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アナログチップ

80年代にニューラルネットワークの応用で、その完成を期待された日本発のオリジナルOS「トロン」と「どこでもコンピュータ/ユビキタス社会」という概念は、それを脅威と感じた米国によって闇に葬り去られた過去がある。
昨年11月、今度は米国のスタートアップ企業Mythic がアナログチップを使用してニューラルネットワークを動作させることで、デジタル技術を上回る性能を出すことに成功したという報道があった。(https://www.wired.com/story/an-old-technique-could-put-artificial-intelligence-in-your-hearing-aid/)
近年AI(人工知能)は飛躍的に進化しているが、それを駆動させるためにはデジタル化された超高速クラウドコンピューティング技術が必要とされる。例えば将棋盤の前のAIロボットアームだけを見ていると気がつかないが、世界のどこかで超高速ホストコンピュータが次の一手のために動いているのだ。AIが進化すればするほど、背後のスーパーコンピュータは大型化し、膨大な計算量をこなすことになる。
生身の棋士はもうAI棋士に勝てないというが、ホストコンピュータに接続することを禁止したら、AI棋士は稼働することもできないかもしれない
現在のデジタル発想では一台のAI棋士のバックアップすら大変だ。ましてや一台のAI自動運転車が技術的に可能というのと、蓋然性を持って現在の車社会全体規模での自動運転が可能というのでは、話の桁が違うことを理解すべきだ。
ニューラルネットワークの概念は、AIの汎用化に際しプライバシーや時間、エネルギー上の制限等を解き放つことを意味し、優秀なアナログチップの登場は、AIが人間の “脳”に近づく瞬間をもたらす。
1980年代にトロンOS開発を放棄した日本のメーカーは、その後デジタル技術に傾倒し優れたアナログ技術者を失った。一方リニアテクノロジーを考える米国は、「アナログ・グル」と呼ばれる天才アナログ回路技術者たちを残した。それから30年、一層強まる高度な“ユビキタス社会”に代わるところの“IoT社会”を実現するアナログ技術者の育成は米国が先行し、思惑通り米国企業が台頭、日本は戦略的敗北を喫している。
政治家と役人に“日本の技術を世界に採用させる”気概がなければ、日本の産業も経済も決して世界をリードできない。凋落は誰の目にも明らかだ。

| 18.02.09

渡辺直美

「Gap」が展開する新コレクション「Logo Remix Collection」のキャンペーンビデオ (https://youtu.be/ymrTNoGnP5Q)が話題になっている。各国の"インフルエンサー"とともに、Instagramフォロワー数日本一、760万人を抱える“お笑い芸人?”渡辺直美が出演し、1月25日に世界同時公開された。スリムな出演者の中、渡辺が一人異彩を放っている。
公開された映像には、渡辺直美や歌手のSza等、音楽、コメディ、社会活動の分野で自分らしい新たなカルチャーシーンを生み出している9人が出演、撮影はニューヨークで行われた。予定では渡辺直美の出番は少なく立ち位置も後方だったが、「ちょっとふざけて変な動きをしたらダンス力を認められて、『あの子、何?』みたいな感じになって、ソロパートが増えた」と後日本人が明かしている。
「VOGUE イギリス版」は今回の渡辺直美の起用を深堀り、「日本女性に対する固定観念を破壊している」と大々的に取り上げている。これ以前も、女性は痩せている方がいいという日本の固定観念を覆し日本女性に勇気を与える存在、としてワシントンポストなどで取り上げられてきた。「VOGUEアメリカ版」は、渡辺直美のすっぴんからステージ用本番メイクが完成するまでの過程を紹介したメイク動画を公開し、「日本版ビヨンセ」の呼称で日本の女性をインスパイアし続ける存在、と位置付けている。
渡辺直美起用のきっかけはInstagramの動画らしいが、動画を見た欧米人は彼女をダンサーとして素直に評価している。「すごく練習しているね」「上手いね」「綺麗だね」という感想がほとんど。渡辺がお笑い芸人だと知ると、「どこで笑うの ?」と聞かれるほどだそうだ。
日本では、渡辺直美(日本人と台湾人のハーフ)のようなアジア顔の太った芸人が黒人ダンサーのように激しい動きができることをお笑い芸としてしか見て来なかったが、海外の反応に目から鱗というところだろう。
一方、昨年末放送されたお笑い番組「笑ってはいけない」で、ダウンタウンの浜田雅功がエディ・マーフィ主演の「ビバリーヒルズ・コップ」に扮して肌を黒くメイクして登場した。日本のお笑いは未だに黒塗りで黒人を表現し、庶民の中に存在する固定観念によってお笑いが成立すると言う悲劇性を内包している。それゆえ渡辺直美の真の美しさを見落して来たのだろう。
お笑い芸人全盛の日本のテレビ界だが、現場の無知と日本人社会の大きな時代錯誤に警鐘を鳴らしたい。

| 18.02.02

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