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うま味ジェネリック

最近味の素のCM『卵かけご飯の味の素がけ』が露出を増やしている。あたたかいご飯に卵を割り入れたら、「味の素」を2~3回振りかけて軽くかき混ぜてかき込む。味の素の商品サイト「AJIテクメッセンジャー AJIPANDERS」(http://www.ajinomoto.co.jp/aji/ajiteku/stitch/aji_0001.html)でのおすすめの食べ方だ。これにハマる人が意外に多いことに驚かされる。一時期グルタミン酸ナトリウム(味の素)が欧米メディアから「いわれなき非難」を浴びたこともあって、年配者には素直にこの食べ方を受け入れられない人もいるのではないだろうか。
「味の素」は池田菊苗によって1907年に昆布のうま味成分として抽出された後、鈴木三郎助によって商品化された、言ってみれば「うま味の素ジェネリック」だ。現在の「味の素株式会社」の前身「鈴木製薬所」から1909年に発売されてから数年で東アジア諸国でも使用されるようになり、現在では130以上の国と地域に届けられている。稼ぎ頭のタイでは、タイ料理に欠かせない調味料と言われ、インドネシアではハラール問題を乗り越えて、風味調味料「マサコ」として消費が増え続けている。
人間の母乳には元来100g中19mgのフリーグルタミン酸が含まれているため、人間は赤ちゃんの時から“うま味の素”であるグルタミン酸ナトリウムを求めていると言われる。過去にはグルタミン酸ナトリウムの過剰摂取有害説が広まったり、石油から精製していると問題視されたりもした。しかし現在は微生物発酵によって作られ、製法及びその安全性に関しては欧米の論文も特に問題視していない。そういう状況が「味の素」CMの露出が増加した背景にあるのだろう。
ところで、イギリスの非営利団体「アクション・オン・シュガー」は、大手コーヒーチェーンが販売するホットドリンクに含まれる砂糖の量こそ安全性に問題があると発表した。スターバックスの「ホット・マルド・フルーツ」のベンティサイズに含まれる砂糖の量は99グラムで、ティースプーン25杯分に相当する。同「ホワイトチョコレートモカ(ホイップクリーム乗せ)」には、ベンティサイズで73.8グラム、グランデサイズで59.1グラムの砂糖が含まれているそうだ。因みにコカ・コーラ330mlに含まれる砂糖は35グラムである。
最近はマリファナの有用性を評価する運動をはじめ、過去に安全性でバッシングされた嗜好品が再評価を受けている一方で、身近なところでまさかと思うような食品の危険性が指摘されている。

| 16.03.04

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