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アナログプレイヤー

世界最大の国際家電ショー、International Consumer Electronics Show (CES )2016が ラスベガスで1月6日~9日開催された。そこで日本メーカーが気を吐いたのは、なんと「レコードプレイヤー」だったそうだ。
CES2016は、今回世界から3800社以上の企業が出展し17万人以上の来場者が訪れた、世界のコンシューマーテクノロジーの方向性を示す一大展示会だ。特に今年は、時同じく1月11日から開催されたデトロイトモーターショーを完全に喰ってしまい、自動車メーカー各社もモーターショーより力を入れていたらしい。家電化する車をテーマに自動運転車の話題で持ちきりだった中、パナソニックとソニーはともに、なぜか「レコードプレイヤー」を話題の中心に据えていた???
パナソニックのレコードプレイヤー「Technics SL1200-GA」は、ブランド50周年を迎えることもあって豪華なデザイン・材質と考え抜かれたイノヴェイションでファンを喜ばせた。一方、ソニーの「PS-HX500」は、アナログ盤をハイレゾのオーディオファイルにリッピングできる機能で話題をさらった。昔のLPレコードコレクションをデジタルでバックアップし聴けるようになる。また、オーディオテクニカも新製品としてBluetoothアナログレコードプレイヤー「AT-LP60-BT」を発表した。コンピュータ化するデジタル家電が大勢を占める中、「レコードプレイヤー」が人間の感性の復権を示すアナログな新製品として注目を集めたようだ。
ここ数年の現象として、アナログ文化への回帰ともいえるLPレコードの人気が再び高まっている。米国では2014年のアナログレコードの売上げが前年比49%アップの800万枚に回復し、日本も同年アナログレコードの生産量が40万枚を超え、前年比66%アップとなっている。デジタル音源にはないダイナミックレンジの広さにこだわる人たちが支持しているだけでなく、アナログレコードを聞いたことがなかった若者の間でも人気が高まってきているようだ。しかし、もちろんマーケットが極マイナーな事に変わりはない。
LPレコードの時代は日本のオーディオメーカー全盛時代でもあった。CESの中でも人間の感性をピックアップするセンサー技術など、エモーショナルなテクノロジーは日本の技術者の強い部分だ。量ではすっかり韓国、中国にリードされてしまった家電業界で、「感性」を売り物にライジングサンの時代は再び来るのだろうか?

| 16.01.29

SMAPビジネス

SMAPメンバーの独立・解散危機騒動の話題で、日本のマスメディアは持ちきりだ。
SMAPの代表曲「世界に一つだけの花」のCD売り上げランキングが、各音楽チャートで急上昇している。騒動を起こすことで売上が上がることが何か腑に落ちない人は多いのではないだろうか?
amazonのCDの売れ筋ランキングでもSMAPは1位になっている。アルバム「SMAP Vest」もランキングが急上昇し、ローチケHMVのオンラインサイトで2位にランクイン、最新シングル「Otherside/愛が止まるまでは」も前週198位から10位に突然ジャンプアップしている。中でも2003年3月に発売された「世界に一つだけの花」は、既に260万枚を売り上げているが、一部ファンの解散阻止を訴える購買運動が起き、SMAPのファンだけでなくファンではない一般人も老若男女問わず購入した結果、ここに来て更に売上を伸ばしているそうだから驚く。
一方新聞でも、この騒動を最初にスクープした日刊スポーツの売り上げは普段の水曜日の1.5倍で過去最高、同じくスポーツニッポンの売り上げとネット記事のアクセスは芸能ニュースとして21世紀に入っての最高を記録したそうだ。その後もスポーツ紙は連日一面で取り上げ、TVは18日月曜夜のフジテレビ『SMAP×SMAP』が、解散騒動後初めて5人そろっての緊急生放送ということで、平均視聴率31.2%、最高視聴率37.2%を記録した。折しも今春の連続ドラマで、草なぎ剛主演の『スペシャリスト』(テレビ朝日系)、香取慎吾主演『家族ノカタチ』(TBS系)がスタートしている。SMAPのメンバー主演とあれば、話題性もあって視聴率を押し上げているであろうことは想像に難くない。
こうした一連の騒動…解散報道、ジャニーズ事務所の内部対立露見、マネージャーの退職、ファンの反発、そしてSMAPの復活へと、そのシナリオは描かれたもの、すべてが計画通りだとしたら?と見るのはゲスの極み!なのだろうか?
今年はSMAPデビュー25周年という事実が不自然さを増長させる。
それにしても最近のジャニーズ事務所の政財界への影響力は大きくなりすぎているのではないか。安倍首相までもがSMAPへのコメントを出し視聴率UPに協力しているのは滑稽だ。まさか5人とも今年の参院選に自民党から出るのではあるまい?!それを狙って選挙年齢を下げたのだろうか?・・・まさか!

| 16.01.22

観光立国限界値

政府は、2015年1年間に訪日外国人客数がほぼ2000万人を達成したことを受け、「2020年までに年間2000万人に」としていた目標を、3000万人に修正表明した。果たしてこの数字は少ないのか多いのか?
確かに数値的には2016年から毎年15%ずつ増えていけば2020年に3000万人達成は可能であり、近年の伸び率から見るともっと多くしろと言う意見も分からないではない。しかし、「年3000万人」は日米地位協定下では限界との声も聞こえて来る。それはどういう意味なのか?
世界ではフランスの8400万人超を筆頭に、米国、スペイン、 中国、イタリア、トルコ、ドイツ、英国がインバウンド観光客3000万人超である。しかし、英国以外は陸続きで車でのインバウンド数が大きく貢献している。日本の場合は、インバウンド客数のほぼ全てを航空機に頼らなければならない。
そう考えると、飛行機だけで2000万人はそんなに少ない数ではない。3000万人超達成の為に、先ずは訪日外国人の過半数が利用する成田・羽田空港の年間発着枠を今後数年で約75万回まで拡大する予定だそうだが、2013年時点で約68万回である事からすると75万回はほぼ限界だろう。しかも、3000万人超の訪日外国人客を受け入れるには75万回でも不十分だと指摘されている。
一方日本の場合、もっと根本的な問題を解決する必要があるようだ。羽田空港や成田空港を利用する飛行機が、大回りに旋回して着陸していることに気づいている人も多いと思う。最短でアプローチ出来ない理由があるのだ。関東中心部の上空は未だに米軍の管理下に置かれ、横田・厚木基地がその支配権を握っている現実がある。沖縄を含め日本の地上は返還されたが、東京の空は未だに返還されていないという事実認識無しに、ただ浮かれてインバウンド観光客数を英国並みにとは言えないだろう。
他国の軍隊が首都圏の広大な空域を占有し続け、民間航空機が自由に飛べない現実。安保条約に基づき制定されている憲法に優先する「日米地位協定」という見えない壁が、インバウンド3000万人達成を阻むだろう現実がそこに在る。冷戦終了後、不平等条約である地位協定を破棄したドイツ、イタリアと、未だに米国と対等外交ができない日本の差は何なのだろうか?
新観光立国推進は、思わぬところで日本の地政学的弱点を露呈させることになりそうだ。基地問題は沖縄固有のものではなく、東京、いや日本全体の問題なのだ。

| 16.01.15

惑星植民

2016年は5月に火星が地球に最接近する。そして、アメリカで昨年興行収入1位を記録した火星探査映画『オデッセイ』が2月に日本でも公開される。火星探査中に遭難しNASAから死亡と認定された宇宙飛行士が実は生き延びていて、自らの知恵で命をつなぎながら地球へ救出されるというストーリーだ。各国がしのぎを削る火星探査計画も続々と動き出し、2016年は火星有人探査が一気に現実味を帯びて来る。
一方、日本の金星探査機「あかつき」が深刻なトラブルから5年を経て見事に生き返り、昨年末金星周回軌道突入に成功したのは記憶に新しい。日本の惑星探査技術は、ハヤブサの快挙以来世界的に高く評価されている。金星は明けの明星、宵の明星と呼ばれ、一番星として古来より地域や人種を問わず多くの人に親しまれてきたが、大きさがほぼ同じでどちらも大気を持っているという点で地球と似ている。しかし、過去の惑星探査機などによる調査の結果、金星の大気は地球とは似ても似つかない灼熱地獄であることもわかっている。だがNASAは、金星は火星よりも遙かに地球に近い為、移住先として注目しているようだ。金星の豊富な太陽光エネルギーを利用し、太陽電池を装備した巨大なヘリウム飛行船を金星の上空に浮かべて、有人探査を行おうと考え始めているのだ。
すでにアメリカでは小惑星の資源採掘を目指す複数の企業が積極的に活動を行っており、アメリカ政府は「2015宇宙法Space Act of 2015」(https://www.congress.gov/bill/114th-congress/house-bill/2262)なるものを制定し、アメリカ企業が宇宙で取得した資源についてはアメリカの所有物であると“勝手”に認めている。アメリカの小惑星資源探査企業が、日本の小惑星探査機「はやぶさ」が着陸したイトカワを、資源探査にもっとも適した小惑星として狙っているとの情報もある。「2015宇宙法」が日本にもあれば、イトカワは既に日本の領土である。
日本は、スーパーカミオカンデにおける太陽からのニュートリノ発見や質量の確定など、小柴昌俊博士や梶田隆章博士のノーベル賞受賞を、科学的成果と純粋に喜んでいるおめでたい国に見える。宇宙惑星探査の目的において、アメリカ・中国・ロシア・欧州が惑星に植民地としての領土を求めていることを認識するべきだろう。14世紀以降の大航海時代の新大陸発見というモチベーションが、世界では今も脈々と生きていると肝に銘じることが、2016年の世界情勢を見通す上で日本には必要であろう。

| 16.01.08

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