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絆婚

東日本大震災は、話題の吉川晃司や夏木マリの結婚が「震災婚」と言われているように、結婚を決めるきっかけにもなったようだ。東日本大震災のあと、実際に結婚紹介所への入会増加や婚約・結婚指輪の売り上げが増加しているという。しかも東日本だけではなく、西日本でもその影響が出ているのだとか。こうした現象は、阪神大震災やアメリカの9.11後にも同様に起こった。生命の危機を感じるような状況になると、人は誰しも頼りになる相手を求めたり、大切な人と幸せになりたいという気持ちが強くなったりするものなのかも知れない。
電通総研が4月にインターネットで行った「震災一カ月後の生活者意識」に関する調査によると、恋人がいる女性の4人に3人、恋人がいる男性の8割が、震災をきっかけに恋人を、これまで以上に大切にしようと思ったという結果が出ている。一方、ニューヨーク州議会で可決された、同性同士の結婚を認める法改正案が、今月24日施行され、州内各地で多くの同性カップルが待望の結婚式をあげた。婚姻成立1組目は84歳と76歳の女性のカップルだった。男女間の結婚をする者よりも、年齢も経験も豊富な人々が、同性結婚により、さらに安定した共同生活を考えている。同性カップルが多いとされるニューヨークでは、ブライダル業界を中心に経済効果も期待されている。
未曾有の震災は、「今こそ一緒にいたい人は誰か?」と考える契機となったことは間違いない。世界的なクライシスの増大は、同性カップルも含めて、本当に大事な人と笑顔で暮らしたいという“家族回帰”の傾向が強まっている。「絆志向」は、人々の心や、人生を豊かにするような結婚=「絆婚」への意識変化を進めている。

| 11.07.24

コ・ランチング

見ず知らずの人たちが一緒の食事をすることだけを目的に集まる、フランスで始まったコ・ランチング(Co-lunching)が注目されている。
サイトページには、日時、レストランの名前と住所、店の写真とおおよその予算が明記されており、予約制である。当日は皆が揃った所で、それぞれ自由にメニューを選び、会計もまた自分のものだけを持つ。メンバーは8人以内に調整されていることが多いそうだが、20代から50代前半ぐらいまでの年齢構成で、勿論男女の区別はなく、多彩な顔ぶれらしい。フランスでは、約2200万人の人が、ひとりで昼食をとっているという。ざっと人口の3分の1ほどの割合になる。
日本でも昨年、全国大学生協連(東京)の学生生活実態調査で、大学生の3割が一人で昼食をとる、学生の「孤食」実態が明らかになった。職場でのひとりランチは、圧倒的に男性が多い。第一生命経済研究所のアンケート調査では、昼食を一緒にとる相手として、女性は「同性の同僚」が62.5%と最多なのに対し、男性は「ひとりで食べる」が50.2%とトップだった。家庭の主婦を含めたら、日本もひとりランチ人口は相当数になるのではないだろうか?
おろそかになりがちな昼食だが、ひとりの殻から抜け出して、しがらみもなく自由に一期一会のランチタイムの機会を持つことには、意外とニーズがあるのかもしれない。自分のネットワークにはない、違うタイプの人に会いたいという欲求を満たすこともできる。フランスで生まれたコ・ランチング(Co-lunching)のシステムは、すでに国境を超え、イギリス、アメリカ、さらにはアジアにも広がりつつあるそうだ。
政権が苦難続きになるにつれて、最近よくひとりぼっちで昼食をとっているらしい某国首相も、コ・ランチングしてみては?


『colunching.com』

『colunching.com』

| 11.07.17

電力“財務”改善

今夏は、電気に過度に依存した社会のあり方を見直すいい契機となりそうだ。発電や冷房で外気温が上昇し、それを冷やす為に更に発電して、また高い外気温を作り出している現実!電力消費を否定するのではなく、もうひとつの選択肢として“非電化”を提案する「電力財務改善?」が必要だ。
中華料理店「餃子の王将」を展開する王将フードサービスは、電気を使わず踏み板を踏むだけで開閉できる自動ドアを、新店舗に導入すると発表した。踏み板を踏むと板が沈んだ反動で滑車が上昇し、横方向にドアをスライドさせて開閉する仕組みは、1店舗あたりの電気代を年間14万円ほど削減できるそうだ。 世界一多いと言われる日本の自動ドアも、本当に必要なのか?電気不要のボードゲームや、昔ながらの遊び道具も再注目されている。玩具メーカー大手のタカラトミーによると、主要商品でもある『人生ゲーム』の売り上げは、震災後、昨年の同時期と比べて増加している。また、東北大とNECなどの研究チームは、テレビ、パソコンやサーバーなどの待機電力をゼロにできる、大規模集積回路(システムLSI)を世界で初めて開発、5年後の実用化を目指している。この発明は、日本中で待機電力のために使っていた原発2基分の電力を減らす効果があるという。
自然エネルギーによる発電も、現在さまざまな人が議論している。しかし、「新しい発電」という発想ばかりでなく、家庭で使う電気の約3割を占める冷暖房を“非電化”で考えるといった発想の転換が必要だ。国債の償還の為に更に赤字国債を発行するという、国家財務と同じ道をたどらないように、日本や先進国が陥っている電力消費構造を、この辺りで「財務改善?」する時が来たと言えそうだ。

| 11.07.11

哲学教育

数年前から、喫茶店などに集まって、哲学的なテーマで意見を交わす「哲学カフェ」が広がっている。何事にも効率が優先される現代社会で、人の意見に耳を傾けながら、
じっくりと思索する時間が有意義に感じられているようだ。東北の被災地でも、「哲学カフェ」で「東日本大震災」をテーマにした議論が始まっており、体験や意見を語り、対話を深め、未曽有の震災と向き合おうとしている。
日本では、哲学は実用性に乏しい学問と見なされ、多くの大学の教養課程の履修科目からも姿を消しつつあった。しかし、フランスの大学入学資格試験BAC(Baccalauréat)の最初の科目にもなっているように、欧米では、思考力や論理性を徹底的に鍛える哲学教育の推進が大きな潮流となっている。「人は何の為に生きるのか?」「幸せとは何か?」といった思春期の子供たちが抱く素朴な問いは、古今東西の哲学思想との出会いにつながる。また、新しい生命倫理の問題など、現代の複雑な課題に向き合う上でも、文明の発達において哲学的思索は欠かせないとされている。ユネスコでも哲学教育の推進に取り組んでおり、高校生を対象とした哲学教育は、欧米を中心に多くの国で導入されつつあるようだ。
今回の原発事故では、科学だけでは解決し尽くせない問題を考える上で哲学的思考が必要であり、さらに未来の構想を語る上でも哲学の言葉が必要であると言われ始めている。「思考するための基本的で的確な方法を学ぶ」という哲学の手法を、自由に思考するための“武器”として、早期に教えていくことが大切ではないだろうか?特に将来政治家になる可能性を持つ若者の為には・・・。

| 11.07.04

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