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春運(チュンユン)

今年は2月16日が陰暦の正月で、いよいよ“春節”(チャイニーズ・ニューイヤー)休暇に入る。15日の大晦日が木曜日なので21日まで7連休となるようだ。
“春節”は、中国、香港、台湾はもちろん、韓国、北朝鮮、ベトナム(テト)、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ブルネイ、モンゴル等でも国民の休日で、世界各地で民族の大移動“春運”が始まる。
“春運” (https://baike.baidu.com/item/%E6%98%A5%E8%BF%90/329360)とは、“春節”の帰省・Uターンラッシュのこと。毎年旧正月の2週間前から始まり、春節を挟んで約40日間続くそうだ。
“春運”という言葉は、1980年に人民日報で使われたのが始まりだと言われている。当時の中国では改革開放政策により人民の移動制限が緩和され、多くの地方民が仕事や学業のため故郷を離れて都会に出るようになった。そして春節の期間の大規模な里帰り現象が起き、世界に類を見ない民族大移動“春運”が生まれた。
期間中に移動する人の総数は1980年当初1億人程度だったが、2015年には30億人を超えたとも言われ、世界人口の約半数が移動する一大イベントとなっている。
その影響力におもねるように欧州の首脳も中国国家主席に“春節”の祝いを述べるのが恒例となり、イギリスの首相も祝福メッセージを送り、フランスではエリゼ宮殿で“春節”のパーティーを開き、ドイツ首相は春節前に中国の指導者に電話で新年の挨拶をする。欧州主要都市で開かれるさまざまな催しは中国系観光客を誘致しようという思惑からだ。
今や西暦でのクリスマスと対抗する世界の休日として浸透した“春節”に、人民日報は「世界に広がる春節の祝賀は、中国のソフトパワーだ!」と謳った。
そんな中、米調査会社のユーラシア・グループは「世界における10大リスク」を発表し、2018年は「中国の影響力拡大」を首位に挙げた。
因みに17年の10大リスク首位は、「米国第一主義を掲げるトランプ大統領」だった。彼は昨年”春節“を無視するかのように在米華人への祝賀メッセージを発表せず話題となったが、中国は着実に広域経済圏構想「一帯一路」やインフラ投資などを通じて、世界への影響力を強めている。
中国の台頭と激増する人とモノの移動は、世界のトランスポーテーションとアコモデーション事業の飛躍を約束する。
この両分野で大胆な改革をためらう国は、手痛いしっぺ返しを受けるだろう。

| 18.02.16

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