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アバター現象

米ミネソタ州ミネアポリスで移民税関捜査局(ICE)職員が移民擁護運動家の女性を路上であっさり射殺した事件を受け、全米各地で抗議デモが続いている。それを受けてICEを所管する国土安全保障省(DHS)のクリスティ・ノーム長官は11日、ミネアポリスへの「数百人」の職員増派を明らかにした。職員といってもほぼ武装した兵士である。米国はその短い歴史の中で、アフリカからの“奴隷”と世界中からの“移民”を利用して成長してきた国である。しかし新たな移民問題を収めるために武力を使って解決するように状況は変わって来ている。

時を同じくしてジェームズ・キャメロン監督の最新作アバター3「ファイヤー・アンド・アッシュ」が公開され、分断が進む人類の行く末を鋭く示唆した内容に「すごくタイムリーだ」と注目が集まっている。「アバター」の第1作は、長い構想の末に監督自らが開発した最新のデジタル3Dやモーション・キャプチャーを惜しみなく投入して2009年に公表された。作品は3D映像革命を巻き起こすと共に、移民問題に悩む人々を瞬く間に席巻して世界興行収入1位にまで駆け上り、いまだにその記録は破られていない。13年ぶりの続編アバター2「ウェイ・オブ・ウォーター」も世界興行収入第3位を記録したことから、3作目も高評価が期待されている。

「アバター」はヒンズー教の“アバタール”という神の化身をさす言葉に由来し、神が人間のかたちをとる時に必ず“青い色”になることから、キャメロンは作中で惑星パンドラの先住民ナヴィ族を青い肌にしたそうだ。彼は最新作「アバター3」のインタビューで、「観客は青い肌を持つキャラクターに感情移入し、作中で新しいクリーチャー(惑星パンドラの生物)に地球人がやられるとめちゃくちゃ盛り上がる。この映画を観てくれているのは地球人なのに、同じ地球人(侵略者)が異星人(先住民)に殺されると大喜びする。誰もが弱いマイノリティをつい応援してしまう。ナヴィ族が“善”地球人類が“悪”と明言したつもりはないが・・・」と正直に戸惑いを伝えている。

アバターシリーズが驚くべき興行成績を上げてきたこの15年間に米国の支配構造は大きく変わり、トランプ大統領の登場で映画を超えるスピードで「アバター現象」とも言うべき分断が現実世界に起きている。天才キャメロンをもってしても現実に追いつくのは相当な難題だっただろう。

アバターシリーズ3本を観て、実は日本こそが極東で究極の移民混血国家として2700年に及ぶ「アバター現象」の行き着いた先の国家であると強く感じたのは自分だけだろうか?

| 26.01.26

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