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スマイリング シンデレラ

先週末のAIG全英女子オープンで通算18アンダーで優勝した日本の渋野日向子(20)は、1977年に樋口久子が全米女子プロ選手権を31歳で制覇して以来、42年ぶり2人目のメジャー制覇を成し遂げた。
実は彼女、昨年プロテストに受かったばかりの新人。今年5月のLPGAツアー「ワールドレディスチャンピオンシップ・サロンパスカップ」に大会史上最年少で初優勝し、続く7月の「資生堂 アネッサ レディスオープン」でも優勝。賞金ランキング5位以内に入ることで8月の全英女子オープン出場権を得て、スピード参戦したのだ。
そして、海外初参戦となる全英女子オープン4日間をマイペースで戦い切り、メジャー優勝をあっさり決めてしまった。ラウンド中にモグモグしていたスケソウダラの駄菓子は「タラタラしてんじゃね~よ」とのこと。笑顔を絶やさないその姿は、海外メディアから「スマイリング シンデレラ」と呼ばれた。
1987年に米ツアー賞金女王になった岡本綾子ですら取れなかったメジャー。この偉業に岡本は、「メジャー初出場で優勝とはうらやましい限り。あと2、3年たつと、ゴルフをやればやるほどメジャーは遠のいて取れなくなる。初出場でピュアに打算なくプレーができたことがタイトル奪取につながったのでは?」とコメントした。
98年生まれの渋野は、2010年に全米女子プロランキング1位になった宮里藍に憧れてプロを目指した世代で、層の厚さから「黄金世代」と呼ばれる( https://mainichi.jp/articles/20190805/k00/00m/050/282000c )。
その宮里藍のコメント「Big Congrats !!!!!!!、What a play!!!!!!、Amazing!!」からは興奮が伝わってくる。さらには「最高過ぎる!!!、本当におめでとうー!!!、So happy for you!!!」と「!」を33連発。岡本とは対照的だ。
ところでLPGAは目下のところ韓国選手の天下だ。全米ツアーで今年すでに2勝したコ・ジンヨンが、世界ランキング1位で頂点に君臨する。技術力の高さと驚くべきメンタルの強さを持つ、鍛え上げられた戦士だ。韓国は国家プロジェクトのような体制で、技術だけではなく語学も含めてジュニアからエリート教育を施している。
渋野の優勝インタビューの言「ちなみに優勝賞金っていくらなんですか?(笑)」が海外メデイアには大受けで、「それで好きな駄菓子を思い切り買いたい」と答えたノー天気な渋野節にもズッコケた。
ビジネスとして戦略的に世界を狙ってくる韓国選手にとって、賞金額も知らずに駄菓子をかじって無邪気な笑顔でメジャーを制覇する日本選手は許せない存在かもしれない。
しかし、これが日本の新世代の力だろう。

| 19.08.09

バーチャル・インフルエンサー

ソーシャルメディア上で大きな影響力を持つ「インフルエンサー」は、今や企業のマーケティング活動に欠かせない存在だが、実在しないものがある。
「バーチャル・インフルエンサー」として最も有名な存在の1人が、Miquela Sousa
( https://www.instagram.com/lilmiquela/?hl=ja )という19歳?の女性だ。
コンピューターグラフィックス(CG)でつくられた3Dキャラクターは1998年生まれでカリフォルニア在住、スペイン系ブラジル人のミュージシャンというプロフィール設定。
2016年にLAの企業がインスタグラムに登場させ、現在フォロワー数は160万人以上だという。ツイッターやフェイスブックのアカウントを持ち、ソーシャルメディア上では「Lil Miquela」と称する強力なインフルエンサーだ。
彼女はシャネルやシュプリームなどのファッションを身にまとい、実在するセレブと一緒に写った写真をアップするなど、他のインスタグラマーたちと同じような行動でファンを楽しませている。
2018年にその正体が明かされるまで、多くのファンは彼女を生身の19歳だと思っていた。しかし実際は多くのフォロワーから「いいね」を集めるように設計されたAIフェイク(アバター)だったのだ。彼女を作成した人物は未だ明らかになっておらず、謎めいた部分が注目を集める理由にもなっている。
ブランド側にはこうしたアバターと働きたがる傾向がある。時間をかけて写真テイクする必要がなく、コンピュータ上で1から理想のブランドアンバサダーを作ることができる。企業の広告塔としては便利で完璧だ。
さらに現在は、すでに亡くなってしまった過去の有名人がデジタル上で蘇り、デジタル・インフルエンサーとして振る舞うことも可能になったそうだ。
「バーチャルヒューマン」研究の第一人者、ジュネーブ大学のナディア・マグネナット・テール教授によると、既に3Dスキャンなしで過去の映像からバーチャルヒューマンをつくりだせるらしい。
ハリウッド映画『Fast and Furious 7』では制作中に俳優ポール・ウォルカー氏が亡くなってしまったが、彼のバーチャルアクターを使って残りのシーンを撮り、映画は無事完成している。
広告における「バーチャル・インフルエンサー」の起用は広まる一方だが、「広告における真実」という観点から疑問の声も起こっている。しかし実在するインフルエンサーたちも、所詮真実のみを発信しているわけではないとの反論には説得力がある。
自分のアバターがソーシャルメディア上で「不老不死」になり死後も永遠に進化し続ける時代が、すぐそこまで来ているのだろうか。

| 19.08.02

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