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いぶりがっこラーメン

秋田の名物たくあん「いぶりがっこ」はすごい漬物だ。クリームチーズとの相性も抜群だが、インスタント麺といぶりがっこパウダーにお湯を注ぎ、4分後にしょうゆスープを混ぜてメンマの代わりにいぶりがっこをトッピングする「いぶりがっこラーメン」がまた凄い。
単価500円で今年8月から発売されるやいなや、カップ麺としては高めの料金設定にもかかわらずなかなか手に入らないほどの人気である。
こうした“ご当地カップラーメン”は、その土地ならではの美味しさが詰まっている。最近はちぢれ麺と濃厚なスープが魅力の「マルちゃん 青森味噌カレーミルクラーメン」(東洋水産)、ガツンとした辛さがクセになる「凄麺 仙台辛味噌ラーメン」(ニュータッチ)、パンチの効いた醤油味が美味しい「富山ブラック」(寿がきや)などが有名だ。どれも思った以上に本物志向でレベルが高い。
現地で食べる「ご当地ラーメン」も魅力だが、このコロナ禍に移動せずともお湯を注ぐだけで地元の味が楽しめるとあって、正に的を射た商品ラッシュである。「ご当地カップラーメン」は今や多くの日本人にとって(GoToと並ぶ?)“神的”存在になりつつある。
この人気に一役買ったのは、テレビ朝日『ザワつく!金曜日』の「ご当地カップ麺No.1決定戦」だ。スタッフが用意した5つのカップ麺を出演者の長嶋一茂、高嶋ちさ子、石原良純が実食して、独断と偏見でランク付けするという企画だ。
過去2回放送されているが、取り上げられた“ご当地カップラーメン”は放送中からネットショッピングで争奪戦が始まりあっと言う間に品切れ、買えない状態が続くらしい。行きたくても行けない状況に、人々の欲求充足熱がここでも高まっていたのだ。日本の1億2000万人の創作力と購買力はまだまだ底力がありそうだ。
1年前までインバウンド観光と盛んに言われていたが、2018年12月に20カ国・地域で実施された「ジャパンブランド調査2019」によると、「日本には独自の文化を持つ地方が存在すると思う」と答えた外国人は全体の78.7%に上ったそうだ。
さらに「日本の地方に行ってみたいと思うか」の問いに対しては、何と83.4%もが行ってみたいと答えたそうだ。日本の多様性に富む自由度の高い地方文化を日本人は意外に認識していないが、外国人の評価は高い。
コロナ禍の今、インバウンド観光客が日本に来られないうちに、日本人は灯台下暗しで見過ごしていた地方文化を再評価し、感染防止に細心の注意を払いながら大いに満喫すべきだろう。

| 20.12.04

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