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うどん睡眠

約10分で眠らせる頭ほぐしで、その快感から現在約49万人が予約待ちという無水ヘッドスパ専門店「悟空のきもち」を運営するゴールデンフィールドが、“眠れるうどん” をキャッチコピーに、寝具の新製品「睡眠用うどん」を発売して話題になっている。
値段は1万6,800円と決して安くはないが月商2億円を売るヒットとなり、現在購入は約1カ月待ちだそうだ。
現代日本人の睡眠への欲求はハンパなく強いものがある。成人の20%が慢性的な不眠、15%が日中に過剰な眠気を感じる睡眠難民だ。
一方、睡眠不足が国の経済にどのような影響を与えるのか。この疑問に2016年に米ランド研究所が興味深い推計を示している。
( https://www.rand.org/pubs/research_reports/RR1791.html )
睡眠不足によって、労働者の健康状態が悪化するだけでなく生産性が大幅に低下し、国の経済に大きな損失をもたらすというのだ。
その損失額は、調査対象となった国の中では米国が最大で4110億ドル(約44兆円)が失われている。米国に次いで大きな損失を生み出しているのが日本で、こちらも1380億ドル(約15兆円)と決して低くない。
近年「働き方改革」や「健康経営」の観点から従業員の睡眠の質に関心を持つ企業も増えており、睡眠ビジネスは国内の潜在市場が数兆円あるといわれている。
さらにはビッグデータやIoTを活用した「スリープテック(Sleep Tech)」の進化により、寝具業界だけでなく、医療、スポーツ、美容など周辺業界への波及効果も期待されている。
ところで「睡眠用うどん」は見た目はまさに巨大なうどん麺が幾本も連なったもので、布団のイメージを完全に覆すものだ。同社によると “ふとん” と呼ぶのはNGで、あくまで “うどん” なのだそうだ。
ざるうどんを食べながら「この中で寝たい」と言ったスタッフの声から「悟空のきもち」が企画、伊勢丹新宿本店の助言協力のもと深部体温と睡眠の深さを追求し、約1年の研究開発期間を経て世界初の睡眠に特化した「睡眠用うどん」の完成に至ったそうだ。
使い方は、縦数本のうどんの隙間に上から入りうどんを自分に絡める。さらに横に渡るうどんを枕にすると安全バーのように肩がうどんでしっかり守られる。しかもうどんの中綿は人工羽毛が使われているため温かい空気保持層に変化して、上掛けをかけると保温性も高まり、これだけで防寒布団より温かくなるという。
疲れをとるための「安眠」から、明日のための始まりとしての「快眠」へ。睡眠が楽しくなる眠りに対する意識改革も必要だ。饂飩でほっとするという感じか?

| 19.11.15

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