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ライオンズゲート

マヤ暦では新年が始まる7月26日から8月12日までの18日間だけ、“獅子が守る扉-宇宙と地球をつなぐ扉”である「ライオンズゲート」が開くとされる。運命を左右することが起こるということなのだろうか? 8月8日はそのゲートが最大に開く日らしい。
「ライオンズゲート」が閉じる時、日本では先祖の霊を迎え、15日の盂蘭盆会を経て16日には送り火の儀式が行われる。マヤ暦と呼応する「気」の力の連続性を感じる人もいるだろう。
それにしても日本の8月は重苦しい。75年前の敗戦と、謎に満ちた35年前の日航機墜落事故。正に開いた「ライオンズゲート」に翻弄されたかのような、史上最大ともいえる負の出来事だ。
3月26日に始まった沖縄戦では、4月7日に沖縄海上特攻作戦に旗艦として参加した戦艦大和がアメリカ軍艦載機約300機の攻撃を受けて轟沈している。その時大和は片道の燃料しか積んでいなかったという。日本国の名を冠した戦艦の最後は、日本国民に敗戦の許しを請う軍部のメッセージだったのだろうか。戦艦大和は偶然にも1940年8月8日に進水している。
ポツダムで連合国が日本への最終的な降伏勧告を出したのは1945年7月26日。無条件でのポツダム宣言受諾は、8月6日と9日に投下された原爆が決定づけたとされてきたが、最近では8月8日のソビエト軍の参戦と北海道分断の恐怖が決断させたという見解が説得力を持つ。
明治維新後の新政府が、徳川幕府から受け取った基本領土を百年も経たずに失うことを受け入れられなかったであろうことは、容易に想像がつく。
結果、国力をはるかに超えた無謀な戦争で明治以来獲得したすべての海外領土・占領地を失ったばかりか、数百万の国民を死なせ、灰燼に帰した皇土が敵国の欲するままに支配され、自立や独立さえ失いかねない運命を招いたわけだ。
その愚かさを、実質的に満洲国を支配した満洲映画協会理事長甘粕正彦は「大ばくち 身ぐるみ脱いで すってんてん」と詠んで辞世の句とした。本音とはいえ言い過ぎだ。
貧しかった長州藩士中心に創り出された明治新政府は、列強を前に大博打を打ち、大本営発表でも国民に真の戦況を伝えず、最終的に日清、日露、第一次世界大戦の勝利に酔いしれていた国民をコントロールできなくなる。軍部に忖度する組織が良識ある意見を握りつぶし、国民をレミングの行進に導いたともいえよう。
「積極的平和主義」などというまやかしの言葉で歴史を繰り返してはならない。日本史上最大の失敗に学び、世界の新しいパラダイム構築に際しソフトパワーで寄与すべき時ではないだろうか?

| 20.08.21

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