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ヌッテ

オリジナルな服を創るためのマッチングサイト『nutte』(https://nutte.jp/)が密かに注目を集めている。
『nutte』は、元裁縫職人の伊藤悠平氏が代表を務める株式会社ステイト・オブ・マインドが、2015年2月に運営をスタートし、「服を作りたい人」と縫ってくれる「縫製職人」の出会いをサポートする、いわば「縫製クラウドソーシング」とも言えるWebサービスだ。
たった一点からオリジナルが制作できる『nutte』には、アパレル業界を変えるインパクトがある。ユニークで作り手の顔が見え、自分自身も当事者として関われることに価値を見出す個人ユーザーが、口コミで『nutte』をじわじわと浸透させ始めている。
国内の繊維産業でもっとも危機に瀕しているのは、実は撚糸工場ではなく縫製工場だと言われている。昨今のメイドインジャパンブームから日本製生地への注目度は高く、メディアへの露出も多く、生地製造工場は意外に生き残っている。しかし国内縫製工場の数は、大手アパレルが中国、ベトナム、バングラデシュなどへ工場を移すのに伴い減っている。生き残っている縫製工場も情報発信手段を持たず、需給バランスが不均衡だ。そこに目を付けたのが『nutte』だった。
『nutte』の伊藤氏は早稲田大学卒業後服飾の専門学校に進学して、2005年から10年間縫製業を経営し、国内縫製産業衰退の有様を目の当たりにしつつ業界改革を模索してきた。価格帯は大体1~2万円程度、縫製職人には約2500の事業者と個人約1000人が登録している。更には百貨店のそごう・西武が、9月から『nutte』との共同開発で、各地方店の特性に合わせて発信するプライベートブランド「リミテッド エディション エリアモード」を展開するなどに発展している。
一方、B to Bレベルで縫製工場をネットワーク化した『sitateru』(http://www.senken.co.jp/news/sitateru/)も小ロット生産が可能で、しかも組織する先を国内縫製工場に限定していない。2016年に提携工場を50にまで拡大し、5年後はアジアを中心に100まで増やす計画だそうだ。
これまでは大手グローバルブランドによるトップダウンでトレンドが作られてきたアパレル業界だが、アイテムを絞って大量生産で成長してきたGAP等の衰退が伝えられている。『nutte』や『sitateru』が世界の服作りを1点もののオリジナルな手作りに変え、「GAPの値段でオートクチュールを!」ということになるのだろうか?しかも、それをドローンがお届け…という時代がやって来る!?

| 16.07.08

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