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100円ショップ

「だんぜん! ダイソー」のキャッチフレーズで、大手100円ショップのダイソーが手がける新ブランドショップ「Standard Products by DAISO」が昨年3月に渋谷マークシティにオープン、コロナ下でも評判がいい。1991年に高松にオープンした直営1号店「100円SHOPダイソー」とは隔世の感があり、別物と言ってもいい凄い店だ。
ベーシックなカラーリングで木などのナチュラル素材を使用したアイテムが多く、生活に馴染み、使いやすさにこだわった商品がラインアップされている。ブランドコンセプトは、「ちょっといいのが、ずっといい」だという。
価格帯は 300 円を中心に、500 円、700 円、1000 円と、もはや100均ショップではない。イメージも無印良品の店舗に入った時と似ている。憧れの無印インテリア風収納ボックスや自然素材のケースが約半額で揃うのだ。隣接フロアにはこれまた巨大なダイソー店舗が同時オープンし相乗効果を狙っている。
今年4月に発表された帝国データバンクの「100円ショップ業界」の調査結果では、大手5社を中心とした国内市場の2021年度売上高は、前年から約500億円増の9500億円(5.8%増)が見込まれていた。
インターネットやコンビニへの出店といった販売チャネルの多様化とともに、クオリティやデザインの見直し、最新のトレンドや細かな需要変化を捉えた新商品の投入など、価格以外の商品訴求力の大幅な向上で、2022年度に市場規模が1兆円を突破するのは確実だと言われている。
日本経済がバブル崩壊後「失われた30年」と言われて久しいが、物価は上がらなかったのではなく上げない努力をしてきたのだ。値段に上限を課してバリューアップを図るのは日本人の特性だ。結果2%の物価上昇すらさせなかったわけで、むしろ評価されるべきでは?
世界でインフレ懸念が高まる今、為替相場も約24年ぶりの円安水準だ。ただですら安いのに更に円安でいいのだろうか?デフレ経済の申し子のような「100円ショップ」の進化は、過去30年間にコモディティ商品の質的向上をもたらし他国の追従を許さない。
日本の物価におけるバリューforマネーは世界的に見ても高水準に達している。今こそ円高誘導し、過去30年の品質とユーザビリティー向上への努力の蓄積を国力に変える時だろう。
政府日銀の、自国の小売サービス業の能力の高さへの理解力不足が心配だ。

| 22.07.15

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