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ジェンダーバランス

世界経済フォーラム(WEF)から、男女格差の大きさを国別に比較した「The Global Gender Gap Report 2019 」の発表があり、日本は調査対象となった世界153カ国のうち121位、主要7カ国(G7)では不名誉にも最下位だった。
過去最低だった2017年の114位(調査対象は144カ国)よりさらに下がり、早急な改善が望まれる。女性国会議員の比率が低いことや、最高学府の東京大学における女子学生比率が20%台であることなどに、国際社会から猛烈な改善圧力がかかっている。
ただこの結果については集計ミスもあるように思われる。順位の下降は教育分野が大きな引き下げ要因となっている。教育分野は今回91位(2018年は65位)で、中等教育への就学率は128位(同1位)まで転落。前年世界最高だった中等教育就学率が一年でここまで下がるのは異常値では?
しかし1975年、国連によって3月8日が「国際女性デー(International Women’s Day)」に定められてから半世紀近く、日本が女性の平等な社会参加の環境整備を十分に進めて来なかったのは事実であり、「ジェンダーバランス」に疎い国という謗りは免れない。
一方11月19日が「国際男性デー」( https://internationalmensday.com/ )となっていることは、日本ではあまり知られていない。これは男らしさの強要に苦しむ男性や男子の健康に目を向け、ジェンダーバイアス(男女平等)を正す日として、1999年にカリブ海のトリニダード・トバゴで始まっている。
今年、この日に合わせて、一般社団法人「Lean In Tokyo」が「男性が職場や家庭で感じる生きづらさに関する意識調査」を発表した。
これによると日本においては、「男だから」という固定概念やプレッシャーにより生きづらさや不便さを「感じる」と答えた男性は平均で51%にのぼる。
年齢別に見ると、20代から40代では生きづらさを「頻繁に感じる」「たまに感じる」と回答した人が5割を超えるが、50代以上では4割に、60代以上になると逆に、35%は「まったく感じない」との回答。日本の男性は、若い世代ほど「生きづらさ」を抱えていることが分かる。
最近の「イクメン」や「女性活躍」などジェンダーギャップを埋める取り組みが、女性ばかりをケアして若い男性の負担になっていることに社会は気づいていない。
日本では「男性差別」という言葉を聞くことはあまりないが、結構深刻だ。「男性の権力」によると思われていた差別は、実は単なる性役割という刷り込みに過ぎないものが多い。男性の心と体の負担に目を向け「ジェンダーバランス」をとることが、国際男性デーの目的である。
今や、女性差別解消を声高らかに言うだけでは「ジェンダーバランス」は正常化しない。

| 19.12.20

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