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ポータグルメ

最近「ポータグルメ」という食スタイルが存在感を増してきた。デリバリーがライフスタイルを大きく変えようとしている。
「ポータグルメ」とは「ポータブル/持ち運びできる」と「グルメ/おいしい食」を掛け合わせた造語だ。
近年飲食店が店頭サービスに加え、Webでの受付システムとデリバリーを組み合わせて独自の中間サービスを構築し、テイクアウト事業への参入が相次いでいる。今や外食と中食の垣根は極めて曖昧で低くなって来ている。
中でも中間サービスの代表はキッチンカーだろう。昨年11月にスタートした東銀座の「AKINAI銀座プロジェクト」( https://fukasuru.com/business02.html )が注目を集めている。
東銀座駅から徒歩30秒の好立地に、フードトラックやコンテナを利用して人気飲食店が集結している。2tトラックで“厨房”ごと持込み、「人が移動するのではなく、店舗がニーズにあわせて移動」して行くという仕掛けだ。
「トレンドにあわせた人気店を適宜誘致する」がプロジェクトのコンセプトだ。餃子専門店の「東京餃子楼」や、東十条本店で好評を博した“坦坦混麺” 専門店麺処ほん田プロデュースによる「 紅麗」が初出店し話題を集めている。
一方2016年に首都圏からサービスを開始した「UberEATS」だが、これもいよいよブレークして好調だ。Uberの配車ノウハウを使って、登録しているレストランの料理を一般人が配達してくれるというフードデリバリーサービスだ。
当初東京都港区のみでスタートしたが、現在では東京23区をはじめ、横浜・川崎・京都・大阪・神戸・埼玉など7都市に拡大している。登録された国内の加盟レストラン数は既に3500店舗を超えており、新たにスターバックスも加わるようだ。
注文してわずか20分で料理が届き、1人前からでも注文できるなど、デリバリーニーズに合わせた多様なサービスが増えてきている。配達手数料が1件380円かかるが、次第に市民権を得てきているようだ。
外食・中食がますますボーダレスな競争環境となっていく中で、10月には消費税10%への増税に対して、持ち帰りには軽減税率(8%据え置き)の適用が予定されている。これにより「ポータグルメ」への流れが加速することは間違いなさそうだ。
改めて外食の価値とは何かが問い直されることになるだろうが、同時に2%の税率の違いを処理する複雑な課税システムを、小売の現場に押し付けるのは問題ではある。
ところが面白いことに、政治家と税務当局による現場に理解のない安易な選挙対策的優遇システムが、民業の創造性を膨らませることになろうとは。

| 19.01.11

大正時代

戦争という激動の明治時代と昭和時代に挟まれ、その短さもあってかあまり注目されることがなかった「大正時代」だが、「平成時代」との類似性が指摘されている。平成が終わりを迎えようとしている今、ポスト平成を考える上で短いながらも参考になる時代だと言える。
1912年に始まった「大正時代」は、明治時代の二つの戦争に勝利した好景気と1914年からの第一次世界大戦の特需が重なり、今で言うバブル時代であった。そして明治維新後、世界史と日本史が「現代」の日本で初めて本格的に交わった時期でもあり、女性の社会進出や欧米文化の流入だけを見ても、わが国の現代社会の礎が築かれた時代である。
明治維新後わずか30年余りで、鎖国していた国が一気に台湾を手に入れ、中国遼東半島に進出。「大正時代」に入り、朝鮮の併合と第一次世界大戦の軍事需要が経済に拍車をかけ、国として未成熟な中ににわか成金が続出した。
しかし第一次世界大戦が終わった後は過剰設備が重荷になり、追い討ちをかけるように関東大震災で大打撃を受け、疲弊したまま昭和時代に突入していく。その後の世界大恐慌による社会不安から軍部の独走を許し、ファシズム的現象を肯定して第二次世界大戦に繋がる歴史はよく知られる通りである。
「大正」という元号は、中国の古典『易経』のなかの「大亨以正、天之道也」に由来する。後に「大正デモクラシー」と呼ばれる自由を求める民主主義運動が花開き、普通選挙、言論・集会・結社の自由を求める運動、海外派兵の停止を求める運動、男女平等、部落解放、ストライキ権の獲得運動、自由教育、大学の自治権を求める運動など、庶民の権利意識が勃興した時代でもある。
更には「モボ・モガ」と言われる新しい西洋のライフスタイルの台頭が、現代に通じる大きな文化的転換をもたらした。三越呉服店が三越デパートになり、震災復興から新宿・渋谷が新都心として開発され、羽仁もと子による自由学園( https://www.jiyu.ac.jp/ )が池袋に設立されたのもこの時代だ。
関西でも神戸がアジア最大の貿易港となり、阪急小林一三による私鉄沿線の衛星都市開発がその後の山手文化のメインストリームとなっていく。宝塚歌劇団も1914年(大正3年)に創立されている。まさに現代日本のライフスタイルの原点が「大正時代」にあるのだ。
平和ボケした平成の先にはどのような時代が来るのか?過去の順番通りだとすれば、次は戦争の時代ということになる。
平成最後の年末に、IWC(国際捕鯨委員会)からの脱退とはタイミングが良すぎる。たかがクジラと言うなかれ!
“歴史は繰り返す?”と思わせるような雰囲気でもある。

| 19.01.04

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