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バイアメリカン

北朝鮮が長距離ミサイルを発射する度に、日本の迎撃態勢はどうなっているのか?とテレビのワイドショーが恐怖心だけをあおり立てている。
500km以上の高度で成層圏を飛ぶミサイルをそもそも迎撃できるのか?観測衛星より高い高度で日本上空を飛んだとしても領空侵犯ではないし、国際法違反とも言えない。そもそも日本のPAC3は領空侵犯の戦闘機撃墜用だから、せいぜい高度15kmしか射程がないのにも関わらず、TV局マスコミは言葉巧みにICBMを迎撃できるかのような報道をしている。一体、誰のために何を報道しようとしているのか?
アメリカの武器輸出は公然とした産業だ。当然のことトランプ政権は軍需産業での成功がアメリカ経済の大きなプラスになると考えているし、日本の自衛隊が大のお得意様の一つであることは間違いない。「PAC3」の次は「イージス・ショア」、さらに「THAAD」とどんどん性能も値段もエスカレートする。
一方日本でも今年6月に千葉の幕張メッセで第2回国際兵器見本市「MAST Asia 2017」(https://www.m-messe.co.jp/event/detail/4308)が開催され、武器の商談がにぎにぎしく行われた。安倍政権は3年前2014年4月に『武器輸出三原則』を47年ぶりに全面的に見直し、「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。そして翌年10月には防衛装備庁が設立され、渡辺秀明長官は「日本は地域情勢の変化に積極的に対応し、高品質の防衛装備品と技術を海外に提供することで国際的に"貢献"しなければならない」と述べた。何に貢献するのかよく分からないが、ついに日本の軍需産業が堂々と復活した?ことだけは事実のようだ。
結果として、北朝鮮のミサイルと核開発はトランプ、プーチン、習、安倍にとって追い風だという見方がある。当の金正恩に至っては、4人への"貢献"に対して報酬を意識している節すらあるようでややこしい。
Jアラートが東北で鳴り響いている影で、アメリカが日本との約2兆円の武器商談をまとめたと知れば、トランプの発する「バイアメリカン」を狙う過激なTwitterの意味も分かりやすい。ちなみにブッシュJr.の時はイラクの大量破壊兵器を理由に、オバマの時はイランの核開発を理由に、アメリカの軍需産業が潤ったことを忘れてはならない。
ミサイル核攻撃に何の効果もないPAC3を配備し、これまた何の効果もない防災頭巾を被って健気にも小学校の体育館に伏せる子供達の姿を無為に報道してはならない。Jアラート1回で内閣支持率5%UPということか?少なくともTV局は子供達の訓練が軍需産業への"貢献"に繋がらないよう、パロディの筋書きを国民に正確に伝えるべきであろう。

| 17.09.22

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