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あつ森

任天堂のゲームソフト『あつまれ どうぶつの森』(通称“あつ森”)の最新作が3月20日に発売され、折からのコロナ禍ステイホーム特需で世界的に売れている。同時にNetflixをはじめとした映画配信、音楽配信、或いはネットスーパーのようなネット宅配事業も飛躍的に伸びている。
「あつ森」発売3日間の国内売上本数は188万626本。Nintendo Switch向けソフトの歴代トップを上回る数字だ。その勢いは衰えず発売10日目で国内売上本数は260万本を突破、Switch本体の売り上げも押し上げているようだ。
「あつ森」で利用されるメタバース(Metaverse)という概念は、SF作家ニール・スティーヴンスン1992年の著作『スノウ・クラッシュ』の作中で、インターネット上の仮想三次元空間として初めて登場した。
メタバースの利用者はアバターと呼ばれる自分の分身を介して仮想空間に入ることで、その世界を探索し、他の利用者とのコミュニケーションを図り、さまざまなコンテンツを楽しむことができる。
同じくメタバースを利用したソフトとしては、リンデンラボ社による2003年の「セカンド・ライフ」や、アバターリアルティ社による2009年の「ブルー・マーズ」などがある。
そして何と言ってもジェームズ・キャメロン監督による2009年の映画「アバター」の大ヒットが、仮想世界と現実世界を交差させ、仮想現実世界の到来の可能性を飛躍的に感じさせたといえる。
「あつ森」の舞台はとある無人島。プレーヤーはたぬきちの新会社“たぬき開発”が企画する移住パッケージツアーに参加し、好きなキャラメイクをして自然あふれる無人島での生活をスタートする。やるべきことは、戦いの無い自分自身のための小さな楽しいバーチャル生活を作り平和に暮らすことだ。仮想現実世界では、思いのままの自己表現ができるのだ。
「あつ森』」は現在11言語に対応しており、コロナ禍で外出自粛を余儀なくされた世界中の人たちがこのソフトに飛びついたのは当然だろう。
人類は物理的肉体を持つがゆえに多くの制約を受ける。現実世界で人類が必要とするものは、究極的には人間の感性を掌る「脳と神経細胞」だけに特化するかも知れない。それは仮想現実世界を認識するために最低限必要な人間の機能だからだ。
「あつ森」は、数万年後の人類が現実世界での進化をやめ「仮想現実世界に於いて進化する」ことを示唆しているのかも知れない。魚が陸に上がったように?

| 20.05.08

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