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スネ夫自立

トランプ大統領誕生には、世界の行き過ぎたグローバル化への反動が大きく影響したと言われている。グローバリズムへの「反動」はアメリカだけの現象ではなく、G7各国でも国内経済を守る為に内向きな「保護主義」への動きが強まっている。オバマ時代に先進諸国の更なる経済活性化の処方として行き過ぎた金融緩和と自由貿易を進めたのはいいが、どの国も一部の富裕層を更に富ませただけで実体経済に効果はなく、貧富の差の拡大という副作用でヘトヘトになっているからだ。
トランプが「同じやり方ではだめだ!」とつぶやくほどに米国は追い詰められ、「反グローバル」主義に軸足を移す事によって彼は大統領の椅子を手に入れる。結果、TPP法案批准への「反対宣言」にまで繋がって行ったとみられる。
TPPはもともとシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国間が発展途上国同士の新しい経済協定の枠組みを考え、経済大国に対抗する為に結んだのが発端だ。2005年6月3日調印、2006年5月28日に発効されている。その後投資家にとってTPPは更なる投資マネーを集めるという観点から都合がいいという事でアメリカが参加を希望し、当初足踏みしていた日本も引き込まれ、現在ではカナダ、メキシコ、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルーが拡大交渉会合に加わっている。拡大TPPは途中からアメリカ主導で枠組みが決められた為アメリカが“言い出しっぺ”のように思われているが、そもそもは横入りで、国内事情から今更反対とは実に身勝手な行動だ。
一方、大統領選をトランプが制したことで、地位協定に基づく日米関係も大きく変わるとの見方が優勢だ。米国が保護主義に傾倒することは、ドラえもんに例えればスネ夫だった日本が、ジャイアン米国に隷属しその後ろ盾で威張っていた経済構造から解放されるチャンスであり、自国の安全保障を自国で考える日が来る事を意味する。戦後70年間封印して来た自立国家への課題が、これを機に解決へ向かうこともあり得る。
経済的に衰え始めた先進諸国が、G7などと言って成功者クラブを作る事自体、新興国からの反発を生んでいる。日本もまずは3超大国との適切な関係を自国の責任において固めることで、ドラえもんにはなれなくともジャイアンから自立したスネ夫になることが必要だ。
実家が裕福なスネ夫は、自立すると強い?

| 16.11.18

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