生体情報の計測を可能にし、CESにおける数々の先端トレンドを詰め込んだデバイスであること。”普通” のメガネの中にこうした複雑な回路が詰め込まれていると想像することはとてもできない、というものだった。
「JINS MEME」は、スパイツールの懸念を持たれるGoogle Glassなどのメガネ型ウェアラブルデバイスとはまったく異なる、対照的なアプローチを見せている。スマホを眼の近くに持ってくるという発想で、役に立つ情報を求めて身の回りをスキャンするGoogle Glassとは違い、「JINS MEME」は目や目のまわりからの情報を集めて、自分を見直そうというものだからだ。しかも、Google Glassのようにディスプレイやタッチパネルなどが装備されていないので、スタイリッシュで軽量、着用した人を決してテクノロジーで武装したサイボーグのようには見せないところも大きく異なる。
ウェアラブルデバイスには、もともと「意識していない行動のデータ化」というテーマがある。おりしもCES出展メーカーの最大のマーケットになり得る中国では、GoogleとLineが規制を受けて使えない。ネットワーキング支配の思想が強過ぎて、中国のような社会主義構造を持った国では危険だと判断されてのことだ。これからの家電は異文化への理解がないものは淘汰されるだろう。中国とイスラム社会を合わせると、世界の人口の半分以上をカバーすることを忘れてはならない。そのような中で、「JINS MEME」の「眼を見るメガネ」の発想が、全世界に受け入れられる民主的な発想で評価された点は見逃せない。
今後、CESのテーマは、支配的発想と民主的発想の戦いになって行くだろう。

| 15.01.16

大義名分的狂気

年末の紅白歌合戦に、サザンオールスターズが横浜アリーナで行なった年越しライブ会場からの生中継サプライズ出演が新年早々話題になった。
桑田佳祐がヒットラー風の「チョビ髭」をつけて歌ったのは「ピ-スとハイライト」と「東京VICTORY」の2曲。中でも「ピ-スとハイライト」は、2013年8月に発売された時、尖閣と竹島で東アジアの政情が不安定化する中、歌詞の政治風刺が強過ぎると話題になった曲だ(http://j-lyric.net/artist/a000623/l02dd55.html)。 明るくポップな曲調だが、現在の日本や世界を取り巻く情勢、国際紛争がテーマになっており、公式PVでは安倍首相や韓国の朴槿恵大統領らのお面をかぶった人物が登場している。当日は、スクリーンに世界中の紛争の映像が映しだされ、桑田は、「都合のいい大義名分(かいしゃく)で 争いを仕掛けて 裸の王様が牛耳る世は…狂気(Insane)」とNHKの紅白で熱唱したのだ。NHKはよくぞ放映した。紅白の中継直前、ライブ会場では『紫綬褒章』を見せながら受賞のエピソードを話した揚句に、勲章なんかオークションだと言わんばかりに、もらってしまった自分への言い訳とも自己批判ともとれる行動をとった桑田を官邸はどう捉えただろうか?
ミュージシャンや芸術家が、自らの作品を通して自分の政治信条を明らかにし、時の政権を賛美もしくは批判することは、古今東西行われて来たことだ。今回のサザンが与えたインパクト、TVとネットによる複合的な反応は、ミュージシャンのそうした姿勢が日本国民の半分が見ていたといわれる紅白歌合戦で映し出されたことで最高潮に達した。ネットでは、この歌を米国批判であり、安倍批判であり、韓国や中国寄りの歌だとか、平和のための歌でこれまで安倍政権に抑圧されてきたNHKがよくやった、など賛否両論の嵐が巻き起こり、サザンと桑田の狙いは見事的中した。
明けて1月4日にTBSの「サンデーモーニング」は、戦後70周年と絡める形で安倍政権とヒトラーの類似性を指摘した。第2次世界大戦を振り返りながら、ヒトラーが群衆操作のために経済政策を使っていた点や群衆が反復・断言に弱い事を解説し、今の安倍政権のやり方と似ているとしたのだ。
サザンも「サンデーモーニング」も、経済一辺倒のアベノミクス、その裏で米国追従政策を取り、「この道しかない」と首相が言い切る『都合のいい大義名分(かいしゃく)』に警鐘を鳴らした。今年は、首相の戦後70周年談話に注目だ。

| 15.01.09

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