trendseye

絶食系男子

近頃、「絶食系男子」という用語を耳にする機会が多くなった。
かつて注目された「草食系男子」は、「恋愛をしたいけど自分から積極的に女性にアプローチをすることができない男子」のことを言ったが、「絶食系男子」は「もともと恋愛に興味がなく、恋愛をしない男子」のことを指していると言われている。恋愛を人生に必要のないものだと考えながらも女性の友達もたくさんおり、恋愛感情を介さないコミュニケーションをしっかりと女性ととることができるところから、「草食系男子」の進化系ともいわれる。決して女性が嫌いとか苦手とかいうわけではなく、友達としての付き合いならまったく問題がないと考えているようだ。
「絶食系男子」で一躍有名になったモデルの“とまんくん”は、ネオイケメンとして多くの人の注目を集めている。彼は自身で「睡眠欲・食欲・性欲」はないと語っており、持っている欲求は「美に対する欲求」だけだそうで、自ら「絶食系男子」と分類している。XOX(キス・ハグ・キス)というBOYSグループに所属する読者モデル兼アイドルで、主食はするめとマシュマロ?メイクやダイエットはするけれど、女装家やおかま、ニューハーフではない。“女の子”に見えてはいけないので、あくまでも“男の子”として、ジェンダーレスを謳歌することを望んでいる。
株式会社リクルートマーケティングパートナーズが運営する恋愛・婚活コラム『ホンネストpowered byゼクシィ縁結び』が、昨年独身男女2000人を対象に行った調査(https://zexy-enmusubi.net/honnest/entry/3795/)によると、実際に「絶食系男子」に会ったことがあると回答した人は19.0%で、約5人に1人が日常生活で「絶食系男子」と接触していることが判明した。
最近は「絶食系男子」と特徴を同じくする「絶食系女子」も増えてきているようだ。彼女たちは恋愛や結婚を経験することがなくても、自分の人生を堂々と楽しく生きていける自信がある。すべてのチャンスは自分次第だという強い信念を持ち、異性に頼りたいと思うこともない。自分の思うままに身軽に動けることが、どんなことよりも重要だと考えているというのだ。
新しい社会構造へのパラダイム変化を受け入れる能力が、コミュニティーや自治体、国家に求められているのではないだろうか?
日本の社会がそれらに鈍感なのが心配だ。

| 16.07.29

パッション・サーチ

世界最大のオンライン宿泊予約サイトであるBooking.comが、ユーザーの興味やテーマからおすすめの目的地を簡単に検索できる新ツール「パッション・サーチ」(http://www.booking.com/destinationfinder.html)の導入を発表し話題になっている。この新しい検索方法は、ユーザー個人のパッション(情熱)や興味に対し、最適な目的地や滞在先を見つけてくれる。これまで旅行業界で導入されていた、特定の都市や宿泊施設名からの検索方法と比べて非常に包括的な方法で、旅行検索サービスの変革と言えそうだ。
この「パッション・サーチ」を可能にしているのが、創業以来10億人を超える宿泊者から蓄積されてきた2,600万件以上のユーザーの声というビッグデータだ。一人ひとりの好みを学習して旅先をリコメンドする独自のアルゴリズムが、ユーザーが新たにコメントを加えることで更に賢くなっていく。インターネットとAIアルゴリズムで人の感情と結びつくテクノロジーが、新しい「旅のつくり方」を生み出したと言える。
未来のテクノロジーは、人間の「感情表現」の手助けを最優先に発展すると考えられている。人工知能(AI)や、ロボット技術、ナノエンジニアリングの発達により、「感情認識技術(emotional technology)」の開発が急激に進み、半世紀以内に登場すると見られる技術の一つが、“場の雰囲気を読む”技術だそうだ。人々が争ったり、人間関係に悲しみが生まれたりするのは、「自身の感情を的確に相手に伝えることができない」という点に起因する。そこでその弱点を克服するための「場の雰囲気を客観的に表す技術」が登場すると予測されているのだ。この技術は、人と人がどのタイミングでどんな感情を持っているのかをインターフェースで表示してくれる。仕事から帰宅して何も話す気力がないほど疲れている時に、「怒っているわけではなく、ただ疲れているだけ」ということを家族に伝えたり、パーティーで異性に話しかける際に、恋人に対して「君に興味がなくなったのではなく、自分がまだ他の異性にとって魅力的かどうかを知りたいだけ」と伝えることができ、余計な誤解を招くことがないというのだ。
しかし一方、誤解のない世界がどんな意味を持つというのだろうか?誤解への対処が人の諸々のいとなみを味のあるものにしているのではないだろうか?AI技術はエンジニアの仮設が幼稚だと、とんでもない無用の長物になる恐れがある?

| 16.07.22

ライブ撮影解禁

浜崎あゆみがツアー中の「ayumi hamasaki ARENA TOUR 2016 A ~MADE IN JAPAN~」で遂に撮影を解禁した(http://madeinjapan-ayu.jp/)。ファンの間では概ね好評だそうだ。
今回解禁されたのはオープニングから3曲のみ。3曲目が終了する前に、「この曲が終了しましたら携帯電話及びスマートフォンの電源をお切りください」とのメッセージがステージスクリーンにながれる仕組みだ。ファンは撮影した写真をツイッターやインスタグラムなどのSNSでハッシュタグを入れて拡散し共有する。アーティストにとってツアーの熱気がファン発信で拡散されるのは最大の宣伝でありそのメリットは大きいのに、どうして業界は解禁に消極的なのだろう?
海外アーティストのライブは日本以外では通常撮影OKだが、なぜか日本では長らく禁止されてきた。しかも発見された場合は退場といったアナウンスが毎回流れるので、コンサート前にしらけムードが漂っていた。大規模なアリーナコンサートやフェスでも厳しく取り締まられてきたが、ここ数年海外アーティストを中心に一部のライブで撮影許可が当たり前のようになったことで、やっと日本人アーティストや日本でのイベントでも撮影解禁が増えてきているそうだ。
なぜ世界に先駆けて解禁しないのかも不思議だが、それ以上に日本は外人にとって変わった国に違いない。ライブでの写真撮影解禁はすべてのファンにとって朗報かと思いきや違うのだ。「ライブの記念に積極的に撮りたい派」と、「自主規制してでも音楽をじっくり聴きたい派」とがあり、好きなアーティストの演奏と会場の一体感を楽しみたいファンには写真撮影は迷惑らしい。意外にも日本の観客は規制されることがイヤではないようだ。我慢強いのか?飼いならされてしまったのか?
浜崎あゆみのファンは撮影解禁を受けて、セルカ棒禁止、フラッシュ厳禁、動画禁止などのルール徹底をツイッターなどで提案しているようだ。そのおかげで撮影の曲目が増やされた?厳しい規制事項を共有することで、ライブでファンが一体感を持つ!ことが出来る??規制されることで喜びが増すマゾヒスティックな集団になっているのだろうか?
日本人は戦後米国に安全保障を頼ることで、平和憲法の名の下にいつの頃からか従属国家となってしまったのか?たかがライブの写真撮影解禁からも思う。

| 16.07.15

ヌッテ

オリジナルな服を創るためのマッチングサイト『nutte』(https://nutte.jp/)が密かに注目を集めている。
『nutte』は、元裁縫職人の伊藤悠平氏が代表を務める株式会社ステイト・オブ・マインドが、2015年2月に運営をスタートし、「服を作りたい人」と縫ってくれる「縫製職人」の出会いをサポートする、いわば「縫製クラウドソーシング」とも言えるWebサービスだ。
たった一点からオリジナルが制作できる『nutte』には、アパレル業界を変えるインパクトがある。ユニークで作り手の顔が見え、自分自身も当事者として関われることに価値を見出す個人ユーザーが、口コミで『nutte』をじわじわと浸透させ始めている。
国内の繊維産業でもっとも危機に瀕しているのは、実は撚糸工場ではなく縫製工場だと言われている。昨今のメイドインジャパンブームから日本製生地への注目度は高く、メディアへの露出も多く、生地製造工場は意外に生き残っている。しかし国内縫製工場の数は、大手アパレルが中国、ベトナム、バングラデシュなどへ工場を移すのに伴い減っている。生き残っている縫製工場も情報発信手段を持たず、需給バランスが不均衡だ。そこに目を付けたのが『nutte』だった。
『nutte』の伊藤氏は早稲田大学卒業後服飾の専門学校に進学して、2005年から10年間縫製業を経営し、国内縫製産業衰退の有様を目の当たりにしつつ業界改革を模索してきた。価格帯は大体1~2万円程度、縫製職人には約2500の事業者と個人約1000人が登録している。更には百貨店のそごう・西武が、9月から『nutte』との共同開発で、各地方店の特性に合わせて発信するプライベートブランド「リミテッド エディション エリアモード」を展開するなどに発展している。
一方、B to Bレベルで縫製工場をネットワーク化した『sitateru』(http://www.senken.co.jp/news/sitateru/)も小ロット生産が可能で、しかも組織する先を国内縫製工場に限定していない。2016年に提携工場を50にまで拡大し、5年後はアジアを中心に100まで増やす計画だそうだ。
これまでは大手グローバルブランドによるトップダウンでトレンドが作られてきたアパレル業界だが、アイテムを絞って大量生産で成長してきたGAP等の衰退が伝えられている。『nutte』や『sitateru』が世界の服作りを1点もののオリジナルな手作りに変え、「GAPの値段でオートクチュールを!」ということになるのだろうか?しかも、それをドローンがお届け…という時代がやって来る!?

| 16.07.08

PEACE AND LOVE

英国の国民投票は大方の予想を裏切って「EU離脱」を選んだ。報道の混乱の中、2015年末にスタートしたばかりの東南アジア10カ国による緩やかな経済圏の構築を目指すAEC (ASEAN Economic Community )にも危機感が走った。
AECは昨年大晦日に10カ国が連合し、域内人口約6億3千万人で発足。スローガンは参加する国名のアルファベットから“PEACE AND LOVE”と掲げられた。PHILIPPINE「P」、SINGAPORE「E」、MYANMAR「A」、CAMBODIA「C」、INDONESIA「E」、THAILAND「AND」、MALASIA「L」、LAOS「O」、VIETNAM「V」、BRUNEI「E」 といった具合だ。ちょっとこじ付けだが?!
アジア版EUと言われて注目されているAEC(http://asean.org/asean-economic-community/)だが、 EUとの最大の違いはまずユーロのような単一通貨を持たず、ECB(欧州中央銀行)のように金融政策を統括する中央銀行もないこと。しかし、域内の関税は次第に撤廃され、ビザなしで人の移動も労働も自由化されていく予定だ。ある意味では人口6億3千万人のもう一つのUSA(ユナイテッド・ステイツ・オブ・アジア)の誕生だ。
一方EUは、米国に対抗しうる人口5億820万人の唯一の経済連合としてギリシャ危機も乗り越え落ちつくかとおもわれたが、英国のEU離脱があっさり決まってしまった。EUのGDPの約2割を占める英国では、イタリア・スペインなどの大国の隠れ債務に対する反感が広がり、ドイツ国民にもこれ以上貧しい国を支えられないという反EU感情があるようだ。
ドイツ経済はハプスブルク家の繁栄がもたらしたその底力で、第一次世界大戦、第二次世界大戦に敗戦しながらも更なる発展をとげ、今やEUを経済面から支えている。英国は植民地支配と産業革命で築いた富で、ロスチャイルド家に代表されるユダヤマネーが世界の金融を牛耳ってきたが、新大陸の英連邦諸国やタックスヘイブンに持ち出されてしまい、すっからかんになりつつある。英国の経済的凋落がEU離脱の背景に横たわる。
東南アジア諸国は、高度に統合され単一市場の形成がなされたEU (欧州連合)に比べて、域内市場自由化の足並みが揃わず、実情は単一市場形成どころか多くの分野で未だにバラバラな状態だとされる。しかしGDPの高い伸びを見せる若い「搾取され続けた国々の連合」が、「搾取し続けた国々の連合」を経済力で凌駕する時が来るかもしれないという期待感は、実に痛快である。

| 16.07.01

CATEGORY

  • BOOM
  • FOOD&RESTAURANT
  • LIVING&INTERIOR
  • SCIENCE&TECH
  • TRAVEL
  • TREND SPACE
ART BOX CORP.