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地球の肺

世界最大の熱帯雨林アマゾンで、記録的な火災が続いているとの報道がある。。
米CNN、米ABCニュース、英スカイニュースの報道を始め、フランスのマクロン大統領や俳優で環境保護活動家でもあるレオナルド・ディカプリオ氏など、政治家や著名人は、皆、異口同音に「地球の酸素供給量の20%を支えるアマゾンの森は“地球の肺”である。これが燃え尽きると地球は酸素不足になる」と主張する。
この「アマゾンは地球の肺」説に対して、世界有数のアマゾン森林研究者であり、気候変動に関する最新の政府間パネル(IPCC)報告書の主執筆者でもあるダン・ネプスタード氏は、「あれはでたらめです」と憤る。
例えば、2019年のアマゾンでの火災件数は過去10年の平均よりわずか7%多いだけだ。( https://indeep.jp/wp-content/uploads/2019/08/amazon-1999-2019.jpg )
元米国副大統領で環境運動家のアル・ゴア氏に代表されるが、なぜこうも政治家や有名人は、地球環境問題で危機感をあおるのだろうか。
実際、ブラジルの国立アマゾン研究所のフィリップ・ファーンサイド教授も、地球の酸素量は数億年かけて20.95%に安定してきたのであって、21世紀のアマゾンのジャングル頼みではない。森林は酸素を生産すると共に終末期においては酸素を消費するので、長期的に見ればプラスマイナスゼロだと学術的に説明している。
ただし気候変動要素としての二酸化炭素とメタンガス排出量は別だ。特にメタンガスは二酸化炭素の28倍もの温室効果がある上に、今や世界の温室効果ガス排出量の16%にまで上昇しているので注意が必要だという。
メタンガスは、世界中の工場、暖房機器、車、トラック、飛行機、船から排出される二酸化炭素の影響を上回り深刻だ。しかも家畜が排出する量が多く、その環境破壊力は農業国が地球温暖化に深く関与していることを示している。
世界人口は73億人だが、世界の哺乳類家畜は50億頭。その内、牛は15億頭を数える。しかも牛は反芻胃を持つので、多量のメタンガスをゲップで24時間排出し続けるそうだ。結果、地球上の総メタン排出量の36%が家畜由来だと言われる。
オーストラリアやブラジルは地球温暖化の被害者のような顔をしているが、実は牛の数では中国、アメリカに次いで多い。のどかに見える牧場も環境破壊のインパクトは工場地帯と変わらない。
農場経営者にメタンガス排出量の削減を義務づける法案ができるのも、時間の問題だろう。政治家の欺瞞の裏で、研究者たちは家畜の「減ガス化」を目指して海藻飼料から遺伝学まであらゆる可能性を探り続けているそうだ。

| 19.09.13

無電柱化

電線の地中化に関しては、アジアで日本が台湾、韓国、インドネシアに学ばねばならない案件だろう。国土交通省の発表では2011-14年にかけて、台北95%、ソウル46%、ジャカルタ35%に対して、東京23区8%、大阪市6%と大差がついている。
地震大国であり学者からの警告が出ているにも関わらず、日本の驚くべき鈍感な部分だ。韓国は朝鮮戦争後の不況を乗り越え、1988年のオリンピック前後からわずか30年で、ソウル市の50%近い無電柱化を果たしたのだ。以下に主要な都市の現状を示す。
ロンドン     100%(2004年)
パリ       100%(2004年)
ハンブルグ   100%(2004年)
香港        95%(2004年)
台北        95%(2013年)
シンガポール   93%(1998年)
NYマンハッタン 83%(2016年)
ソウル       46%(2011年)
ジャカルタ     35%(2014年)
東京23区     8%(2013年)
大阪      6%(2013年)
( http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/content/000034971.pdf )
日本政府の無電柱化への不感症と電力会社の怠慢は、もう国家レベルでの犯罪に近い。ヨーロッパ各国のレポートを見ると、無電柱化は景観確保以上に、防災とメンテナンス、電力事業とガス事業の公平な競争の観点などから、都市インフラとして歴史的に重視されてきた部分だ。
イギリスは1882年に「電灯事業法(The Electric Lightning Act)」を制定し、地上もしくは上空に電線を設置することを禁止した。これによってガスと電気とが公平に競争できるようになったそうだ。無電柱化は景観保全のためだけではなく、あくまでも経済競争の公平さを保つことが発端だった。
日本はイギリスに遅れること140年近く、ようやく今年5月末に災害時の物資輸送時に重要となる道路を対象に、電力会社や通信会社に電柱を撤去させる新たな制度を設けると発表した。重要区間を指定して、10年間の猶予期間終了後は道路の利用許可を更新しないという。今から10年とは耳を疑うが、何もしないよりはマシということか。
それでも特に京都の洛中はひどく、2%と末期症状である。貧しかった東ヨーロッパの古都が殆ど無電柱化を果たしていることを考えると、日本人は「慣れ」という形で防災への問題意識を失ってしまっているのだろうか?
イギリスでは無電柱化を行うのはあくまでも電気事業者だ。日本の電気事業者は費用負担1/3と甘やかされていながら、これまで率先して推進することはなかった。
消費税の値上げは社会福祉に使われると政府はいうが、南海トラフ地震が数年以内に起こるかもしれないと言われている現在、最大の福祉は「防災・減災」ではないだろうか?
福祉事業の対象者(国民)が災害で死んでしまっては元も子もない。

| 19.09.06

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