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超老力

「芸術新潮」3月号で「超老力」が特集されている。日本画家の篠田桃紅104歳、 洋画家の野見山暁治97歳、型染作家の柚木沙弥郎95歳、 絵本作家の安野光雅91歳、アーティスト中谷芙二子84歳、そして横尾忠則81歳・・・
まさにゴールデンエイジを生きる彼らの作品から発せられるパワーは、身体の老化を超えた先に現れる。蓄積された経験と技術、研ぎ澄まされていく色と形、しがらみから解放されて自由にはばたく表現欲には驚かされる。「超老力」には心ゆたかに美しく生きるヒントが宿っているようだ。
赤瀬川原平が、「老人力」という概念を提唱してから早や20年。これは「物忘れが激しくなった」など老化による衰えというマイナス思考を、「かなり老人力がついてきたな」というプラス思考へ転換する逆転の発想だった。
日本は90年代のバブル崩壊から25年間、あらゆる経済成長が止まり、今や年間僅か2%の物価上昇すら難しい国家になった。政府が笛吹けども踊らずというところだ。
しかし物価が四半世紀に亘ってほぼ変わらない社会(http://d.hatena.ne.jp/neriu/20100413/p1)というのは、見方を変えれば「超老力」国家として素晴らしい結果を残しているとも言える。成熟していく中でも物価が上がらない国「日本」は、高い経済成長を支えるために毎日あくせく働く中国、東南アジアの人々から見たら天国だろう。その上綺麗で美味しく安いとくれば何回も来たい国として観光客が増えるのも道理で、日本の「観光立国」は「超老力」が支えているとも言える。
一方我が国を取り巻く国際情勢だが、中国の第13期全人代で、習近平国家主席はより強いリーダーシップを獲得、更なる中国経済の成長を約束し世界経済を下支えすることを議決した。有難いことだ。
アメリカはトランプ政権のもと、その政策はますます内向的かつ保護主義的色彩を強め、安全保障を武器に同盟国を利用して軍事産業で利益を上げようとしている。米国の軍人は、今まで以上に世界各地で働かなければならなくなった。ロシアも同様だ。
日本はG7やG20の中でリーダーになろうとするのをやめ、少し肩の荷を下ろして「超老力」で隠居生活に入ることにしてはどうだろう。まさに今、「東洋のスイス」になるチャンスが到来している。
日本は「超老力」を発揮し、8000万人ぐらいの「適正人口」を基準に、「専守防衛」力では世界最強を目指し、資源開発で「不労所得」を得る努力をする。
求める国家像の価値基準の転換が出来れば、日本の未来は確実に明るい。

| 18.03.23

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