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スナ女

昭和生まれの日本人にとって懐かしい「スナック」だが、もはや親父のたまり場ではないそうだ。最近のスナックの常連客は主に女性、しかも20~30代とのこと。夜な夜なママと雑談しカラオケを楽しむ、新現象「スナ女」とはいったい何なのか?
「スナック」の定義は「深夜酒類提供飲食店営業届」のもと営業する業態、“対面”が原則でお客の横に座って接客することはできない。バーと同じカテゴリーでクラブとは一線を画す。
カウンターの中にいるママやマスターが客と交流しながら飲食を楽しめる環境を提供し、そこに同じモチベーションを持つお客が集まる。常連客メインの或る種閉鎖空間だ。
「スナックdeカラオケnavi」という便利なクーポン付きのサイトなどが、掲載店への初来店に限り3000円で飲み放題となる仕組みを提供、事前に店の雰囲気を伝えてスナック初心者の女性の不安を減らしてくれる。
雑誌Hanakoから生まれた、東京を生きるウェブメディア「Hanako.tokyo」でも、人生の大先輩「街場の大聖母マドンナ(スナックママ)」から金言を聞こう、というようなスナック特集が人気だそうだ。女性の都会一人暮らしの指南役がスナックのママで、そこに教えを乞いに集まるのが「スナ女」という構図だ。
「スナ女」には副業や1日ママなどで自らスナックを開業したい人も多い。SNSでのコミュニケーションに懲り、“リアルの世界で自分が好きな人だけを集めて自分の部屋みたいなお店を作りたい”という思いが根底にあるようだ。
美しい等身大の仕草ロボットの開発を進めるスピーシーズは、昨年11月に開催された「組込み総合技術展&IoT総合技術展」で、等身大アイドルロボット「高坂ここな」と人工知能(AI)を組み合わせてデモを行った。
しかしパーソナル人工知能を開発しているオルツの米倉代表によると、「スナックのママを作ってくれ」という依頼は多いが、話を聞いている人の反応や空気を読んで適切なトピックを返すという技は、未だAIには難しいそうだ。
ソフトバンクGの孫代表も、スナックのママのような「人付き合い」で顧客を作っていくことは、AIにはまだまだ難しい仕事だと指摘する。
上場企業の社長、役員がAIにとって代わられてしまうことはあっても、スナックやクラブのママ業は私たちが人間であり続ける限り、AIに置換できない仕事と言えるのかもしれない。
「スナ女」の登場は、マニュアル化され自分でものを考えなくなってきているサラリーマン社会への危機感を現す裏返し現象でもあるようだ。

| 20.02.14

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