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横浜シウマイ弁当

「シウマイ弁当」といえば横浜の崎陽軒。「東京に近い横浜でも売れる名物を」と中華街イメージで産まれたのが名物「シウマイ」だ。駅弁として1954年に売り出されて以来、実に67年にわたり)日本人に愛されている。
横浜人にとっては単なる駅弁を超えて、愛するソウルフードともいえる。販売数はダントツ日本一で1日平均2万5000個を売り、コロナ禍前の2017年には過去最高の236億円の売上げを記録したそうだ。
「シウマイ弁当」は俵型ご飯8個シウマイ5個に対し、鶏の唐揚げ、鮪の漬け焼など9種の副菜が狭い箱の中で競い合う。“横浜名物”で9種の具材が競うと聞くと、9人(現在は8人)の立候補者がしのぎを削る今話題の横浜市長選が頭に浮かぶ。8月22日投開票で横浜が地盤の首相の命運がかかった選挙は、国政をも巻き込んで大荒れだ。
4選を狙う現職林文子候補はさしずめ量が多いタケノコの甘辛煮か? 捩れた鶏の唐揚げの濃厚さは、現職閣僚でありながら背水の陣を引く首相の懐から国策IRに反対してまで立候補した小此木八郎候補のようだ。政党を渡り歩く立憲民主党副代表の迫力に押され気味の山中竹春候補は、三角で甘い玉子焼きに見えてくる。
そしてシウマイの前で果敢に存在をアピールする鮪の漬け焼きは、正面から政策で勝負する元長野県知事の田中康夫候補だ。元神奈川県知事の松沢成文候補は蒲鉾のような安心感が売りか。加えてショウガと切り昆布、アンズ、小梅が周りを彩る。
「シウマイ弁当」には食べ方にうるさいファンが大勢いる。慶應大学特任講師の鈴木隆一氏が、AIを使った検査機器「味覚センサーレオ」で『AIに聞いたシウマイ弁当の食べ方』を上梓している。
ミシュランの星付き料理でもめったに出ない99点以上の食べ合わせが上位に出てくる。「シウマイ弁当」にもかかわらず1位は「鮪の漬け焼きとご飯」で99.5点、2位は「鶏の唐揚げとご飯」99.3点、3位にやっと「シウマイとご飯」で99.2点だとのこと。横浜市長選の結果を示唆している?ように感じるのは単なる偶然か。
大手マスコミの出口調査に一喜一憂する選挙は過去のものだ。日本のマスコミは浮動票の把握を諦めたのだろうか?SNSでステルス化した有権者を把握できないのなら、市長選の行方もAIに予想させた方が正確かも知れない。
但しどこまで行っても、67年間「シウマイ弁当」を食べ続けている“地元のドン“、 横浜ハーバーリゾート協会会長の口撃だけはAIでもシュミレーションできないようだ。

| 21.08.20

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