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Spotify革命

スウェーデン生まれの世界最大の無料音楽配信会社、「Spotify」(https://www.spotify.com/int/why-not-available/)が、日本に上陸する。
「Spotify」日本法人は、6月にもサービスを開始する模様だ。2006年に設立された「Spotify」は、欧米を中心に55カ国で音楽の聴き放題サービスを展開し、無料会員は現在2400万人。月9.99ドルの有料サービス会員も600万人超で、広告付きの無料サービスが拡大の原動力になっている。
「Spotify」発祥の国スウェーデンは、音楽産業輸出額が約1億3500万ドル(2011年)で、米国、英国に次ぐ世界第3位。人口一人当たりに換算すると世界一となり、正真正銘の音楽輸出大国だ。もともと先進的トレンドを好む国民性に加え、特に音楽教育においては、幼少期から公立の専門学校で英才教育を推進するプログラムが充実しているという背景がある。
音楽の聴き放題サービスは世界的なトレンドだが、コンテンツ会社の反対で、その拡大は思ったほど簡単ではない。米国では「Pandora Media」などが台頭。アップルも昨年、「iTunes Radio」で参入。追撃する格好で、サムスンも「Milk Music」を3月から開始している。日本でも、主要な音楽会社が出資する「レコチョクBest」や、エイベックスグループとソフトバンクの合弁会社「UULA」などが昨年定額配信サービスを開始しているが、実態は携帯電話の附帯サービスで、自立したサービスとは言えず、それで音楽を聴く人が増えているわけではない。先行して参入していたソニーの「MusicUnlimited」は昨年の3月に値下げ、DeNAの「Groovy」はサービス開始から約1年の3月25日で終了した。
そうした中、「Spotify」はそのフィロソフィーにおいて、音楽に対する価値観を違う方向に持っていこうとしている。音楽を聴いて「楽しい」や「懐かしい」、「気が晴れた」「癒される」といった感情表現に共感できる曲を見つけ出し再生できるらしい。CDなどの比率が全体の8割超を占める日本のガラパゴス音楽市場において、音楽をライフスタイルとして捉えて、その接し方を提案している「Spotify」に比べて、エイベックスやDeNAの手法はその文化性において、遅れていると言わざるを得ない。

| 14.04.04

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