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日本未来年表

昨年6月に発売された講談社現代新書『未来の年表-人口減少日本でこれから起きること』(河合雅司著 http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000210917 )が発売以来43万部を超える大ベストセラーとなり、「新書大賞2018」で2位に輝いたそうだ。エイ出版社編集部からも12月に『驚愕!日本の未来年表』が出版され、売れ行き好調とのことだ。
未来年表の売れ行きは、少子高齢化・人口減少が確実に進んでいる中で、自分の将来に不安を覚える人が多いということを示している。たしかに人口減少と高齢化は日本の経済・社会に深刻な問題を生み出しているが、「人口減少=マイナス成長」と考えるのは早計ではないだろうか?
戦後の日本経済が拡大して行く高度成長期(1955~1970~1990)、GDPの伸びと人口増加はほとんど関係がなかった。経済は年平均10%近く成長したが、人口の伸びはせいぜい1%程度だったのだ。
労働力の増加によって国富が増えたわけではなく、世界をリードする産業を持ったことで、毎年差し引き9%近く「1人当たり所得」が上昇していたのである。
先進国の経済成長は、「1人当たり所得」が指標になる。世界経済を牽引して行く「産業のイノベーション」によって、人口が少なくても「豊かさ」を保つことは可能である。
国の所得はその国が持つ「世界商品」の量によっても決まる。日本が「ものづくり国家」を自認するのであれば、車をはじめとしたプロダクト産業で飛躍的イノベーションを起こさなければ、総人口に占める現在の労働人口が富の総量を決めてしまう。
アメリカの経済力が底堅いのは、移民を受け入れる一方で、自動車産業に早期に見切りをつけ、5強と言われるIT企業の時価総額を世界のトップに押し上げ、シェールオイル開発でサウジアラビアに並ぶ原油輸出国となり、「1人当たり所得」を結果飛躍的に上げていることにつきる。
イギリスの週刊新聞「エコノミスト」は、「日本の高齢者比率は長いあいだ世界最高を維持しており、今なおその比率は高まっている。」と、イノベーション無き日本のものづくり産業構造を皮肉っている。
日本の未来年表に必要なのは、労働力としての移民を受け入れる前に、自国の主要産業が大胆なイノベーションを必要としていると理解することだ。加えてメタンハイドレードをはじめとした国産埋蔵資源を本格的に世界商品にして行こうとする政治的意志力の発揮だろう。
少ない人口で効率よく稼ぐ、言い替えれば、短い労働時間で国富を築く未来戦略を掲げる時だ。

| 18.06.15

五つ星ホテル

英不動産総合コンサルティング会社ナイトフランクによると、五つ星ホテル軒数の都市ランキング(2017年)は以下の通りだ。
1位ロンドン75、2位ドバイ61、3位ニューヨーク59、4位パリ56、5位マイアミ46、6位ロサンゼルス39、7位バンコク33、8位上海33、9位ワシントンD.C.32、10位ローマ32。残念ながら日本の都市はランクインしていないが、新観光立国論のデビッド・アトキンソン氏によると東京には19あるそうだ。
ホテルの格付けには世界基準があると思われがちだが、実は絶対的なルールはなく主観的なものだ。英国、フランス、ギリシャ、インドネシアなど、国によっては政府が格付けシステムを設けているところがあるが、その多くは物理的な施設(客室面積やレストラン数など)を基準にしており、必ずしもサービスの質には適合しない。
しかし、高級ホテルが多くあることはその都市の平均的な宿泊料金を引き上げており、観光が都市の重要産業となる21世紀においては、五つ星ホテルの数は「都市GDP」を表す重要な指標になって来ている。
ドイツのグローバル宿泊ソリューションサービス会社HRSの2018年のレポートでは、五つ星ホテルが最も多いロンドンでホテルの平均宿泊料金は1泊217ドル(約2万3000円)、3位のニューヨークでは1泊306ドル(約3万2000円)と世界最高である。
一方、ナイトフランク社は「都市の現在価値」も発表している(http://www.knightfrank.com/wealthreport/2018/global-wealth/urban-power)。
都市を、富裕層によって創出される「富(富裕層の数)」、「投資」、「生活スタイル」、「未来」に基づいて総合評価するものだ。
それによると、総合評価1位はニューヨーク、2位ロンドン、3位サンフランシスコで、アジアからは6位シンガポール、8位東京、9位香港がランクインしている。因みにパリは7位だが、中国の各都市は大きく順位を落とした。
こうして見ると富裕層の中でも特にハイエンドの誘致が東京(日本)の課題であろう。如何にして彼らに日本に「住んで」貰うのか?ハイエンドの長期滞在と団体客の短期滞在とでは経済効果の違いは明らかだ。そのための入口となる空港・港湾の規制緩和と、アップサイドのある投資プロジェクト(ハイエンドレジデンス等)の誘致は最重要テーマだ。
五つ星ホテル&レジデンスの数は分かり易い指標である。トップランクの国には、日本には殆ど無い五つ星を超えるレベルのアコモデーションが数多く存在することも忘れてはいけない。

| 18.06.08

新元号

天皇の譲位に伴い、「平成」の元号は来年4月30日で終わることが決まっている。一年も前から新元号になる日が決まっているのは、日本の歴史上初めてのことではないだろうか。
元号制定はもともと中国発祥で、紀元前115年頃に前漢の武帝が「皇帝が時間を支配する」として、『建元』という元号を定めたのが始まりだ。
日本書紀には、「天豊財重日足姫天皇の四年を改めて大化元年とす」と記されており、皇極天皇4年(ユリウス暦645年)の孝徳天皇即位のときに日本最初の元号が「大化」となったようだ。中国の律令制度を全面的に取り入れ、“文明国の象徴”として元号を使うようになったとされ、元号イコール国づくりのビジョンだったことが解る。
「大化」から「慶応」まで242回の改元を経て、「明治」に「一世一元」と定められたが、敗戦で一旦元号の法的根拠を失った。その後「元号の存続」を求める動きから1979年に「元号法」が制定され、「平成」がこの法律を根拠に制定された最初の元号となったことは記憶に新しい。
一方中国では1911年に辛亥革命によって清が倒れ、元号は帝王在位による紀年法であり共和制になじまないという理由から逆に元号を廃止し、1912年を中華民国元年とする「民国紀元」が定められている。
最近、中国の検索サイト百度の掲示板には、「漢字圏でいまだに年号を使用しているのは日本だけ」というスレッドが立てられたが、中国が再度元号を採用するとしたら、今年を「近平元年」にしたらどうかという意見も多く寄せられたそうだ。
その理由として、習近平が「中国の夢」をスローガンに首都北京のサブセンター「雄安新区」開発計画を推し進めていること(https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/05/047ed86d274a2aef.html)が挙げられている。
「雄安新区」のような世界最先端の都市づくりのビジョンに対して、自国の元号制定の由来から素直に「近平元年」を口にしたのかもしれない。
今回日本の新元号は天皇の譲位により生まれるため、国づくりのビジョンを込めて新元号を考える時間的余裕がある。今の日本には、中国の「雄安新区」のように全く新しい未来都市を造るぐらいの提案が必要ではないだろうか?
改元を一年後に控え、国会は最重要法案審議のために会期の延長を決めた。ここで得た貴重な時間を、IR実施法案(カジノ法案)の是非論だけでなく、それを未来都市創造の可能性のチャンスと捉えてしっかり審議してもらいたい。
新元号制定に際し、「大化」制定の頃の精神に戻り、国づくりのビジョンをしっかりと映し込んで欲しいものだ。

| 18.06.01

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