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和婚和才

まるで日本人がハワイで式を挙げるように、京都の神社で結婚式を挙げる外国人が増えている。
「日本の伝統文化を体験したい」、「京都旅行の思い出にしたい」といった思いを受けて、ブライダル会社も外国人観光客向けの“和婚体験”の商品化(http://www.kyoto-weddings.jp)に本腰を入れ始めた。
上賀茂神社では年間約800組が結婚式を挙げており、そのうち約100組はカップルのどちらかが外国人だという。インバウンド旅行者が急増していることなどから、神社は昨年10月に婚礼部を新設した。写真撮影や披露宴の会場選び、移動手段の手配など、外国人対応のサービス充実を図っている。こうした動きを加速させようと、京都市は平成27年度から、市内で挙式する外国人カップルに、門川大作市長の署名入り「結婚証明書」を贈る取り組みを実施している。平成27年度以降の約3年間で69組のカップルに証明書を贈ったという。
一方2015年7月にパリで開催されたジャパンエキスポでは、「和婚」をPRする神前スタイルの挙式パフォーマンスが行われた。少子高齢化のなか新たなウエディング顧客をつかむため、ブライダル業界は海外顧客獲得へ動いている。
外国人観光客向け“和婚プラン”の魅力は、従来の着付けと写真撮影だけでなく略式の神前結婚式を挙げられることだ。宗教上の理由で奉告祭ができない人には、別途神社や庭園での写真撮影や人力車での観光をアレンジするなど様々な対応をしている。中でも花嫁行列は大変な人気らしい。
背景には、信仰する宗教を問わず受け入れる神社の寛容さと、神前結婚の歴史の深さがあるという。神社側も「日本の神社はどんな信仰を持つ人でも受け入れるし、ネットの普及はそれを後押ししている」と指摘している。
無節操に見える日本の宗教観が、争いの絶えない現代宗教世界において寛容の精神を持つ本質的な宗教観として、今、世界で注目を集めているのだろう。
昨年12月11日、中国共産党から習近平総書記の意向に沿って「党員幹部がクリスマス・イブやクリスマスの祝賀行事に参加することを厳しく禁止することに関する通知」というお達しが出たという。その「通知」の中に、クリスマス行事に参加することは「精神的なアヘン吸引に相当する」という文章があったそうだ。一党支配による社会秩序を保つために、「中国共産党への信仰」を強制し発揚させるところが、中国の生真面目さと余裕のなさでもある。
外人に「The Japanese don’t believe in something, but do respect for others」と言われる前に、その宗教観の世界稀なる“自由さ”に、日本人はもっと気がついてもいい。

| 18.01.12

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