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Too Good To Go 

6月16日、Amazonは自然食品のパイオニアで都市富裕層を中心に有機野菜等の販売で売上を伸ばしてきたスーパーマーケットチェーン Whole Foods Marketを137億ドルで買収すると発表した。
消費者はAmazonのプライム会員になることで、スーパーに行かずともオンラインで生鮮食品を注文し、配送もしくは店頭で受取れる。Amazonは本格的な実在店舗の食品小売業を買収することで、生活者に近い店頭生鮮在庫を手に入れるとともに消費者のライフスタイルを変えていくことを狙っている。
日本のネットスーパーは店頭生鮮在庫に世界でもいち早く注目したが、規模で勝るAmazonがこの分野に進出することで、深刻化しつつある世界的食品廃棄問題にも積極的に取り組んでいくことになるだろう。
フランスでは昨年2月に廃棄食品削減の強硬策として、大型スーパーの売れ残り食品をフードバンクなどの慈善団体に寄付することを義務付ける法律が成立している。
ドイツ政府は2012年に、食品廃棄物の量を2020年までに半減させると発表し、フード救済プロジェクト「RESTLOS GLÜCKLICH」が誕生している。大手オーガニックスーパーチェーンから、週に2回、廃棄処分されるはずの食材"ゴミ"を引き取って美味しく楽しんでもらおう!というコンセプトのレストランだ。
デンマークにもそのままでは"ゴミ"になってしまう賞味期限切れ食材を利用するレストラン「Spisehuset Rub & Stub」がある。
また、世界の食品ロスを抑制するアプリ「Too Good to Go」(http://toogoodtogo.co.uk/)はデンマーク発、イギリスで運用され欧州6カ国で利用されている。ユーザーはレストランの残った料理を割引料金で注文し、アプリから支払う。シンガポールの「11th Hour」というアプリも、レストランや食品店がそれまで廃棄していた商品を廉価で提供するサービスだ。
日本は世界最大の食料輸入国だが、世界最大の食品廃棄国とも呼ばれている。その上、カロリーベースで食料自給率は40%とG7最低だ。コンビニが世界一発達した点は評価できるが、悪名高い「賞味期限」表示のお陰で「消費期限」に近い食品が返品廃棄されていく。世界3位の経済規模の日本が、経済力に任せて食料垂れ流しを放置することが許されるはずはない。循環型経済を標榜して、世界に先駆けあらゆるフェーズで抜本的な構造改革を推進すべきだろう。
賞味期限が近づいた商品購入にはカードのポイントをアップするとか、日本のネットスーパーも何か社会的行動を起こさなければ情けない。
Amazonに先を越される前に!

| 17.06.24

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