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オセアニア

2月19日、パリ・オリンピック出場をかけたサッカー女子のオセアニア予選決勝はニュージーランドがソロモン諸島代表と対戦、ニュージーランドが11-1で圧勝して本大会出場を決めた。オーストラリアと戦わずにオセアニア代表とは若干腑に落ちない。
地理的に「オセアニア」は太平洋諸国の大半を含みその範囲は広大である。しかし総陸地面積は900万平方キロメートルに足りず、その90%以上はオーストラリア大陸とニュージーランドが占めている。残りは諸島部と言われる小さな島々から構成されているのだが、オリンピックでは女子サッカー代表全12枠の内1枠が割り振られる重要な地域でもある。
2月28日、アジア2枠の最終予選が行われ、FIFA女子ランキングでアジア最高の8位につける“なでしこジャパン”が9位と肉薄する北朝鮮と対戦し、辛うじて代表の座を獲得した。もう1枠は12位のオーストラリアが47位のウズベキスタンと戦い、ホームで衝撃の10-0というスコアを記録して3大会連続5回目の出場権を勝ちとっている。
中東から中央アジア、インド、中国を経てアセアン諸国から極東の日本まで、世界の半分以上を占めるエリアと人口を持つAFC(アジアサッカー連盟)に割り振られた枠は2つだけだ。OFC(オセアニアサッカー連盟)の1枠とのアンバランスが目立つ。しかも2006年以降オーストラリアがアジア枠に移動してきたことで、2枠あるとはいえAFCは“死の組”となっている。逆にニュージーランドはFIFA30位だが、2006年以降は天敵オーストラリアがいなくなりオリンピック5回連続出場を楽々と果たしている。
オーストラリアは2006年にオセアニアからアジアに転籍した。表向きはアジアの方が出場枠が多く、強豪と対戦する機会が増え強化につながるという理由だった。因みにオーストラリアがアジアに属しているのは団体競技のサッカーとバレーボールだ。陸上、水泳、トライアスロン、カヌー、ボブスレー、バドミントンなどの個人競技では相変わらずオセアニアに残っている。メダルの可能性を計算した英連邦の狙いが透けて見える。
広大なアジアエリアから極東の日本とオーストラリアを代表に送り出す西アジアや中東、中央アジアの国々は、この状況に何を思うのだろう?サッカーが英国発の競技とはいえ、そろそろ英連邦の横暴を終わらせてもいいだろう。

| 24.03.08

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