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騒き(ぞめき)

今年、徳島市長が中止を決定した阿波踊りの"総踊り"が、13日夜踊り手側団体によって独自に強行され約1400人が路上を埋め尽くした。総踊りを中止して騒然とする祭りを管理したつもりの市長は、失敗を認めざるを得ない羽目に陥った。
阿波おどりのお囃子は「騒き(ぞめき)」と呼ばれるが、意味は浮かれ騒ぐこと。「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃソンソン」などと歌われ、浮かれて騒ぐ総踊りこそが阿波踊りなのだ。
中止の決定にはいろいろな事情があったようだが、明治時代に起きた“盆踊り弾圧”の歴史を彷彿させる。
「盆踊り」の歴史は、平安時代の僧侶空也が人々に覚えてもらおうと念仏をリズミカルに歌うように唱え始め、それに合わせて踊るようになり、「念仏踊り」と名付けられて人々に広く知れ渡ったことに発する。「念仏踊り」はやがて「踊り念仏」と呼ばれ、先祖の魂を供養するお盆の行事と結びついて現在の「盆踊り」の形になったとされる。鎌倉時代になると「盆踊り」はより民族芸能としての認識を高め、娯楽的な要素が強まり、今では日本全国で地方色を色濃く反映して続いている。
しかし江戸時代に入ると、幕府が一揆につながるとして藩に禁止を促し、明治時代には「風紀を乱す」との理由で“盆踊り弾圧”が全国的に行われた。「盆踊り」はそのため一時衰退したが大正時代末期には復活し、再び日本全国で続けられた。
成仏に通じる喜びの一体感が得られる不思議な行事として、庶民たちの生活に欠かせなくなった「盆踊り」だが、平成においてもなお、お上がいくら規制しても止められるものではないということを、徳島市長の失敗が示している。
現代は、さしずめ大規模なコンサートなどがその役割を担っているのだろうか。日頃の鬱憤を晴らす場だと認めてかからないと、お上は判断を間違えることになる。
今年引退する安室奈美恵が、先日亡くなった翁長沖縄知事の熱烈な支持者であることはあまり知られていない。彼女が突然出場を決めた引退前日の沖縄ライブ(http://www.hmv.co.jp/newsdetail/article/1808201000/)は9月15日開催。沖縄県知事選が9月30日であることを考えると意味深な日程だ。そして自民党総裁選は9月7日公示、20日投開票である。
9月15日に圧倒的な動員と情報発信力を持った安室ちゃんが、沖縄市民に反基地のメッセージを送るようなことがあれば、知事選の行方は突然混迷する。そして直前の自民党総裁選三選の安倍勝利は、沖縄知事選の自民党候補の足を確実に引っ張ることになろう。
現代の「盆踊り」をお上は見くびってはいけない!

| 18.08.24

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