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脱グローバル

昨年の大晦日に日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告がレバノンに逃亡、さらに米国トランプ大統領の命令によるイランの革命防衛隊「コッズ部隊」ソレイマニ司令官らの殺害、と次々にニュースが飛び込み、2020年の新年は波乱の幕開けとなった。
そうした中、世界最大の家電IT見本市「CES」が7日、米西部ラスベガスで始まった。従来のテクノロジー企業の枠を超え、世界から約4500社が集結。次世代通信規格5Gをインフラに、コンセプトは「CASE」(コネクテッド/自動運転/シェアリング/電動化)だ。
テーマは「モビール」で、世界の最新技術革新に注目が集まり、人工知能(AI)とインターネット(IOT)技術が描く近未来の生活提案がなされている。
出展者で多いのは自動車関連企業でモーターショーを上回る数だ。今年はトヨタ自動車、VWをはじめ、ブリヂストン、コンチネンタル、京セラやウーバーも出展、かつてない規模で競い合っている。
ソニーは画像センサーを埋め込んだ自動運転電気自動車「VISION-S」のコンセプトモデルを披露。日産もお家騒動の中、新たな電動4輪制御技術「e-4ORCE」を搭載したSUV風リーフを発表した。
ゴーン被告の逃亡劇も話題を振りまいているが、彼は日産を日本の自動車会社からグローバルモビール会社にした立役者だったものの、逃亡で過去の人となってしまった。
グローバル化による企業利益は多国籍化した株主への配当と内部留保に当てられ、日本人に経済的恩恵を与えるとは限らない。日本の経済成長に有効なのは雇用に伴い国内に落ちる金額であって、グローバル本社の内部留保額ではないのだ。
東京大学ものづくり経営研究センターの調査分析によると、自動車1台を生産するのにかかる「人時(作業総量に相当)」は日本がアジア諸国の中で最も少ない。その生産性は中国の2.7倍の効率だという。作業のムダを省き、スピーディーに効率よくモノづくりを進める日本の製造現場の能力は高い。これこそが日本の力だ。そこにお金を落とさなければ日本のサラリーマンは報われない。
国内生産を空洞化して欧米アジア中国に最先端生産技術を移転しているのでは、日本にとってこれほど愚かなことはないだろう。
「CES」ではっきり見えてきたことは、日本には5Gモビール産業をベースに国内の生産基盤を取り戻すチャンスが溢れているということだ。仮に膨大な貿易収支の黒字が出たら、米国から防衛力を買うことで国際収支バランスをとることを考えればよいだろう。
日産は過去の人ゴーンと争うことをすぐにやめるべきだ。

| 20.01.10

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