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宝亭現象

コロナ5類移行後初となるお盆休みとあって、首都圏近場のリゾートである熱海は台風による天候不順をものともせず大勢の観光客で賑わったようだ。特にアイドルグループ「King & Prince (通称キンプリ)」がロケをした、カツカレーで有名な「宝亭」には長蛇の列ができた。
5月22日にグループから平野紫耀、岸優太、神宮寺勇太の3人が脱退。以来、ベストアルバムのファンクラブ用特典映像「熱海小旅行」のロケで使われすっかり “聖地”となった「宝亭」には全国からファンが押し寄せ、ランチタイムで2時間以上待つこともあるというから尋常ではない。
ファンは判で押したようにメンバーが食べたのと同じメニューのカツカレーやハヤシライスとクリームソーダを注文する。そして食事後は「宝亭」の前で「キンプリ」グッズを手に記念撮影を楽しみ、ジャニー喜多川の性加害問題などどこ吹く風と帰っていくそうだ。
「キンプリ」はあのジャニー喜多川が最後に手がけたグループとしても有名だ。日本でトップの人気を誇るアイドルグループと言っていいだろう。CDデビュー前からファンクラブに12万人以上いたと言われ、デビュー後にはファン登録が加速、ジャニー喜多川の性加害スキャンダルやメンバー3人の脱退発表すらむしろ追い風になったと言えそうだ。ファンクラブは今や100万人超えだそうだ。
今年2月にリリースされたシングル「Life goes on/We are young」は初週売上げで100万枚を突破。4月にリリースされた5人体制最後のアルバム「Mr.5」も120万枚超えを記録している。今年上半期の累計売上184億1千万円は、13年に嵐が記録した109億5千万円の倍近い。ジャニー喜多川はある種狂気の天才なのだろう。
ジャニーズ事務所退所前に平野紫耀がブログに『ジャニーさんごめんねー!目標に届かなかった!!』と明るく書くほど、彼らを海外デビューさせようとしていたジャニー喜多川の存在は大きかったようだ。
未だ収まる気配の無いジャニー喜多川の性加害問題だが、「キンプリ」ファンの間では彼の影響力は死してなお凄いパワーを持続していると言える。
国連人権理事会は今回の性加害問題が青少年に暗い影を落とすと考えているようだが、日本の“宝亭現象”をどう捉えるのだろうか?
遥かに大きな規模のスキャンダルであるローマンカトリック聖職者の性加害問題と「宝亭現象」を比較して、国連人権理事会の審議の成り行きを見守りたい。

| 23.08.18

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