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トランプ現象

コントラクトブリッジで「トランプ!」と言うと“切り札”の事だ。正にドナルド・トランプは米国の政治史において切り札になろうとしている。
トランプは共和党の大統領選指名候補だが共和党員ではない。その政策は共和党主流派が進めてきた新自由主義とはかなりの違いがある。むしろ保守化によって行き過ぎた格差の縮小など、米国社会でのタブーを取り上げることによって米国が抱えている不満や不安を浮き上がらせ、やり場のない怒りを持つ人々の支持を得ている。彼は米国が自由主義の守り神として「世界の警察官」になることには関心がなく、日本などの“面倒を見る”のを嫌い、彼の国益最優先という本音の政治的主張は、アメリカの立ち位置を180度変えることになると見られている。ある意味平和主義者だとも言える。
片や民主党の指名候補バーニー・サンダースも民主党員ではない。このふたりの主張は180度異なるが妙な類似性がある。両者とも既成の米国政治の構造を壊そうとしている点で一致しているのだ。
日本では「保育園落ちた日本死ね!!!」と、ひとりの母親が綴ったとみられる怒りの匿名ブログが注目された。当初は言葉が乱暴だとか匿名であることへの不信感から問題視する人も多かったが、以前から抱えていた保育園問題も、この過激な言葉づかいだったからこそ大きな波紋を呼び、共感のコメントが一挙に3万件も集まり、国会答弁に拾い上げられるほどの影響力を持った。トランプ候補の過激な発言も、既成政治に対する不信感を判り易い言葉で直接国民に訴えたことで共感を呼んでいるのだ。
アメリカ合衆国大統領選挙は11月8日に予定されているが、7月には両党それぞれの全国大会が行われ正副大統領候補が正式に指名される。
20世紀以降の米国は、ドル通貨以外では取引できない石油という商品によって世界の支配構造を見事に作り出してきた。その覇者がロックフェラー一族であり、金融大国として世界の覇権を握っている。ヒラリー候補はロックフェラー一族最後の切り札とも言える。
しかし21世紀は911以降、更なる技術革新により石油資本も凋落の兆しを見せ、世界は新しい支配構造を模索しはじめている。トランプ、サンダースとも実は既成の政党にはまったくとらわれていない、利用しているだけだ。共和党員ではないトランプが、民主党員ではないサンダースを副大統領に指名する可能性すら残している?

| 16.03.25

昆虫プロテイン

コオロギ粉末を使用したプロテインバーの米国メーカーExo社(https://www.exoprotein.com/)が400万ドルの資金を調達したと3月に発表された。我々が気づかないうちに、次第に昆虫からのプロテインパウダーの摂取が増えているらしい。
近年コオロギやハチといった昆虫が将来の食糧源として世界的な関心を集める中、国連食糧農業機関(FAO)も2013年に、食料問題の切り札として昆虫食についての報告書を発表している。これによると世界の人口は2030年には90億人に達することもあり得るとされており、このまま食糧増産が進んでもまだ5億人を超える人々が食糧不足に悩まされると推定されている。
その一方で森林減少による温暖化など、環境問題、農業問題がさらに深刻になることも避けられない。そこで高タンパクで、ビタミン、ミネラル、食物繊維が多く含まれるなど栄養価の高い昆虫が着目されて来た。野生で捕獲するもよし、養殖するにしても牛や豚などの家畜動物より小規模な土地で育てることができるため、環境への負荷が低い。現在でも1900種以上の昆虫が伝統的に食されており、20億人の食生活の一部になってはいるものの、世界のより広い範囲で食材としてさらに利用されるべきだとFAOの報告書は示しているのだろう。
Exo社のみならす、欧米では食用昆虫の普及を目指す動きが活発化してきた。すでにベルギーなどがEU初の「昆虫食認可」の条例を発効している。美食の国フランスでは農家がコオロギなどの養殖と流通に向けて、国への働きかけが起きており、これに呼応するように昆虫食番組も増えているそうだ。イギリス、オランダやドイツなどでは国内販売が黙認されている。コオロギなどの食用昆虫は、間もなくEU圏内での販売が認められる食材「ヌーベルフード」のリストに登録されるだろう。これは大きな前進だ。
考えてみると日本は昔から昆虫の種類が多い昆虫大国で、古くより昆虫食の文化も根付いていた。各地方でイナゴや蜂の子、蚕さなぎ、セミなどが伝統食として食べられ、国内で55種の昆虫が食されていた時もあった。イナゴの佃煮は国民食として成人の50%が食べていたとのデータもあるくらいだ。
害虫駆除が一変して養殖に、生産者である農家の昆虫食への関心の高まりも凄い。気がついたら人間のタンパク質必要摂取量の大半を昆虫プロテインが賄っていた、という日も近いのだろう。

| 16.03.18

プチプラ

今、ファッションは“プチプラ”コーデが当たり前のように浸透してきている。
もともと“プチプラ”とは、女子中・高生たちの間で使われていた買い物のキーワード゙「プチ・プライス」の略語で、「小さい」という意味の「プチ」から「安い」を表し、ファッションアイテムだけではなく、化粧品、雑貨などまで、高価ではないが素敵・かわいいものをさしている。ちなみに“プチプラ”の具体的な金額の設定はなく、10,000円以下のものを指しているようだ。最近は“プチプラ”コーデを好む年齢層は幅が広がり、芸能人やファッション関係の人もプチプラを上手に使いこなしている。
国内ブランドではGUやユニクロ、しまむら、海外勢ではZARA、H&M、FOREVER21などプチプラブランドがたくさん登場する中で、じわじわ人気が出てきているのが「しまむら」だ。トレンドをしっかり押さえていて使えるアイテムがたくさん揃っていると評価され、「しまむら」を見て回る"しまパト"という言葉が出来るほどだ。ダサいファッションの代名詞だった「しまむら」が今はプチプラブランドとは驚きだ。
また“プチプラ”ブームを後押ししているのが、ファッションコーディネートサイト「WEAR」(http://wear.jp/)だ。2013年10月31日にスタートしたこのサービスは、ZOZOTOWNが運営し芸能人やおしゃれ有名人が多く使っていることで有名になった。月間利用者数は600万人を突破する人気ぶりだそうで、「Instagram」の日本の月間利用者数の810万人にせまる勢いだ。自分の服装を撮影して、「今日のコーディネートはこれです!」と人に見せるのだが、その服装についてハート(いいね)のスタンプを押したり、コメントを交わす、服のコーディネートをベースにしたコミュニケーションサイトとして、安見えしないテクの手本になっているようだ。
世界のファッションマーケットは高級ブランドに疲弊してきている。特に中国人の高級ブランド爆買いが起こって以来、ブランドそのものの価値も落ちてきているのではないだろうか?上から下まで何十万もかけてコーディネートするブランド戦略に背伸びしてついて行くこと自体がどれ程のものなのか?という疑問だ。日欧米のファッション先進国では、自分がブランドだと言う自信もある、自分なりの着こなしで使用することにこそ価値を置くという “プチプラ”思考が、まさに新しい時代の価値観をけん引している。時代はデフレに価値を見出しているのだろう。
安いものにより価値を見出すわけだから、インフレターゲット2%が苦戦するのも頷ける!

| 16.03.11

うま味ジェネリック

最近味の素のCM『卵かけご飯の味の素がけ』が露出を増やしている。あたたかいご飯に卵を割り入れたら、「味の素」を2~3回振りかけて軽くかき混ぜてかき込む。味の素の商品サイト「AJIテクメッセンジャー AJIPANDERS」(http://www.ajinomoto.co.jp/aji/ajiteku/stitch/aji_0001.html)でのおすすめの食べ方だ。これにハマる人が意外に多いことに驚かされる。一時期グルタミン酸ナトリウム(味の素)が欧米メディアから「いわれなき非難」を浴びたこともあって、年配者には素直にこの食べ方を受け入れられない人もいるのではないだろうか。
「味の素」は池田菊苗によって1907年に昆布のうま味成分として抽出された後、鈴木三郎助によって商品化された、言ってみれば「うま味の素ジェネリック」だ。現在の「味の素株式会社」の前身「鈴木製薬所」から1909年に発売されてから数年で東アジア諸国でも使用されるようになり、現在では130以上の国と地域に届けられている。稼ぎ頭のタイでは、タイ料理に欠かせない調味料と言われ、インドネシアではハラール問題を乗り越えて、風味調味料「マサコ」として消費が増え続けている。
人間の母乳には元来100g中19mgのフリーグルタミン酸が含まれているため、人間は赤ちゃんの時から“うま味の素”であるグルタミン酸ナトリウムを求めていると言われる。過去にはグルタミン酸ナトリウムの過剰摂取有害説が広まったり、石油から精製していると問題視されたりもした。しかし現在は微生物発酵によって作られ、製法及びその安全性に関しては欧米の論文も特に問題視していない。そういう状況が「味の素」CMの露出が増加した背景にあるのだろう。
ところで、イギリスの非営利団体「アクション・オン・シュガー」は、大手コーヒーチェーンが販売するホットドリンクに含まれる砂糖の量こそ安全性に問題があると発表した。スターバックスの「ホット・マルド・フルーツ」のベンティサイズに含まれる砂糖の量は99グラムで、ティースプーン25杯分に相当する。同「ホワイトチョコレートモカ(ホイップクリーム乗せ)」には、ベンティサイズで73.8グラム、グランデサイズで59.1グラムの砂糖が含まれているそうだ。因みにコカ・コーラ330mlに含まれる砂糖は35グラムである。
最近はマリファナの有用性を評価する運動をはじめ、過去に安全性でバッシングされた嗜好品が再評価を受けている一方で、身近なところでまさかと思うような食品の危険性が指摘されている。

| 16.03.04

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