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DNAマッチング

「運命の人」はDNAを解析することで探せるのか? DNA解析を利用したマッチングアプリ「Pheramor」(https://www.pheramor.com/)が、2月に米国で登場して話題を集めている。
DNA(デオキシリボ核酸 deoxyribonucleic acid)とは核酸の一種、地球上の多くの生物において遺伝情報の継承と発現を担う高分子生体物質である。アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類の塩基の組み合わせからなるポリマーで構成され、全ての生物の遺伝情報は2つと同じものがないことが確認されている。俗に言うゲノム解析とは正にこのポリマー配列の解析に他ならない。
アプリの名「Pheramor」はメスとオスが相手を求めて発散する化学物質“フェロモン(pheromone)”からきており、DNAの解析結果とその人のSNSの履歴をクロス分析して理論的に相性のよい相手を探しだす恋活サービスということらしい。
会員になり最初に19.99ドル払って口腔粘膜検体採取キットを取り寄せ、採取を終えたら遺伝子解析のために送り返す。すると「Pheramor」がこれはと思った相手の「相性度」を、0から100で表示してくれるという。2月にヒューストンからユーザー3000人ほどでスタートしたが、3月にオースティン、そして年内には東海岸まで急速に拡大進出を狙っているらしい。マッチング結果が気になるところだ。
フェロモンが活性化するのは相手の免疫系を判別している状態。相性の良い相手と出会うと脳が自然に答えを出し、『これは今までの人生において嗅いだ最も完璧なフェロモンだ』と判断したりする。「Pheramor」は月10ドルの会費でそれを提供しようとしているのだ。
一方、「誰かに惹かれる」という現象は、社会経済的な要素に、人種、文化、宗教、さらに両親や兄弟との関係性という要素が加わるわけで、単純に生物学的な要素からなる方程式が本当にマッチングに通用するのかという疑問の声も大きい。
そのうち「Pheramor」は「探す代わりに創り出す!」サービスに向かうことになるかもしれない。
究極のSF映画とも言われる「ブレードランナー」最新作「2049」の中に登場する人型レプリカントが、「人間はA-C-G-Tの記号の組み合わせに過ぎない。我々レプリカントの記号は0と1だけだけどね…」と寂しそうに言うシーンがある。
レプリカントとAIとVRを掛け合わせ、どのような仮定も成立させてしまうのが『ブレードランナー』の世界だが、「Pheramor」はそうした仮定も現実になりうる可能性を示唆しているのかもしれない。

| 18.03.16

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