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コード・カッティング

船越英一郎・松居一代夫妻に関する話題が、ここ3週間狂気に近い。
松居一代が6月末YouTubeで夫・船越英一郎を非難し始め、3週間で11本の動画をアップしたが、1本当り平均視聴回数が100万回を超えているそうだ。100万回の再生で約3万6000円の収入になると言わる業界で、この調子で毎日このくだらない動画を配信し続けると、年間300本が100万回ずつ視聴されることで収入は1000万円を超えるらしい。事前にTwitterで煽って動画の再生回数を稼ぐなど、すっかり人気YouTuberが板についてきた松居一代の収入につながっている。
そうした中、テレビは単なる視聴率の数字を稼ぐ為に40時間近く同テーマを放送し続けている。どのチャンネルも船越夫妻か渡辺謙しか出てこない。渡辺謙はさておき、テレビがYouTube画面を繰り返し露出したことで、松居一代の動画は短期間に数千万人が知るところとなり、YouTubeの再生回数を更に押し上げることになった。しかし皮肉なことに、こうした個人の異常な状況を、視聴率だけを目安に配慮なく晒すテレビ番組の姿勢に、視聴者が着実に離反していっていることにテレビ局は気が付いていない。既に民放各社は、YouTubeの奴隷と化している。
YouTubeは2005年にサービスを開始し、2006年には単なる動画配信機能としてGoogleに買収されたが、今やGoogleの主力事業の一つに育ち、ケーブルテレビを解約する「コード・カッティング」という言葉を生み出したほどである。
更に先日追い討ちをかけるように、Googleは全米でテレビ放送をストリーミングする定額サービス「YouTube TV」(https://tv.youtube.com/welcome/)を発表した。スマートフォンからPCにまで対応し、米国の大手テレビネットワーク、主要な専門チャンネル47局をケーブルテレビの半額で視聴可能にしている。
テレビ放送までも手中に納めつつあるGoogleは、テレビコンテンツの個人的な嗜好まで把握し、本人以上にユーザーの嗜好について詳しく知っているということになって行くだろう。
テレビの環境が米国と大きく異なる日本でも、AbemaTV、LINE Liveなどが台頭し大きな変化が生まれ始めている。TV局が視聴率という数字に囚われている間に、新興のストリーミングプレイヤーにどんどんユーザーが流れているのだ。
リアルタイムの報道だけは最後まで残るのだろうが、ドキュメンタリーやドラマ、スポーツはストリーミングサービスを利用した方が適切だ。さらにバラエティや音楽はYouTubeの方が優れているということだろう。
日本の民放TV局は明らかにYouTubeによって淘汰されていく。YouTubeでネタ探しをしているわけだから。

| 17.07.21

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