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プレッパー

自然災害や経済破綻、放射能汚染や核攻撃など “いつ起きるか分からない危機” に備えて、過剰で過激な対策を講じる人々を「プレッパー(Prepper)」と呼ぶそうだ。その数は全米だけでも300万人とも400万人ともいわれている。
「文明社会が崩壊しても生きていく」という強い意志の下、その準備は信じがたいほど過激だ。食料危機に備えて大量の水や食糧を貯め込む人、農園を作って自給自足を目指す人、地下に核シェルターを作り、破綻後の略奪に備え武器を蓄え射撃訓練に励み、戦闘技術を磨いて自衛を志す人までいる。
ナショナルジオグラフィックチャンネルがこうした過激な「プレッパー」を紹介する「DOOMSDAY PREPPERS」という番組を制作し放送したほどだ。
究極は富裕層「プレッパー」を対象に、アメリカ・カンザス州ウィチタ北部のトウモロコシ畑の丘の下に、豪華15階建て“地下タワーマンション”が開発されたことだ。軍用フェンスで周りを囲い、警備員はアサルトライフルを装備し迷彩服姿。まるで軍事施設のようなこの住宅は「サバイバル・コンドミニアム」と呼ばれている。
長崎に投下された原爆の100倍強力な核弾頭ミサイルに耐える、冷戦期に造られた地下ミサイル格納庫を2000万ドル以上かけて改装したそうだ。
1ユニット85㎡から170㎡、価格は150万ドルからで、既に55人以上が購入。いずれもハルマゲドンが近々来て、世界中の選ばれし1%だけが生き延びると信じている人だという。
因みにこのコンドミニアムへの入居は、ハルマゲドンが発生した時、オーナーがコンドミニアムから半径640km以内に居さえすれば、SWAT部隊がピックアップしてくれる特別なプログラム付きだそうだ。
地下シェルターの建設は日本では馴染みがないが、世界では多くの国が政府主導で作り続けている。中でもイスラエルが熱心だ。最近、首都エルサレムの地下に国家作戦本部を建設し、議会はすべてそこで開かれているそうだ。一方イギリス政府もEU離脱後の混乱に備え、2019年のはじめに国防省の地下核シェルターに防衛部隊を配置している。
北京では2015年時点で、冷戦期に造られた長大な地下トンネルや地下シェルターに100万人が暮らせると報告されている。シンガポールも、「地下都市計画」の一環として重要施設の一部を敢えて地下に埋めはじめた。
日本はどうするのか?ハルマゲドンを「諸行無常」とやり過ごすのか?未だに原発の「汚染水」すら処理できない日本に、「プレッパー」意識はいつ現れるのか?
コロナウィルスはいい試練だ。

| 20.02.07

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