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ミドル創生

「こんな日にフォロワーさん28万になりました。こんな日に。」
「なんて日だ!」
2016年2月4日、最近人気のシャープの公式ツイッター(https://twitter.com/sharp_jp?lang=ja)はこう呟いた。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の再建案を軸に再建を目指すことが発覚した、まさにその日だ。
シャープの公式ツイッターは、現在28万人ものフォロワーを抱える巨大アカウントで、日本有数のテクニックでツイッターを使いこなしていると話題を集めている。この日も、なんとお笑い芸人「バイきんぐ」の代表ギャグ「なんて日だ!」で、まさに最高のタイミングすぎるツイートに、ネット上では称賛の声が挙がっていた。誰でもどこかに取り柄は在るものだ。
しかし、シャープの経営陣は保身に走り、企業ではなく役員幹部に優しい案を求めて右往左往している様に見える。産業革新機構の事実上の国有化案と鴻海の一括救済案のどちらを選ぼうと、待っているのは地獄のリストラだという事を知るべきだ。
シャープの創業者早川徳治は1915年21歳の時に「早川式繰り出し鉛筆」シャープペンシルを発明し、それが社名の由来になっている。まさに時代の変化を先取りして機敏に成長事業を育てて来たわけだ。しかし現在のシャープ再生は、片や国策での事業統合、片や創業精神でトップダウンによる事業統合だ。効率化はいかなる場合にも必要だが、時代の先取りは更に重要だ。どちらの案にもクリエイティビティーを全く感じない。
今の日本の教育はサラリーマンを大量生産するシステムだ。常に強烈な起業家を生み出せないと企業がダメになると思われがちだが、果たしてそうだろうか?アジアから日本の企業を見ていると、日本企業の宝は役員ではなく「課長」達だとつくづく思う。日本企業のもの言う企画力あるミドルの力は、買収で大きくなった欧米アジアの企業にはない財産だ。この財産をどう生かすかが今回の再生のポイントだろう。
その昔中国を世界最大の経済大国にしたのは、身分を超えて国中から優秀な人材を登用した科挙制度だと言われる。鴻海の郭会長が欲しいのは「現代の科挙制度」を通った日本の課長達なのではないだろうか?
産業革新機構案は日本の課長の価値に全く気がついていない。余りにも幼稚な単なる業界再編案だ。情けない。第三の案、即ち優秀な日本のミドルとそのクリエイティビティーを生かす案を出す時だろう。
素晴らしい公式ツイッターを作れる様な人材がまだ社内に残っているうちに。

| 16.02.12

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