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思考停止

日本のワクチン2回接種率がようやく米国と並んで全国民の50%を超えてきた。主要ヨーロッパ諸国は70%台、英国は80%台、シンガポールとイスラエルは90%前後と高いが、感染がなくなったわけではない。
各国政府はワクチン接種率の上昇に合わせて、経済の落ち込みを防ぐ規制緩和に乗り出そうとしている。ワクチン接種証明を発行し、公共の場であるレストランや大規模イベント会場、百貨店などの大規模集客施設で提示させることで、利用促進にも繋げようという狙いだ。
ところが接種証明提示の義務づけは、ワクチンを受けない自由を奪い差別を助長するとしてフランスでは大規模なデモが勃発している。それでもマクロン大統領はがんとして方針を変えない。英国のジョンソン首相は市民の同意が得られないと見るや、証明書提示をすぐに引っ込めてしまった。各国の制限緩和は手探り状況だ。
日本政府も今年11月には2度接種率が70%を超えると予想、ワクチン証明の提示による制限緩和策を検討し始めた。こうした動きに対して差別反対デモでも起こるかと思いきや、自民党総裁選に翻弄されてうやむやになり、いつもの如くなにも起こらない従順さを発揮?、これは正に日本国民の「思考停止」である。
「寄らば大樹の陰」ということわざがあるが、日本人は「マジョリティ側」に黙って従うことに慣れ、“無”となって「思考停止」することを“是”とするよう調教されているのかも知れない。
任期満了で迎える自民党総裁選挙は9月17日に告示、29日に投開票される。その後に控える衆議院選挙のために自民党が党の顔を選ぶ選挙だ。真の党首(リーダー)を選ぶというより如何に“大樹”を作るか?米国の方針に素直か?が問われる選挙となる。
自由民主党、英語でいうと“Liberal Democratic Party” は、米国の民主党“Democratic Party”よりも革新的なイメージがある。日本では保守党だが英語圏では完全に革新政党をイメージさせる党名だ。最近中国共産党幹部に「日本は目標にすべき社会主義国家である」と言わしめた所以もこの辺にあるのかも知れない。
中国としのぎを削る米国が次期総理に押したいのは、Twitter発信力が最も高い対中強行派、河野太郎だろう。日英2か国語アカウントのフォロワーは237.3万人に及ぶ。ブロック機能を多用し都合の悪いことには答えない傲慢さを発揮しているが、若手議員と米国の受けはいい。
“自民派閥連立政党”の前に野党の出番は全くない。この現実を認識せず「思考停止」している限り、永遠に自民党を下野させることはできないだろう。

| 21.09.17

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