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第3の繊維

山形県鶴岡市の人工合成クモ糸繊維の開発で全国に知られるバイオベンチャーSpiber(スパイバー社)が、肌触りや保温性ではカシミアをも凌ぐという驚きの新しい素材を開発した。
( https://www.spiber.jp/endeavor )
開発された新素材には、これまで同社が培ってきたクモ糸研究技術が活かされている。もとになるタンパク質は、クモを由来とする遺伝子を微生物に組み込み糖分で培養して作る。できたタンパク質は精製して特別な液体に溶かされ、独自の技術で繊維につむがれる。
このタンパク質素材は、石油を使わずかつ従来の化学繊維やプラスチックより高機能で環境にも優しい繊維や樹脂などを作れるため、動植物繊維、化学繊維に続く“第3の繊維”ともいえる究極のサステイナブル素材として、世界中の投資家や研究機関の耳目を集めている。
今、世界は昆虫に注目している。昆虫を使った新しい産業の創出は、スマートフォンなど異分野の通信機能を拡張させるヒントとしても使われているそうだ。
ヴァージニア工科大学の研究者たちは、昆虫がグリコーゲンをエネルギー源として蓄える仕組みを模した携帯電子機器向けのバイオバッテリーを開発している。合成燃料を使ってグルコース(ブドウ糖)を電気に変えることができ、標準的なリチウムイオンバッテリーと比べて10倍以上のエネルギーを蓄えることが可能だという。
ハーバード大学のウィス研究所は、「Shrilk」という名のバイオプラスティックを開発した。アイデアの起点となったのは、蝶の羽に柔軟さを与えている仕組みで、素材的にはアルミニウムと強度は同じだが重さが半分という優れものだ。
カメラからバッテリーにいたるまで、あらゆる分野で昆虫学を巧みに融合させた画期的なテクノロジー「バイオミメティクス」が生み出されている。
ところでスパイバー社は、“第3の繊維”の生産に特化した工場を、クールジャパン機構の支援でタイに建設する予定だそうだが、スパイバー社のような希少技術を持つ企業の海外生産を安易に許すのは、国策として問題ではないだろうか?汎用化された自動車は、タイなど第三国でコストコンシャスに生産することに意味があるが、高高度独自技術を生産過程で流出させてはいけない。
独自の革新技術を利用して自国で付加価値をつけた商品を生産出来ることは素晴らしいことだ。安い労働力や生産コストのみを求めて海外に出る時代は終わった。日本国政府は、何が国力を創り出すのかを真剣に考えるべきだろう。

| 19.02.15

ジェットタクシー

米航空機大手ボーイングが、自動操縦で飛行する電動「空飛ぶタクシー」の試作機passenger air vehicleの試験に成功したと発表した。( https://www.youtube.com/watch?v=FpaYoF12Rnk&feature=youtu.be )
ドローンのように垂直に離陸し、「60秒間浮いた」ホバリング後に着陸したそうだ。ボーイングは現時点でも「大きな進歩」だとし、世界で最も安全で効率的な移動手段として、さらに研究を進めると述べている。
「空飛ぶタクシー」を巡っては、米配車大手ウーバー・テクノロジーズが2023年の実用化を掲げ、米IT大手グーグルの共同創業者ラリー・ペイジ氏が支援するベンチャー企業も既に試験飛行を始めている。
各国で開発競争が過熱しそうな様相を呈しているが、「まだ時間がかかる」という見方が多い一方で、ボルボやロータスの親会社、中国の吉利汽車が買収したアメリカのテラフージア社のTF-Xが実用化間近だとのニュースも出てきている。
ところで、ドローン型「空飛ぶタクシー」と並行して、我が国で俄かにその実用化が叫ばれているのが「ビジネスジェット」だ。欧米では購入者のほとんどが大企業の経営者で、ビジネスを効率的に動かすために使っている。米国では贅沢品というより既にハイエンドの実用品だ。
専門誌『Business Jet Traveler』の読者へのビジネスジェットに関する8回目のアンケート調査によると、使用目的として最も多かったのは「時間の節約」だそうだ。2位が「航空会社が乗り入れない空港を使える」、3位は「快適なフライト」、4位が「機内で仕事や会議ができる」、そして「プライバシー」、「安全性」と続く。
移動距離は77%が1500マイル(約2700キロ)以下のことが多いと回答。26%は500マイル(約900キロ)以下の移動と意外に短く、大陸間移動というより都市間移動のイメージだ。
平均的な搭乗人数は5人までと答えた人が80%。しかもフライトに食事を付けないが52%に上り、24%は客室乗務員も用意しないと回答している。
日本人は実用利用よりも贅沢な節税商品として豪華さを競い、利用目的を誤解している節がある。しかし国際的な調査では、豪華さよりも実用性を重視し、購入者はより小型の飛行機を好む傾向があり、複数での共同保有、チャーター利用も増えている。
結果、世界のビジネスジェット利用は71%を北米が占め、西欧が9%、アジア太平洋が4%、南米が3%だった。日本は未だ数に表れていない。
首都圏の管制権もままならない日本だが、ビジネスジェットのための首都圏空港整備はオリンピック前の可及的な優先課題だろう。

| 19.02.08

イケメソ

最近いわゆる「涙活」を福利厚生の一環として取り入れる企業が増えているようだ。
「涙活」を提唱している涙活プロデューサー寺井広樹氏は、一緒にメソメソ泣いてくれるイケメンの感涙療法士を派遣するサービス「イケメソ宅泣便」を主宰している。「イケメソ宅泣便」は、企業に招かれたイケメンの「感涙療法士?」が、“能動的な泣き”で社員の心をデトックスして、健康的な精神を取り戻させてくれる「涙活」サービスなのだそうだ。
昨年、米誌「ナショナルジオグラフィック」と「アトランティック」、中国の新浪財経がこれを相次いで取り上げ、サービスの様子を撮影した『Crying with the Handsome Man』 ( https://news.nationalgeographic.com/2018/01/japan-crying-culture-women-handsome/ ) と題する短編ドキュメンタリー付きで紹介。
物悲しい音楽とともにハンサムな男性が企業へ出向き、泣ける動画を社員と一緒に見ながら泣いている姿が映し出される。日本にはハンサムな男性が一緒に泣いて、涙までそっとふいてくれる不思議な出張サービスがあると解説している。
「感涙療法士」の資格は、心を癒し安定感や平常心をもたらすといわれる脳内物質「セロトニン」研究の第一人者である東邦大学医学部名誉教授、有田秀穂氏が指導するセミナーを受講し、認定テストを受けると取得できるとのこと。これは寺井氏が会長を務める「全米感涙協会」が認定している新しい医療職なのだそうだ。
「イケメソ宅泣便」に所属する感涙療法士は、弟系イケメソ、オラオラ系イケメソ、癒し系イケメソなど、バラエティーに富んでいるらしい。イケメンが感動の物語を朗読したり、一緒に動画を見て泣いたり、壁ドンならぬ「頬ポン」サービスという、涙をハンカチでぬぐってくれるサービスもあり、女性には大人気だというのだ。
因みに「イケメソ宅泣便」を取り上げた米誌「アトランティック」によると、37ヵ国を対象に成人が泣く傾向を調べた国際的な調査で、最も泣きにくいのは日本人で、最も泣きやすいのはアメリカ人だったそうだ。
ところでアイドルグループ「嵐」が来年で活動を休止することになった。「SMAP」に続いて表舞台を去る国民的人気グループを惜しむ声は多く、涙ぐむファンの様子や突然の活動休止に戸惑う声などが伝えられている。“仲良し”の「嵐」が心地よかったのは、「イケメソ」的効果があったからではないだろうか?
韓流アイドルグループは高いダンス能力や歌唱力で人気だが、日本のアイドルグループは日本が「涙活」の国であることを感じさせる。

| 19.02.01

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