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ベイビー・シャーク

韓国の教育エンターテインメント会社SmartStudyが2016年6月に立ち上げた知育ブランド「Pingfong」が、楽曲「ベイビー・シャーク」を振り付けつきアニメで多言語化して公開したところ、YouTubeやTikTokを通して韓国内のみならず世界中に瞬く間に広まった。
結果「ベイビー・シャーク」の再生回数は、2022年1月14日時点でYouTube史上初の100億回を達成。これはピコ太郎のPPAPの約100倍、地球上のすべての人が1.3回この動画を見たことになり、虜になった子供や親が何百回もこの動画を視聴したことを意味している。アジア発のコンテンツとして画期的だ。
「ベイビー・シャーク」の原曲はドイツの童謡といわれるが、作者不詳。Pingfong版が受けたのは原曲にK-POPのリズム要素を加え多言語対応させたからだとされるが、それだけだろうか?
「Baby shark, doo doo doo doo doo doo.・・・」というフレーズは口ずさみやすく、一度聴いたら頭から離れない。幼児とその保護者が聴いたり歌ったりする幼児ソングなのに、これほどの再生回数を記録するともはや社会現象だ。
今では11言語100以上のバージョンが公開されているそうだ。韓国語の曲名は「アギサンオ」(サメの家族)、日本語版の曲名は「サメのかぞく」となっており、歌詞にはベビーからパパ、ママ、グランマ、グランパとサメの家族が続く。英語“shark”の発音は周波数が1万5000Hzの高音で、注意を引きつけ心を掴むらしい。これもヒットの要素だろう。
一方IKEAのサメのぬいぐるみも世界的ヒットになっている。椅子に座って食事をしたり、衣服を身につけてオシャレしたり、オフィスに並んで会議をしたりと、多くのユーザーがサメを擬人化して様々なシチュエーションで楽しんでいる。こうした楽しみ方に火をつけたのは意外にもロシアだ。美女が抱えていたり、飼い猫を噛ませていたり、微笑ましいサメの写真がロシア発でヒットした。
凶暴なサメをぬいぐるみにして脇に置くと、その鋭さは失われ可愛らしさが増す。半開きの口と遠くを見つめる目、投げ出された胸ビレが何とも言えない表情を生み出し、脱力感のあるシュールな姿に「一緒にいると落ち着く」といった声が聞こえてくる。
ちょっと前までプーチンは親日家として日本でも人気があった。強いものに惹かれる深層心理が「ベイビー・シャーク」のヒットの裏にあるとしたら、プーチンはサメなのか?

| 22.05.13

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