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世界人材ランキング

スイスのビジネススクールIMDが発表した「World Talent Ranking 2017」によると、海外の高度技能者にとって、働く環境としての日本は、その「魅力」でアジア11カ国のうち最下位だった。因みに1位はシンガポール、2位は香港だ。
調査対象の世界63カ国のうち、日本は総合31位。言葉の障壁と厳格なビジネス慣行によって低評価となっているようだが、逆に日本は長い間海外からの高度技能者を必要としてこなかったとも言える。
しかし流石にこのまま高齢化が進めば、国内の労働力だけで必要な技術開発ができるとは日本政府も考えていない。
「World Talent Ranking 2017」は、人材を育成したり招き入れたり維持するために必要とされる企業の能力に関して、国ごとに測定したレポートである。「投資と育成」「魅力」「準備性」の3つの領域においてそれぞれ評価項目が設けられ、細かく評価がなされている。日本は「投資と育成」は18位、「魅力」は22位、「準備性」は48位、「魅力」の領域における「海外の高度技術者」の項目が極端に低い51位だ。
ビッグデータや人工知能、IoTといったテクノロジーが台頭する中、経済産業省は日本でそれらのテクノロジーを扱う人材が2020年には4万8千人不足するとみている。海外の高度技能者を招き入れることができなければ人手不足は解消されず、日本の国際競争力は落ちていくことになるだろう。そのため今年4月から「日本版高度外国人材グリーンカード」(http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_3/)を創設し、最短在留期間1年での永住許可申請を可能にする制度をスタートさせた。
日本は来るべき時代への「準備性」において極めて低いと判断されている。従来、人を大切にすることから「投資や育成」における意欲はあるものの、将来へ向けて規制緩和をしないために、ヤル気のある日本人高度技術者たちの流出がけっこう多いのだ。
上位官庁に国家公務員総合職で入省する若手官僚の間では、20~30代のうちに見切りをつけて外資系コンサルや金融、ITなどに転出するケースが後を絶たない。
別の調査によると、日本企業幹部の報酬は中国やアジアに既に並ばれ、役員報酬はとうの昔に抜かれている。海外駐在員に高い給料を払っているにもかかわらず、国内の優秀な人材になぜ払えないのか?
日産のゴーンの報酬が突出しているのではなく、日本人の報酬が低すぎるのだ。日本企業は勇気を持って突出した報酬を払うべきだろう。巨額の内部留保に意味はない。

| 17.12.08

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