trendseye

トランスペアレント

コカ・コーラが6月11日に透明なコーク「コカ・コーラクリア」(https://www.cocacola.jp/gateway/product/clear/)を発売。コカ・コーラに続きサントリーも、6月19日に “透明なノンアルコールビール” を売り出した。透明飲料が人気だ。“透明なメロンクリームソーダ” 、“透明なカルピス”、“透明なカフェラテ” 、“透明なミルクティー” など枚挙にいとまがない。
また今年の春夏ファッションでは、透明感を意味する「トランスペアレント」(transparent) な素材やモチーフが流行中だ。デザイナーたちもこぞって透明素材に注目、多くのブランドがPVCポリ塩化ビニルを使ったウェア、バッグ、シューズを続々と商品化している。
メイクも、薄くて軽い「トランスペアレント」な明るい光沢のある下地にファンデーションを薄くつけ、内側から発光するような透明感を演出するのが流行になっているそうだ。
ファッションは時代を映すというが、怪しい情報やフェイクニュースが世界中を飛び交い、透明性が不足している時代だからこそ、社会は逆に「トランスペアレント」な雰囲気を求めるのだろう。
ただし透明飲料躍進の背景には、“ごまかし”という側面も大いにあるらしい。透明性が“ピュア”と“ごまかし”の両極で扱われているのは日本の特徴か?「透明にしちゃえば水と同じ」と、“ごまかし”て飲んでしまう日本社会は、本質的にはブラックなのかもしれない。
それに比べ、今年のアカデミー賞で作品賞候補に上がった「ペンタゴン・ペーパーズ」に描かれたアメリカ社会は、国家最高機密であるニクソン大統領の欺瞞をワシントンポストのオーナーが社運をかけて暴いていき、遂にベトナム戦争から米国を撤退させるという1970年代の実話に基づくストーリー。日本社会にはない、迫力ある三権の独立性と透明性を感じさせる作品だ。
映画の中で、「米国は情報公開法により30年後に歴史の真実を伝えるために、時の政権に不都合な事実も記録し続ける」と語られる。最高機密と言えども公開を前提に正確に記録していく議会の姿勢は感動的ですらある。
整合性のために記録を書き換えてきた日本の政治家や役人に、唐突に透明性を求めるのは無理な話であろう。
元国税庁長官、元財務次官に続いて複数の学校法人理事長などの証言を聞いていると、明らかに黒でも「コカ・コーラクリア」と言い続けることで、いつかは国民を“ごまかせる” と彼らが未だに信じているようで気になるところだ。

| 18.06.22

CATEGORY

  • BOOM
  • FOOD&RESTAURANT
  • LIVING&INTERIOR
  • SCIENCE&TECH
  • TRAVEL
  • TREND SPACE
ART BOX CORP.