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Blush

ニューヨーク・タイムズのメディアラボが作った、会話の内容に反応して光るソーシャル・ウェアラブル・デバイス、「Blush」(http://blog.nytlabs.com/2014/01/15/blush-a-social-wearable/)が話題になっている。
「Blush(赤面)」と呼ばれるそのブローチを装着していると、日常的な会話の中でブローチの持ち主が最近オンラインで検索したワードに話題が及んだ時に発光するというLED製品だ。会話に参加している人は、ブローチが発光したのを見て、持ち主がその話題について何か知っていることが分かるという仕掛けである。ビッグデータ至上主義の現代は、たっぷりデータを集めていろんな方法で加工しさえすれば情報が知恵に変わると思い込んでいるが、それは単に定量化しやすいものを処理しているだけの話だ。日ごろ出くわしているはずのいいアイデアやコンセプトといったものが、そこから抜け落ちてしまっていることもままある。「Blush」はそれを解決する為に開発されたのだそうだ。
意見の飛び交う会議の中で「Blush」を使って、誰がその情報に関する知識を持っているのか、どの議題に着目しているのかを可視化することで、今までこぼれ落ちていたアイデアを拾い上げることができるようになるかもしれないという。データ主義ではなく、そのデータを使いこなして魅力的なものに加工することに価値を置いているのだ。
ところで、先月発売されたApple Watch。アップルストアでの当日販売はなかったが、家電量販店などには多数の在庫があったようだ。「話題のアップル製品」でありながら、当日の夕方たまたま見かけて入手できたという人などから、ネットには続々とレビューが上がってきていた。Apple Watchの謳う最大の価値は、「携帯を取り出すより楽」なことと「グランサビリティ(一目瞭然性)」だ。しかし、通知を見た後にアプリでなにかをするとなると、プロセス数が少ないのに遅いという欠点があると言われている。そのため結局、「これってiPhoneでも出来るよね」「iPhoneの方が便利」に戻ってきてしまうようだ。
スマホやタブレットのスクリーンは様々な情報を伝えるが、ウェアラブルデバイスの領域では、なんと言っても情報をざっくりと一目でわかるように伝えることが重要だ。Apple Watchに「Blush」を搭載すればかなり面白く有用なビジネスツールになるかもしれない。まだまだ改良は必要だが、ポケットからスマートフォンを取り出す必要のない新しい日常が近づいている。

| 15.05.15

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